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厚生労働省も注目するワークエンゲージメントとは?基本的な意味や高める方法を解説

2023.06.22

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ワークエンゲージメントは「活力」「没頭」「熱意」が十分ある状態のことで、働きがいを客観的にとらえる目的で厚生労働省でも用いられています。ワークエンゲージメントの特徴や、向上によるメリットなどを見ていきましょう。現状把握や効果測定に用いる「ワークエンゲージメント尺度」についても紹介します。

厚生労働省がワークエンゲージメントに注目する理由

少子高齢化による人材不足が進むと、事業運営に支障をきたすことが懸念されています。状況を改善するポイントは、社員一人ひとりの働きがいです。働きがいをもって仕事に取り組むことで、社員は自発的に考え行動し始めるでしょう。少ない人材で効率的に事業運営を行うには、働きがいが重視され始めています。

ただし働きがいは定義が漠然としていますし、現状把握や改善へ向けた測定も実施しにくく、指標としては適していません。そこで厚生労働省が注目しているのがワークエンゲージメントです。ワークエンゲージメント尺度といった測定方法も確立しており、自社の状態に合わせ活用しやすいのも特徴といえます。

働きがいを客観的にとらえるため

働きがいは「信用」「尊敬」「公正」「誇り」「連帯感」でできているといわれています。ただしこれらを客観的な数値で示すのは難しいことです。さまざまな取り組みで改善を目指したとしても、「現状がどの程度で、取り組みの結果どのように変化したのか」を的確に把握するのは難しいでしょう。

厚生労働省が注目しているワークエンゲージメントは、学術的に定義され活用されており、客観的に状態を把握しやすいのが特徴です。現状を数値で把握できる尺度も複数あり、現状と施策実施後の成果を見比べ効果測定もできます。

ワークエンゲージメントの3つの要素

ワークエンゲージメントは仕事に対する「活力」「熱意」「没頭」がそろった状態です。

それぞれの要素は仕事へのポジティブな感情へ、どのようにつながっているのでしょうか?

活力

仕事をしているときに、いきいきとした感覚がわいてくるのであれば、活力が十分ある状態です。エネルギーに満ちているため、毎日熱心に仕事に取り組めるでしょう。

日々の仕事はうまくいくことばかりではなく、トラブルが発生したり失敗したりするかもしれません。活力が十分あれば、うまくいかないタイミングでも、安定して実力を発揮しやすいのが特徴です。

熱意

誇りとやりがいを持って仕事に取り組んでいるのが熱意のある状態です。仕事を通して誇らしい気持ちを感じているため、より良くしていくにはどうすればよいだろうか?と自発的に考え始めることも期待できます。

改善に向けた提案をするのはもちろん、積極的に行動するのが特徴です。仕事に役立つ資格の取得や勉強会への参加などにも積極的に取り組みます。

没頭

集中して仕事に取り組んでいるのが没頭している状態です。社員一人ひとりが自分の仕事に集中していれば、必要な仕事はより早く効率的に進むでしょう。

深く集中し、のめり込むように仕事に取り組めば、間違いに気付きやすくなりミスを減らすことも期待できます。全体の効率アップにもつながる状態です。

参考:厚生労働省|令和元年版 労働経済の分析-人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-|第3章 第1節

活動水準と仕事への態度で見るワークエンゲージメントの位置付け

ワークエンゲージメントを理解するには、「ワーカホリズム」「バーンアウト」「職務満足感」との対比が役立ちます。この4つの状態は「活動水準」と「仕事への態度・認知」の2つの軸でできる4つのスペースに割り当てて考えられるものです。

ワークエンゲージメントは活動水準が高く、仕事への態度・認知が肯定的な状態です。仕事に対しポジティブな思いを持っていることから自発的に行動します。

同じくらい活動水準が高くても、仕事に対しネガティブな思いを持っていて消極的なのはワーカホリズムです。ワーカホリズムの人が精力的に働くのは、「仕事をしなければ」という強迫観念に駆られていることが原因になっています。

一方、仕事に対しワークエンゲージメントと同じくらい肯定的な気持ちを持っていても、活動水準は低くそこまで多くの仕事に取り組まないケースもあります。職務満足感とよばれ、立場や役職に満足している状態です。

ワークエンゲージメントの対極にあるのは、活動水準が低く、仕事への態度・認知が否定的なバーンアウトです。燃え尽きともよばれており、仕事に対し無気力な状態をさします。現時点ではやる気にあふれ積極的に仕事に取り組んでいるとしても、エネルギーを使い切ればバーンアウトに陥ることもあるでしょう。

ワークエンゲージメントの向上で期待できるメリット

社員のワークエンゲージメントを高めることは、企業にとってもメリットになります。具体的にどのようなメリットを得られるのか見ていきましょう。

意欲の向上

仕事に対しポジティブな気持ちが強くなれば、「もっと成果を出したい」「新しい技術を身につけたい」といった意欲がわいてくることが期待できます。今ある仕事に取り組むと同時に、より高度な仕事ができるように学習し始める社員が増えていき、企業全体のレベルアップにつながります。

組織への貢献度の向上

ワークエンゲージメントの高い社員は、そうでない社員と比べ企業へ貢献したいという気持ちを強く持ちやすいそうです。「企業理念の実現へ向け自分には何ができるだろうか?」と考える社員が増えることで、指示がなくても動く組織に成長していけます。

メンタルヘルスの安定

社員のメンタルヘルスにもワークエンゲージメントはよい影響を及ぼします。ワークエンゲージメントが高い状態はメンタルヘルスを良好に保ちやすく、一時的にストレスでダメージを受けても回復しやすいためです。

離職率の低下

仕事に対しポジティブな気持ちで取り組んでいると、最初はそれほどではなくても徐々におもしろく感じ始めるでしょう。「こうしたらもっとよくなるのでは?」と工夫し始める人も出てくるかもしれません。日々おもしろく取り組める仕事であれば、ずっと続けたいと考える社員が増え、離職率が低下していくことが見込まれます。

生産性の向上

ワークエンゲージメントが高い社員は仕事に集中して取り組めるのも特徴です。積極的に改善の提案や行動をしながら集中して働くため、仕事の効率アップが期待できます。全体の生産性向上にもつながるポイントです。

顧客満足度の向上

社員が積極的に仕事に取り組むことで、企業はよりよい商品やサービスを顧客へ提供できるようになります。結果として顧客満足度の向上も実現できるでしょう。

関連記事:ワークエンゲージメントと従業員エンゲージメントの違いは?企業へのメリットもチェック

ワークエンゲージメントの測定方法

企業がワークエンゲージメントを業績アップや社員定着率向上に生かすときには、自社のワークエンゲージメントの現状把握や、施策実施後の効果測定が欠かせません。ワークエンゲージメントの測定に用いる3つの尺度を紹介します。

UWES(ユトレヒト・ワークエンゲージメント尺度)

ワークエンゲージメントを測定する尺度の中で最も広く用いられているのがUWESです。以下のような質問を17項目設けた質問紙で、どのくらい仕事へ積極的に取り組み、仕事を通して活力を得ているかを測ります。

  • 仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる
  • 自分の仕事に、意義や価値を大いに感じる
  • 仕事をしていると、時間がたつのが速い

17項目の質問へ回答すると、ワークエンゲージメントを構成する「活力」「熱意」「没頭」がどの程度なのか測れる仕組みです。社員が日常業務の合間に無理なく回答できるよう、9項目の質問でできている短縮版や、3項目の質問からなる超短縮版もあります。

参考:慶應義塾大学 総合政策学部 島津明人 研究室|ワーク・エンゲイジメント(UWES)

MBI-GS(マスラック・バーンアウト・インベントリー)

MBI-GSは疲労感5項目、冷笑的態度5項目、職務効力感6項目の合計16項目の質問からなるワークエンゲージメント尺度です。具体的な質問を3つ紹介します。

  • 1日の仕事が終わると疲れはててぐったりすることがある
  • 自分は職場で役に立っていると思うことがある
  • 自分がしている仕事の意味や大切さがわからなくなることがある

ワークエンゲージメントの対極に位置するバーンアウトの程度を調べることで、ワークエンゲージメントが高い状態からどの程度遠ざかっているかが分かる尺度です。ワークエンゲージメントが高いほどスコアは低くなります。

参考:心理学研究 第75巻 第5号|日本版MBI-GSの妥当性の検討

OLBI(オルデンバーグ・バーンアウト・インベントリ)

OLBIもバーンアウトの傾向がどの程度あるか測ることで、ワークエンゲージメントを測定する尺度です。疲労と離脱の2つの要素で質問項目が構成されています。測定結果が低いほどワークエンゲージメントは高い傾向です。

参考:大阪市立大学看護学雑誌 第17巻|the Oldenburg Burnout Inventory−German version邦訳の信頼性と妥当性の検討
関連記事:ワークエンゲージメント尺度3種類をチェック!測定方法や質問項目も解説

ワークエンゲージメント向上に必要な2つの資源

ワークエンゲージメントを高めるには「仕事の資源」「個人の資源」の2つを意識する必要があります。これらの資源が多いほどワークエンゲージメントは向上していくでしょう。どちらか一方を増やせばもう一方も増えるのも特徴です。

仕事の資源

上司や同僚など周りの人のサポートや、仕事へのフィードバック、研修への参加機会、仕事の裁量権などが仕事の資源です。これらを多く持っているほど仕事をスムーズに進めやすくなります。

例えば「もっと改善できそうだ」と考えている仕事があるとき、フィードバックを受けられれば自分1人では思い浮かばなかったアイデアが出てくるかもしれません。実行するには手間がかかる場合でも、上司や同僚のサポートを受けられれば、想定より早く結果を出せる可能性もあります。

仕事で結果が出ると、仕事に対し自信を持てるようになりますし、高いモチベーションを維持しながら取り組めるようにもなるでしょう。ワークエンゲージメントの高い状態を維持しやすくなります。

個人の資源

仕事の資源を活用し結果を出したことによる自信やモチベーションの高さは個人の資源です。大きな仕事を任されても「自分ならできる」という自己効力感があればプレッシャーに打ちかってやり遂げられるでしょう。「きっと大丈夫」という楽観性でピンチも乗り越えられるはずです。

個人の資源が豊富で、いつでも高いモチベーションを維持している人の周りには、多くの人が集まりやすくなります。気軽に相談できる上司や、力を貸してくれる同僚など、仕事の資源も豊富な状態になりやすいのが特徴です。

ワークエンゲージメントを高める施策

仕事の資源と個人の資源を増やし、ワークエンゲージメントを高めるには、具体的にどのような施策を行えばよいのでしょうか?自社の状況に合う有効な取り組みができるよう、3つの施策を紹介します。

適切な人事システム

社員の頑張りが適切に評価される仕組みは整っているでしょうか?頑張りが報酬や待遇に影響しない場合、社員は「どうせ頑張っても何も変わらないから……」と無気力状態に陥ってしまいかねません。積極的に仕事に取り組む姿勢やモチベーションを育むには、正当に評価される仕組みづくりが重要です。

加えて社員が強みを発揮できる人員配置もポイントといえます。社員がこれまでに培ってきたスキルや技術を生かすには、一人ひとりの強みの正確な把握が必要です。仕事を通して判断できる社内の評価はもちろん、プライベートの趣味や特技なども把握できる仕組みがあると、適材適所の人員配置を実施しやすくなります。

風通しのよい職場づくり

職場の環境整備も欠かせません。社員同士の関係性が良好になるよう環境が整っていれば、迷ったときや困ったときすぐに相談しやすくなります。問題が発生しても、大きくなる前にスピーディーな解決も可能です。

スムーズなコミュニケーションが可能な人間関係を構築するには、ちょっとした会話をしやすいスペースが役立ちます。例えばコーヒーマシンや自動販売機の近くに小さなテーブルのあるスペースを作れば、息抜きのタイミングで気軽に相談しやすくなります。

日ごろから一息つきながらあいさつや日常会話を交わしていれば、相談が必要になったときに声を掛けるハードルが下がることも期待できるでしょう。

職場環境の改善

社員が過ごしやすいように職場環境を整備することも、ワークエンゲージメント向上につながります。仕事に集中するにはリラックスできる時間も必要です。社内でオンとオフを切り替えられるようにするには、仕事場所の他に休憩スペースを設ける方法があります。

仕事に関するものから離れ、気持ちを切り替えられる時間を持てれば、数分の休憩でリフレッシュが可能です。失敗したときやうまくいかないときにも、リラックスタイムを挟むことで集中力を保ちやすくなります。

「チケットレストラン」による快適な職場環境づくり

過ごしやすい職場環境を整えようとしても、全てのオフィスに休憩スペースを設ける場所の余裕があるとは限りません。また社員によっては社外の方が落ち着けるということもあるでしょう。

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を導入すれば、オフィス近辺にある対象店舗での支払いを企業がサポートできます。社員が落ち着いて休憩時間を過ごせる場の提供にもつながるサービスです。例えば「ドトール」や「エクセルシオールカフェ」なども対象店舗のため、近隣に店舗があれば休憩スペース代わりになります。

対象店舗が全国に約25万店舗あり、働き方の異なる社員へも平等に提供できるのもポイントです。リモートワークで自宅で仕事をしている社員も、自宅付近の対象店舗でランチタイムを過ごしリフレッシュできます。

社員のランチタイムやコーヒータイムをサポートするエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、導入する企業にコストメリットのあるサービスです。国税庁の確認の下で運営しており、要件を満たしていればかかった費用を福利厚生費として計上できます。

社員にも企業にもメリットのあるサービスの導入を検討してみませんか。

企業にもプラスになるワークエンゲージメントの向上を目指そう

社員の働きがいを客観的にとらえるワークエンゲージメントは、「活力」「熱意」「没頭」がそろっておりモチベーションの高い状態を意味します。厚生労働省も注目しており、労働経済白書でも取り上げられています。

社員一人ひとりのワークエンゲージメントが高まれば、業績アップや社員定着率の向上にもつながるでしょう。人事システムの見直しや風通しのよい職場づくり、オンとオフを切り替えやすい職場環境などが代表的な施策です。

社外でリラックスタイムをとりやすくなるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」も役立ちます。

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