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2024年問題に対しトラック協会が行う解決策は?わかりやすく解説

2023.07.12

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2024年問題への解決策として、全日本トラック協会では荷主への呼びかけを行っています。働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)で定められている時間外労働の上限規制は、トラック輸送業を営む企業はもちろん、ドライバーや荷主にも影響を与えるものだからです。現状を把握した上で、どのような対策が有効なのかを見ていきましょう。

2024年4月1日から適用の働き方改革関連法

働き方改革関連法で定められている時間外労働の上限規制は、2019年から順次適用が始まりました。トラック輸送業を含む自動車運転の業務は、5年間の猶予期間が設けられ、2024年4月1日から適用され始めます。2024年問題を理解するためにも、まずは上限規制について確認します。

時間外労働の上限規制

従来は36協定を締結すると、実質的に無制限で時間外労働を命じられました。働き方改革関連法によって、36協定を締結したとしても、時間外労働の上限は月45時間、年360時間と明確に上限が明確になっています。

臨時的な特別な事情があれば上限を超えられますが、そのときにも以下は厳守しなければいけません。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計は2~6カ月の平均が全て1カ月あたり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えられるのは年6カ月まで

もしもこの上限規制を超え時間外労働をさせた場合、事業主は6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

自動車運転の業務は上限規制がゆるい

時間外労働の上限規制は2024年4月1日から自動車運転の業務にも適用されます。ただし他の業種に適用される上限より、自転車運転の業務の上限規制はゆるく設定されているのが特徴です。

36協定を締結した場合、年間の時間外労働の上限は960時間となります。加えて時間外労働と休日労働の合計を、月100時間未満かつ2~6カ月の平均80時間以内に抑える規制は適用されません。時間外労働が月45時間を超えるのは年6カ月までという規制も適用外です。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

トラック輸送業界の2024年問題

他の業種と比べると規制がゆるいものの、2024年4月1日から自動車運転の業務にも時間外労働の上限規制が適用されます。それに伴い懸念されている2024年問題では、どのようなことが起こると考えられているのでしょうか?

企業の収益減

時間外労働の上限規制が適用され始めると、企業の収益が減る可能性があります。必要に応じて時間外労働ができていたこれまでと異なり、ドライバー1人あたりの労働時間には明確に上限が設定され、その分走行距離が短くなります。

これまでとドライバーの人数が変わらなければ、運べる荷物の量が減り収益は減るでしょう。

ドライバーの収入減

基本給が安く給与に占める時間外手当の割合が高い企業では、ドライバーの収入が減ることもあります。中には生活するのに必要な金額の給与を受け取れない人も出てくるかもしれません。

運賃アップ

減少した収益をカバーし、ドライバーへこれまで通りの給与を支払うには、不足分を運賃へ転嫁する必要があります。トラック運送会社へ依頼している荷主には、運賃アップの形で2024年問題の影響が及ぶかもしれません。

2024年問題対策に向けたトラック協会の呼びかけ

トラック運送業界が2024年問題対策を行うとき、企業のみの取り組みでは限界があります。ドライバーの働き方改革を進めやすくなるよう、2019年7月1日からは改正貨物自動車運送事業法で、荷主はドライバーの働き方改革のために配慮義務を負うことが定められました。

全日本トラック協会からも、不特定多数の荷主の貨物を全国規模で輸送する「特積み輸送」を効率よく実施できるよう、荷主へ協力を呼びかけています。

参考:厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、全日本トラック協会、都道府県トラック協会|改正貨物自動車運送事業法<荷主関連部分>

荷待ち時間について

不特定多数の荷主の貨物を輸送する特積み輸送を行うとき、ドライバーは複数の荷主を回ってから配送先へ向かいます。このとき荷主の貨物をスムーズに積み込みできず発生した荷待ち時間は、効率的な業務の妨げになるものです。

1社あたり10分ほどの荷待ち時間だとしても、5社回れば50分になってしまいます。調査によるとドライバーの1日の拘束時間のうち、約10%にあたる1時間18分が荷待ち時間で消費されているそうです。

荷待ち時間が発生しなければ、ドライバーはその分早く業務を終えられます。時間外労働の上限規制を守るために、荷主の協力が欠かせない部分です。

参考:国土交通省、全日本トラック協会|荷待ち時間について荷主の皆様の御協力をお願い致します。

附帯作業について

ドライバーの仕事は本来であれば貨物を輸送することのみです。ただし荷主とのやり取りの中で、搬出や搬入、仕分け、棚入れや棚出しなどの附帯作業を行うこともあります。

これらの附帯作業にかかる時間も荷待ち時間と同じで1社あたりは10分程度かもしれませんが、特積み輸送で何社も回るとまとまった時間になってしまいます。附帯作業の料金を受け取っているなら問題ありませんが、「ついで」や「おまけ」として行っているケースは全体の66.5%にものぼるそうです。

ドライバーの負担になる作業が追加されることで、余計な時間外労働が発生している可能性があります。荷待ち時間と同様、荷主の協力がなければ減らせない仕事です。

参考:国土交通省、全日本トラック協会|附帯作業についてドライバーの負担軽減をお願い致します。

トラック輸送業界の現状をチェック

2024年4月1日から適用される時間外労働の上限規制を、トラック輸送業界の企業は規則を守った上で、これまで同様の輸送体制を維持できるのでしょうか?トラック輸送業界の現状を見てみましょう。

長時間労働が常態化している

長時間労働が当たり前になっているトラック輸送業界では、1カ月の時間外労働の平均時間が88.3時間という調査結果もあります。毎月これだけの時間外労働をしていると、1年間では1,059.6時間です。

これでは他の業界よりゆるい上限規制でも、時間外労働の時間数が超えてしまいます。調査によっては上限規制内に収まる数値が出ていることもあります。企業によっては時間外労働の上限規制を厳守するために、相当な改革が必要な状況なのかもしれません。

少子高齢化が進み人材不足

人材の高齢化が他の業種より早く訪れているのもトラック運送業界の特徴です。業務を担っている人の平均年齢は全職業の平均が42.2歳です。これに対し大型トラックのドライバーは47.5歳、中小型トラックのドライバーは45.4歳と平均より高い結果が出ています。

年長者が多く若手が少ない人材の構成から、少子高齢化が進んでいる中、若い人材の確保がなかなか進まない状況といえるでしょう。

2024年問題の解決策

時間外労働の上限規制により、ドライバー1人あたりの労働時間が減少することで発生する2024年問題の対策には、人材の確保が急務です。ただし少子高齢化により新たな人材の採用は難しい状況でもあります。このような現状で2024年問題を解決するには、ITの活用と今いる人材の離職率低下がカギとなる可能性が高いでしょう。

IT活用による効率化

ITを活用すると人が担っている業務をスピーディーに高い精度で実施可能です。例えばトラックの予約受付システムを導入すれば、ドライバーの荷待ち時間減少につながることが期待できます。

運送管理に必要な業務を全て行える機能を持つ支援システムもあります。情報をデジタルで一元管理できるようになれば、ペーパーレス化も実現可能です。

IT活用による業務効率化が実現すれば、同じ人数でもより多くの業務を行えます。

働く環境の改善

新たな人材の採用が難しいなら、今いる人材の離職率低下に向けできることを実施しましょう。労働環境の改善は離職率低下につながる施策の一つです。

ドライバーは事業所にいる時間が少なく、他のドライバーとコミュニケーションを取り合う時間が少ない傾向にあります。IT活用をする中で、気軽に連絡を取り合えるチャットツールを導入すれば、コミュニケーションを取りやすくなるかもしれません。

福利厚生の充実も働きやすさにつながります。住宅手当や食事補助の支給があることに魅力を感じ、働き続けたいと考えるドライバーもいるはずです。充実した福利厚生は、採用活動を行うときにもアピールポイントになります。

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トラック運送業の2024年問題対策は荷主との協力が必須

2024年4月1日から働き方改革関連法で定められた時間外労働の上限規制が、自動車運転の業務にも適用されます。規制に沿った運営によりドライバー1人あたりの労働時間が減ることで、企業はもちろんドライバーにも荷主にも及ぶ影響が2024年問題です。

トラック運送業が2024年問題の対策を行うには荷主の協力が欠かせません。全日本トラック協会では、荷主の協力を得やすくなるよう呼びかけを行っています。

また企業が独自で対策を行うには、IT活用や働く環境の整備が役立ちます。今いる人材が働きやすい環境を整えるのには「チケットレストラン」の活用がおすすめです。導入を検討してみませんか。資料請求はこちらから

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