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ワーケーション=デメリットだけ?企業が知っておきたい情報を解説!

2023.06.29

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ワーケーションという働き方をご存じでしょうか。仕事と休暇を並行して行う新しい勤務スタイルとして注目を集めているものの、実際に導入に踏み切る企業はまだ多くありません。新しいスタイルだからこそ、これまでの日本企業で行われてきた働き方とは相容れない部分があり、クリアしなければならない課題も存在します。

そこで、今回はワーケーションのデメリットと、導入に向けて知っておきたいポイントについて解説します。

企業内のワーケーション認知率は?

ワーケーションとは、働く(work)と休暇(vacation)をミックスさせた造語のことで、リゾート地や旅先などで「余暇を楽しみながら仕事にも取り組む」という労働の形です。新型コロナウイルスの感染拡大以降、テレワークから一歩進んだ働き方として、日本政府も積極的に推進しています。

ワーケーションは、しばしば「リモートワーク」と混同されがちですが、両者の意味は異なります。ワーケーションが「余暇と仕事の両立」を意味するのに対し、リモートワークが意味するのは、あくまでも「オフィス以外の場で仕事に取り組むこと」だからです。ワーケーションは基本的にリモートワークですが、リモートワークが必ずしもワーケーションとは限りません。

なお、国土交通省観光庁が2022年3月17日に公開した「今年度事業の結果報告」によると、従業員(2,000サンプル)のワーケーションの認知率は80.5%:経験率は4.2%となりました。これに対し、企業(600サンプル)向けの調査では、ワーケーションの認知率が66.0%:導入率は5.3%となっています。

ワーケーションという制度は広く認知されているものの、実践にはまだ至っていないという現状がうかがえる調査結果となりました。

参考:国土交通省観光庁|今年度事業の結果報告

上図のように、ワーケーションによる生産性や従業員の健康効果に関する実証実験が行われ、ワーケーションのポジティブな効果が実証されています。一方で、日本旅行とウェルビーイング・ジャパン、あしたのチームの3社が2020年8月に行った調査では、「あなたの働く会社で、将来的にワーケーションが導入される確率は高いと思いますか。」との問いに対し、従業員の70%近くが「可能性は低い」と回答しています。

経営者側も導入をためらう理由として、「休暇中の仕事の適切な評価や、勤怠管理の難しさ」、「仕事環境の整備の難しさ」などを挙げており、ワーケーションの導入に向け、越えなければならないハードルは少なくありません。

導入は非現実的?ワーケーションのデメリット

従業員のモチベーション向上や、企業イメージのアップなどワーケーションを導入することで得られるメリットもありますが、情報が少ないため、デメリットを危惧する企業や従業員が多いのも事実です。

ワーケーションに対して従業員が不安視しているのは、主に以下のような内容です。

・仕事と休暇の区別が難しくなる
・結果的に仕事をする時間が増えるだけではないのか
・リゾート地への移動費や滞在費など、どこまでが経費になるのか
・上司からきちんと評価されるかどうか

一方、企業側にとってワーケーションは以下のような課題があります。

・社外で勤務するために、仕事用スマホやノートパソコンなどの導入費用がかかる
・旅先で、資料やパソコンの紛失などにより情報漏えいの危険性がある
・従業員の労務管理や仕事の進捗状況を適切に把握できるか
・顧客対応などで突然、トラブルが発生した時に対応できるか

また、リモートワークと同様、企業内でも、ワーケーションに適した職種と適さない職種があります。事務職やエンジニア職などはオフィスに行かなくても仕事ができるケースが多いものの、接客などの業務は現場に行かなければなりません。ワーケーションの制度を使えるか使えないかで、従業員間の不公平感が高まり、社内がギクシャクしてしまうのであれば、せっかく制度を導入した意味もなくなってしまうでしょう。

ワーケーションには多くのメリットも

ついデメリットに目がいってしまいがちになるものの、ワーケーションを導入することで得られるメリットは決して少なくありません。

例えば、従業員が得られるメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 長期休暇が取得できる
  • リフレッシュやストレス軽減効果が期待できる
  • 働き方の選択肢が増える
  • ワークライフバランスが改善する

一方、企業側が得られるメリットには以下のようなものがあります。

  • 有給休暇の取得を推進できる
  • 優秀な人材の獲得・定着につながる
  • 生産性向上や業績向上が期待できる
  • 企業としてのブランディングができる

ワーケーションをじょうずに活用することで、企業は従業員の帰属意識を高め、業績向上を目指せます。自社に特有の環境や条件を踏まえ、デメリットを緩和させることで、ワーケーションの導入も現実的なものとなるはずです。

ワーケーションの実施企業数を増やすには

従業員、企業とも関心はあるものの、ワーケーション導入の実現に対しては不安を抱えているようです。ただ、関心の高さが示すように、環境が整備されていけば、導入する企業が増えていくことは予想されます。

これまで仕事と休暇は別々のものだと考えられてきましたが、ワーケーションはこの二つを両立させる新しい取り組みです。そのため、企業が単に在宅勤務の延長程度に捉えていては、従業員が取得に不安を覚えてしまいます。重要なことは、ワーケーションを実施するための新たな評価基準やシステム環境を整え、制度を使いやすい「社内風土」を作っていくことです。

また、全国の地方自治体では、観光政策としてワーケーションの導入企業を誘致しようという動きが進んでいます。例えば和歌山県は、国内有数の海水浴場がある白浜町をはじめ、県内各地にWi-Fiを整備したワーキングプレイスを設置しています。アピールの甲斐があり、2017年度からの3年間で計104社910人がワーケーションのために訪れたそうです。

長野県軽井沢市でも、観光協会などが立ち上げた「軽井沢リゾートテレワーク協会」が喫茶店や古民家のネット環境を整備し、自然の中でリラックスしながら働けるような体制を整えています。こういった自治体と連携するのも一つの手です。

参考:和歌山ワーケーションプロジェクト|和歌山県でのワーケーション実施の例
参考:軽井沢リゾートテレワーク協会|リゾートテレワークとは

まとめ

ワーケーションは新しい取り組みであり、これから改良、発展されていく働き方のひとつです。未知な部分が多いため、メリットよりもデメリットに目が向くのも当然ですが、少しでも関心があれば、「どうすればできるか?」という視点で考え、一歩を踏み出してみることが得策ではないでしょうか。

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