Workers Bistro

-働く人と働きたい人のための福利厚生マガジン-

大手企業も導入!新しい働き方「ワーケーション」がもたらす3つのメリット

2021.02.10

チケットレストランを詳しくみる

働き方が多様化するなか、旅行先などで休日を過ごしながら働く「ワーケーション」への関心が高まっています。例えば沖縄へ1週間、旅行に行き、そのうち1日だけテレワークするといったやり方です。在宅勤務から、さらに一歩進んだ働き方として、導入を検討する企業も増えてきています。

ワーケーションが注目を集める理由

ワーケーションとは、英語の「ワーク(work)」と「バケーション(vacation)」を合わせた造語のことで、元々は欧米で始まった労働のスタイルでした。リゾート地などで休暇を取りながら、ノートパソコンを使って仕事をするというオフィスにとらわれないやり方が、多くのIT技術者やビジネスマンの心を掴んだのです。

日本でも、数年前からいくつかの地方自治体などが、地域経済の活性化につなげようと、都市部の企業に対し積極的に誘致活動を行ってきました。そして2020年、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ワーケーションをどんどん進めていこうという方針を政府・観光庁が示したことで、さらに脚光を浴びるようになったのです。

オフィス以外の場所で仕事するという意味では「在宅勤務」とも言えますがが、在宅勤務との違いは、働く場所を自由に選ぶことができる点です。ワーケーションは、海外旅行先や帰省先などで仕事をすることができ、より従業員のニーズを満たす制度といえるでしょう。

企業がワーケーションを導入する3つのメリット

ワーケーションの実施には、通信環境の整備のためのコストや、旅先でのパソコンの紛失などによる情報漏洩といった不安がつきまといます。ですが、導入することで得られるメリットも少なくはありません。

ここでは、企業・従業員双方のメリットを3つ挙げてみます。

(1)従業員が長期休暇を計画的に取りやすくなる
日本人は、「周りが働いているのに、自分だけが休んではいけない」と考える傾向にあります。世界各国の有給休暇消化率を調査している「エクスペディアジャパン」によると、日本人の有給消化率は昨年まで4年連続で最下位でした。(※1、2)また、「有給休暇の取得に罪悪感がある」と答えた人は58%にはのぼります。仕事が心配で休めない人や、周りの目が気になるという人にとって、ワーケーションは願ってもない制度です。

(2)リフレッシュできる環境で働くことで、従業員が普段以上の集中力や創造力を発揮できる
NTTデータ経営研究所とJTB、日本航空(JAL)が共同で行った実証実験(※3)では、ワーケーションをした従業員は仕事のパフォーマンスが20%上昇し、ストレス反応は37%も減少したという結果が出ました。効果は5日後まで続き、従業員の生産性向上も期待できます。

(3)企業の人材確保につながる
休みが取りやすくなれば従業員満足度(ES)は上がり、離職率の低下につながります。従業員のことをしっかりと考えている企業としてアピールもできるため、採用活動にもプラスに働くメリットもあります。

ワーケーション導入で生産性がアップした企業も

ワーケーション導入は、従業員ひとりひとりの働きやすさが改善されたり、従業員の成長機会のチャンスが増えるなど、企業にとってもプラスのメリットをもたらします。

(1)JAL:有給取得率の向上
早くからワーケーションを取り入れたのが、「JAL(日本航空株式会社)」です。働き方改革の一環として2017年からスタート。これにより、長期休暇を取得した後に、急な会議などが入ってもリモートでの出席が認められ、休暇を諦めなくて済むようになりました。同社の有給取得率は、2016年度の86%から2017年度は90%へと上昇しています。(※4)

(2)ユニリーバ・ジャパン株式会社:従業員の視野拡大に
「ユニリーバ・ジャパン株式会社」は、ユニークな形でワーケーションを活用しています。(※5)同社では2016年、従業員が働く場所や時間を自由に選べる制度「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」を導入。

2019年からは全国の複数の自治体と提携し、地域の施設をコワーキングスペースとして無料で活用できる形に発展させました。その地域の課題解決に貢献した従業員は、宿泊施設に無料や割引料金で泊まることもできます。東京以外の地域とも関わりを持つ機会を作り、従業員の視野を広げ、企業内で働く以上の成長につなげるのが狙いです。また地方自治体にとっても新たな産業の創出や人口増加が見込め取組みとして、注目されています。

まとめ

ワーケーションとは、単に働き方の多様化を提案するだけではなく、オンとオフのメリハリをつけ、「従業員の活力創出につなげる」のが狙いです。従来の「仕事」と「休日」という発想を超え、新たな価値や仕事を生む制度として有効活用できれば、ワーケーションはますます広がっていくでしょう。

<参考資料>
※1:有給休暇国際比較調査2019 / エクスペディアジャパン
※2:有給休暇国際比較調査2018 / エクスペディアジャパン
※3:ワーケーションは従業員の生産性と心身の健康の向上に寄与する  ワーケーションの効果検証を目的とした実証実験を実施 / NTTドコモ経営研究所
※4:日本航空社外報「JALのワークスタイルの変革とは」 / 日本航空株式会社
※5:地域de WAA / ユニリーバ・ジャパン株式会社

導入事例ダウンロード