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離職率を下げる取り組みに成功した5事例!働きやすい環境作りのポイント

2020.09.08

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「せっかく入社してくれたのに、1年も経たずに退職していく…」活躍の場を提供してあげられなかった悔しさと、人材が定着せず採用コストだけが膨らみ悔しい思いをしている担当者もいらっしゃるのではないでしょうか?そこで、同じ経験をした企業が離職率を下げた成功事例を集めました。

退職者78,212人に聞いた辞めた理由

risyokuritsu-down-tips-1出典:前職をやめた理由 (男女別) 平成 30 年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省 )

離職者78,212人を対象とした厚生労働省の調査によると、退職理由TOP5には、「定年・契約の満了」「労働条件が悪い」「職場の人間関係」「収入が少ない」「会社の将来が不安」が挙がっています(※その他の理由を除く)。

特に、女性の1/4が、休みが取りにくい、労働時間が長いといった「労働条件の悪さ」や「職場の人間関係」を理由に退職しています。大幅な給与アップは難しいとしても、“働きやすい”環境づくりに努めることで、離職率を改善できる可能性は高いと考えられます。

事実、”働きやすい企業”では、「有給休暇の取得促進」や「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」、「人事評価に関する公正性・納得性の向上」、「仕事と育児との両立支援」などの取り組みが60%を超えています(参考※1)。

離職率を下げる取り組み成功事例

新卒入社に中途入社、いずれにしても、職場に馴染めなかったりライフスタイルの変化によって仕事を辞めざるを得なかったりという従業員が一定数います。その人たちの悩みを解消することで離職率を下げた企業の取り組みを紹介します 。

新入社員の教育制度を見直して離職率を50%から10%前後に

水産練り製品の製造・販売をしている「カネテツデリカフーズ株式会社(食品製造業、従業員395人)」では、先輩の背中を見て覚える育成方法がメインで疑問点を尋ねにくい社風だったため、入社3年以内の従業員の離職率が50%前後でした。そこで、教育制度の抜本的な見直しを行い、主に以下の取り組みを実施。

・若手社員が指導員となり、半年間マンツーマンで指導
・毎月、指導計画書を作成し、指導員と所属長からフィードバック
・個々に合わせたフォローアップ研修
・内々定者と入社前に面談し、意思確認やミスマッチの有無を確認

その結果、離職率が10%前後にまで低下。新入社員の成長だけでなく、指導員の成長やモチベーション向上にもつながり、定着率が上がっています。

業務の洗い出しで生産性を高め、休みを取りやすくした

株式会社龍乃湯(宿泊業、従業員42人)は宿泊業ということもあり休みが取りにくく、長時間労働の多い職場環境だったため、育児や介護をしている女性従業員は長く働き続けることが難しい状況でした。そこで、各部署の動きを可視化し、生産性を高める取り組みを次々に実施。

・専務が現場に入り業務の洗い出しを実施。属人化していた業務を可視化
・インカム導入など設備投資を行い、動線の見直しなどオペレーションを改善
・勤務時間インターバル制度を導入
・年間の全館休業日を増やし、公休日を増加
・人事経験者を新たに採用し、教育研修を充実
・退職金制度を再構築

日々の業務効率を見直すことで、人手不足による機会損失を防ぐことができ、休みを取りやすい環境づくりもできたようです。また、従業員が自ら生産性を高める工夫や意見を出し合うようなどプラスの効果もあり、働き続けやすい職場に変化を遂げています。

店長候補を育てる環境を整え、早期離職率を29%から6%に低減

「築地銀だこ」を展開する株式会社ホットランド(飲食業、従業員2493人)は、急速な店舗拡大をしてきたため、人材確保が追いつかず、店長を担う若手社員の定着が課題でした。そこで、同社では以下の取り組みを実施。

・店長にヒアリングし、現場の課題を把握
・SV(店長のフォローをする役職者)の人材要件を明確にし、教育体系を整備
・本部と労働時間を共有し、長時間労働防止のための応援や人員配置を見直し
・退職者面談は現場責任者ではなく人事部と面談。無理な引留めはしない

2016年は新入社員17人中5人(29%)が退職していましたが、取り組みを実施した2017年は新入社員15人のうち1人(6%)のみに減少しています。昇格基準を明確にしたことや、フォロー体制を整えコミュニケーションの取りやすい環境を作ったことが効果的だったと考えられます。

柔軟な働き方を採用し、スキル次第で評価される仕組みに

「美的感覚集団 美髪堂株式会社(理美容、従業員70人)」は、美容業からペット美容室までを手掛ける企業です。近年、応募者数の減少や人材の定着率の低さが課題だったため、以下の取組みを実施しました。

・メンター制度を導入し、コミュニケーションを強化
・各店舗に権限と予算を与え、新卒・中途採用に注力
・柔軟な働き方を採用し、フルタイムでなくても評価される仕組みを採用
・技術力の向上によって、時給が上がる仕組みを採用

メンター制度を導入したことで、コミュニケーションの取りやすい環境となり、悩みを相談できる関係性が築けていると言います。また、信頼関係が生まれ、若手社員のモチベーションアップが人材定着率にも良い影響を与えています。

エステ業界特有の働きにくさを改善、離職率を1/2に

株式会社ラヴィアンローズ(エステ、従業員数81人)のメイン事業はエステです。新入社員研修に200時間、月2回の技能研修を実施するなど力を入れてきましたが、ほとんどの従業員が3年以内に離職しており、人材の定着が課題でした。そこで、離職率を下げるために5つの取り組みを実施。

・シスター制度を導入し、入社後半年間フォロー。食事代の経費使用も許可。
・有給休暇を計画的に取得できる制度を導入。
・店長と月1回、役員と年2回の面談を実施。目標設定や悩みのフォロー。
・市場相場から基本給のベースアップを実施。
・休憩時間を固定で取得できるように改善。

現場の声をもとに働きやすい環境を整備できたことで、2014年は30%に及んだ離職率が2017年には16.2%に改善。また、社内のコミュニケーションがスムーズになったことで会社への帰属意識も高まり、仕事に対して主体的に取り組むよう改善が進みました。

まとめ

離職率を改善した企業に共通しているのは、「積極的なコミュニケーション」です。信頼関係が構築されると、一人ひとりが仕事に対して主体的に取り組むようになり、結果として離職率の改善が期待できます。まずは、現場の声を聞き、課題を洗い出すことから始めてみると、離職率を下げる改善点が見えてくるかもしれません。

参考資料
※1:令和元年版 労働経済の分析 / 厚生労働省
※2:平成29年度 人材不足分野における人材確保のための雇用管理改善促進事業 / 公益財団法人日本生産性本部

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