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《人事必見》リモートワークで組織崩壊?従業員エンゲージメントを高める具体的な方法

2021.03.18

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新型コロナウイルス感染拡大によって、リモートワークに切り替える企業が増えました。リモートワーク開始当初はメリットを享受できたものの、徐々にコミュニケーション不足や組織としての一体感が薄れたり、と新たな課題を抱える企業が増えているのも事実です。

そこで、この記事では、リモートワーク環境下における従業員エンゲージメントを高め方のヒントを紹介します。

従業員エンゲージメントとは?

「従業員エンゲージメント」は、働いている企業の経営理念や事業の方向性に共感し、自分から企業に対して貢献したいと思う意欲のことです。従業員のエンゲージメントが高いと、従業員はその企業に満足していて、やりがいや意欲を持って仕事に取り組んでいると言えます。

日本企業は従業員エンゲージメントの改善余地あり

世界約120カ国で従業員エンゲージメントを同じフォーマットで長年調査してきたタワーズワトソン(※1)によると、「日本の従業員エンゲージメントは低い」という研究結果が出ています。その背景には、日本人は仕事に対する姿勢がやや受け身で、企業や上司の決定に従う傾向があり、自分の会社がどこに向かっていて、その中で自分はどんな仕事をすべきか、一般社員が考えて提案する風土が少ないことが要因の一つと考えられます。

リモートワーク体制で従業員エンゲージメントを重視すべき理由

リモートワーク体制下では直接会って交流することができないので、社内コミュニケーションが減り、従業員や自分の部下が何を考えているか、どういう気持ちでいるか、どんな状況にいるかを把握することが難しくなります。そういった状況において、役立つのが従業員エンゲージメントです。

従業員エンゲージメントの状況を把握することによって、適切で有効な施策を検討したり、管理職者が部下とコミュニケーションを取る時のきっかけとして利用したりすることができるのです。

<従業員エンゲージメントを高めるメリット>
・帰属意識の向上(企業と従業員の関係強化)
・離職防止
・業績向上
・従業員の労働生産性の向上

従業員エンゲージメントの向上は業績アップにつながる

リンクアンドモチベーション社の調査(※2)によると、従業員エンゲージメントが向上することにより、企業の「営業利益率」や「労働生産性」が高まるという結果が出ています。「社員がどの程度、企業に愛着心や思い入れを持って前向きに仕事ができているかを数値化したものを「エンゲージメントスコア」といいますが、エンゲージメントスコアが1ポイント上昇すると、当期の営業利益率が0.35%上昇し、翌四半期の営業利益率も0.38%上昇することが判明しています。

また、「エンゲージメントスコア」と「労働生産性」にも相関関係が見られ、「エンゲージメントスコアが1ポイント上昇すると、労働生産性(指数)が0.035上昇していることから、従業員エンゲージメントの向上は企業にとってプラスの影響をもたらすと考えられます。

何から手を付ける?従業員エンゲージメントを高める方法

いざ従業員エンゲージメントを測定しようとしても、何から手をつければいいかわからない場合も多いと思います。そこで、取り組み方の一例を紹介します。

(1)企業の経営理念や方針を、全従業員に共有
具体的には月に1回、代表から従業員に対して朝礼の時間を設けて目指すべき方向性を共有したり、その方向性について従業員から意見をもらったりして相互関係にしていくと企業の方向性が浸透しやすいです。

(2)従業員エンゲージメントを図るため、測定項目を作成
「社風」「仕事のやりがい」「労働時間や職場環境」「職場の人間関係」「給与」「評価」など、従業員エンゲージメントに影響を与えると思われる要素で設定します。

(3)全従業員にアンケートを実施
「どの程度、他人に対して自分の職場をおすすめしたいか」を基準に、数段階で回答してもらいます。これにより、従業員エンゲージメントを改善するために何をすべきか、企業の課題が何なのかが明確になるのです。質問の量が多すぎると従業員の負担となり、正確な回答結果が得られない可能性があります。
また回答を分析するのにも時間がかかってしまいます。WEB上で回答できるようにして、1カ月に1回のペースで10問程度のアンケートを実施することから始めましょう。

(4)現状把握・可視化、課題の改善
従業員エンゲージメントを定期的に調査することで、定点観測で会社の状況を把握し、必要とする改善を可視化することができます。従業員エンゲージメントを高めるためには1年で終わりというわけではなく、継続して調査し、観測し、見つかった課題に対して改善を重ねていくことが大切です。

従業員エンゲージメント向上に成功した企業事例

株式会社ガイアックス

株式会社ガイアックス(※3)は、2015年9月に「事業部の売り上げを3年で10倍にする」という目標を掲げ、労働環境の改善を行ってきました。リモートワーク制度を導入して「リモートワーク費」という手当を支給するなどしています。その取り組みの中でも特徴的なのが、アメリカのギャラップ社が導入して全世界の1,300万人のビジネスパーソンを対象に実施していた従業員エンゲージメント(従業員幸福度)の調査結果を重視したことです。

一人ひとりとのコミュニケーションに力を入れ、環境を整えていきました。具体的には、従業員の意見や不満を取り入れ、給与を一律で上げたり、契約社員から正社員へ切り替えてやる気をアップさせたり、フルフレックス制度の導入などが挙げられます。従業員の声に耳を傾け、一人ひとりに適した働き方を目指して従業員の幸福度を向上させていった結果、40%近くあった離職率が直近1年では0%を達成し、1年半で売り上げを5倍に飛躍させることができました。

単に制度を導入するのではなく、目的を共有し、一人ひとりと丁寧にコミュニケーションを取り続けたことが成功につながったようです。

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社

2020年東京都のの外出自粛要請を機に、全従業員必須のテレワークを開始。混乱のなかでもすぐに体制を変更できたのは危機管理チームの存在が大きかったという。オフィスと変わらない環境を整えるために、ハードウェアの貸し出しやオンラインにて朝会を実施するなど、コミュニケーション不足にならないよう対策を実施。

テレワークが連日続く中、メンタルヘルスや孤立化をどう防ぐかが次の課題として挙がり、従業員同士のつながりを絶やさずにみんなで一体感を持てる活動として、オンラインでラジオ体操を行ったり、従業員がインストラクターになってボクササイズ、ヨガ、メディテーションを行ったりして、従業員が集える場所を提供するようになりました。オンラインではあるものの、取り組む内容次第では新たなコミュニティができあがっていき、デジタル環境の中でも従業員同士のつながりを構築できることを実感できたといいます。

また、定期的に従業員にアンケートを実施し、従業員の声を反映した今後の働き方を実現していくことでテレワーク下においても従業員エンゲージメントを高めることに成功しています。(※4)

まとめ

従業員への調査を定期的に実施し、適切な運用と課題の解決をしていくことによって、従業員エンゲージメントを高めることができます。リモートワーク環境下においても、従業員へのアンケート調査は状況を把握することは従業員エンゲージメントの改善に役立ちます。特別なことに取り組もうとするのではなく、まずは環境の変化に伴う従業員の声を聴くことから始めてみましょう。それによって、企業にとっても営業利益や顧客満足度も上がるメリットが期待できます。

《参考資料》
※1 日本はなぜ従業員エンゲージメントが低いのか?/アデコ株式会社
※2 「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開/株式会社リンクアンドモチベーション
※3 メンバーの幸福を第一に考え、3年で売上10倍を目指す最年少事業部長/株式会社ガイアックス
※4 テレワーク移行に3つのフェーズを設ける。従業員エンゲージメントを高める重要性/テレワーク・デイズ

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