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[社労士監修]有給休暇の金額を計算する方法は?給料に買取する場合の計算方法も

有給休暇

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監修者:森田修(社労士事務所 森田・ミカタパートナーズ)
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有給休暇は「業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならない」(※1)と労働基準法第39条で定められています。

月給制の従業員は有給休暇を取得した日も控除せず、1ヶ月分の給料を支払えばよいので簡単です。
では月給制でない従業員の場合はどうでしょう?

今回は、有給休暇を金額に換算する場合の計算方法や、使いきれなかった有給休暇を買取できるのかといったことをそれぞれ詳しく解説していきます。

有給休暇の金額はいくら?

有給休暇における賃金は、法律で定められた計算方法がいくつかあります。
企業によってどの計算方法を採用するかは任されています。
有給休暇を取得した従業員にその日の賃金を実際いくら支払うことになるのか。
企業としては気になるところです。
有給休暇の賃金の計算方法のそれぞれの特長を見ていきましょう。

有給休暇の賃金を計算する方法は3つ

時給制でなおかつシフト制の場合、日によって労働時間に差がある従業員もいます。その場合どのように計算するのでしょうか?
結論から言うと、有給休暇を取得した場合の賃金は計算方法が3種類あり、それぞれの計算方法によって支払う金額が異なります。
どの計算方法を用いるかは、就業規則等で定めておかなければなりません。
計算方法は下記の3種類になります。

  1. 通常勤務と同じ賃金を支払う
  2. 平均賃金を支払う
  3. 標準報酬日額を支払う

どのような計算方法かそれぞれ詳しく解説していきます。
計算の仕方を理解し、どの方法を自社で採用するか検討する際に役立ててください。

通常勤務と同じ賃金を支払う

「通常勤務と同じ賃金=所定労働時間労働した場合に支払われる賃金」を用いるケースです。
有給休暇を取得した場合はこの計算方法をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
一日の労働時間が一定の場合に用いられることが多く、パートタイムの方でもその日の所定労働時間分を支払うことになります。
つまり有給休暇を取得して休んだとしても、その日に勤務した場合と同じ賃金を支払う方式です。さらに詳しく見ていきましょう。

月給制や時給制の場合

最初に触れましたが、月給制の場合、有給休暇を取得しても控除等をせず通常の1ヶ月の賃金を支払います。
パートタイムの従業員等で時給制の場合は、有給休暇取得日の所定労働時間が5時間であれば、5時間×時間給を有給休暇分として支払います。

日給や週給についてはどうでしょう。
労働基準法施行規則第25条(※2)では所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金は以下の方法によって算定した金額とすると定められています。

第二十五条 法第三十九条第九項の規定による所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金は、次に定める方法によって算定した金額とする。
一 時間によって定められた賃金については、その金額にその日の所定労働時間数を乗じた金額
二 日によって定められた賃金については、その金額
三 週によって定められた賃金については、その金額をその週の所定労働日数で除した金額
四 月によって定められた賃金については、その金額をその月の所定労働日数で除した金額

  1. 時間によって定められた賃金(時給)の場合 → 時間給×所定労働時間数
  2. 日によって定められた賃金(日給)の場合 → そのままの金額
  3. 週によって定められた賃金(週給)の場合 → 週給÷その週の所定労働日数
  4. 月によって定められた賃金(月給)の場合 → 月給÷その月の所定労働日数

請負契約の場合

労働基準法施行規則第25条(※2)では、時給・日給・週給・月給の他にも出来高払制その他の請負制によって定められた賃金についても以下のように定められています。

六 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(当該期間に出来高払制その他の請負制によって計算された賃金がない場合においては、当該期間前において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金が支払われた最後の賃金算定期間。以下同じ。)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該賃金算定期間における一日平均所定労働時間数を乗じた金額

式にしてみると
賃金算定期間の賃金総額÷賃金算定期間における総労働時間数×1日の平均所定労働時間数

つまり、仮に直近で支払われた賃金が20日間で20万円だったと仮定して、
この20日間の総労働時間が100時間(5時間/日)だった場合、式に当てはめて計算すると
20万円÷100時間×5時間=1万円となり、有給休暇の賃金は1日当たり1万円支払うことになります。

平均賃金を支払う

次に過去3ヶ月間の賃金から算出した平均賃金を用いる方法です。
シフト制など日によって労働時間が異なる雇用形態の場合に用いられることが多くみられます。
なぜなら、水曜日は3時間、土曜日は8時間など1日当たりの労働時間がかなり異なって勤務している場合、通常賃金で計算すると、水曜日に有給休暇を取得したら3時間分しか賃金がもらえないが、土曜日に取得すると8時間分の賃金がもらえるなど差がでて不平等のように感じられるためです。

平均賃金とは、
(1)過去3ヶ月間の賃金総額÷過去3ヶ月間の「総暦日数」
(2)過去3ヶ月間の賃金総額÷過去3ヶ月間の「労働日数」× 60%
(賃金総額には各種手当・通勤費・残業手当含みます)
上記のどちらか高いほうの金額になります。

具体的には、
A月:賃金の総支給額(10万円) 勤務日数(10日間) 1ヶ月の日数(31日)
B月:賃金の総支給額(10万円) 勤務日数(10日間) 1ヶ月の日数(30日)
C月:賃金の総支給額(10万円) 勤務日数(10日間) 1ヶ月の日数(31日)

3ヶ月の賃金の総支給額(30万円)総労働日数(30日)総歴日数(92日)
となります。
先ほどの式に当てはめて計算してみます。
(1)30万円÷92日≒3,260円
(2)30万円÷30日×0.6=6,000円
高いのは(2)ですので、6,000円が平均賃金です。

(賃金の総支給額とは、所得税や雇用保険料などを差し引く前の金額になりますので注意してください。)

平均賃金方式は6掛けするので、賃金も6割程度になり通常より低くなることがほとんどです。
まれに残業や歩合給などが多額である場合は平均賃金の方が高くなることもあります。

標準報酬日額を支払う

標準報酬日額とは、社会保険料決定の基礎になる標準報酬月額の30分の1に相当する額のことです。

さらに、標準報酬日額を利用して有給休暇の算出を行うには、労使協定締結が必要となります。
労使協定とは、労働者と使用者間の合意の上、結ばれる協定のことです。
標準報酬日額を採用している企業はあまりありません。

有給休暇の買取はできる?

有給休暇が余ってしまったので買い取って欲しい!そんな従業員の声に企業は買取対応して良いのでしょうか?基本的に有給休暇の買取は違法です。

有給休暇の付与目的は、従業員に休息を与え心身をリフレッシュさせることにあります。買取をするということは、賃金は増えるかもしれませんが、休息を与えることになりません。

とはいえ、例外もあります。有給休暇の例外的な買取について詳しく解説していきます。

有給休暇を買取できる3つの例外パターン

繰り返しになりますが、有給休暇を買い取ることは基本的には違法です。
しかし、業務の都合など従業員の全てが有給休暇を全て消化できる環境にあるとは限りません。
そこで、例外として以下の3つのパターンの場合には、有給休暇の残日数を買い取ることが許されています。

  • 法律の規定を上回って付与した場合
  • 使用できる期限を過ぎた場合
  • 退職時に残っている場合

ただし、有給休暇の買取に関しては給与ではなく「賞与」として扱います。
それぞれ、どういった要件の時に買い取ることができるのか詳しく見ていきましょう。

法律の規定を上回って付与した場合

労働基準法で定められた最低限の有給休暇の付与日数を超えて、企業がより好待遇で有給休暇日数を付与している場合、企業が上乗せしている付与分に関しては買取をしても問題はありません。
例えば、入社から半年後の法定基準の有給休暇付与日数は10日ですが、企業が15日与えると定めた場合、法定基準の10日を超える5日分に関しては買取対応をしても問題がないとされています。

使用できる期限を過ぎた場合

有給休暇の時効は労働基準法115条の規定に準じ2年間(※3)です。
2年間で使いきれず取得の権利が消滅してしまう有給休暇の残日数を企業が買い取ることは、従業員にとって法律を上回る条件になるので許されています。

基準日に付与された有給休暇の日数は1年以内に使いきれなかった場合、繰越して翌年に付与される日数に合算されます。
翌々年まで使いきれなかった場合は、時効となり権利消滅です。

具体的には、3年6ヵ月目に14日付与された有給休暇をその年に5日取得し、残日数が9日の場合、翌年の有給休暇の取得可能な日数は、
4年目に付与される16日プラス残日数の9日で、その年に利用できる有給休暇日数は25日です。
さらに有給休暇25日のうち5日取得し、次の基準日が来ると、繰越していた9日のうち5日しか取得しておらず、
残りの4日は時効をむかえ取得の権利がなくなってしまうことになります。

有給休暇の時効

本来、時効でなくなってしまう有給休暇日数に関しては、企業は与えなくてよい休暇となります。
しかし、買い取ることで従業員に賞与として還元することは、法律を上回る好待遇となるため問題はないとなるのです。

退職時に残っている場合

年度の途中で退職することがわかっていても按分して有給休暇の付与日数を減らすこともできません。
退職予定の従業員が、退職までに勤務日が10日しかないのに有給休暇の残日数がまだ20日あるなど、退職までに有給休暇を消化できないケースです。
有給休暇の権利は退職と同時になくなります。
「使用できる期限を過ぎた場合」と同様に本来取得の権利がなくなる休暇なので、企業がその分を買取り、従業員に賞与として還元することは、法律を上回る好待遇となるためこちらも問題ありません。

有給休暇の買取金額を計算する方法

有給休暇の買取は法律で定めている義務ではありません。企業の裁量によって買取金額の計算方法を定めることができます。
有給休暇の買取金額は、「通常の有給休暇を取得した場合に準じて計算する方法」と「一定額を定めて一律として計算する方法」があります。

有給休暇の金額計算に役立つツール

従業員が有給休暇を取得する時期や日数はそれぞれの都合により異なります。
毎月の給与計算時に従業員の一人ひとりに合わせた有給休暇の賃金計算をしなければなりません。
給与過誤は企業の信頼にもかかわることなので正確に行う必要があります。
手間のかかる計算もエクセルのテンプレートや、計算ソフトを活用すれば、ミスも減り稼働コストも抑えることができます。
参考までに役立つツールをいくつかご紹介します。

エクセルのテンプレートを活用

少人数であれば、事務処理の定番であるエクセルのテンプレートを活用するのも良いでしょう。
高度機能ともいえるマクロを使わずにシンプルな設計で作られているテンプレートもありますし、
VBAで組まれた機能付きのテンプレートもあります。
検索してみると無料で使えるエクセルのテンプレートはたくさん出てきます。
無料のテンプレートをまずは活用し使いやすさを試してみてはいかがでしょうか。

フリーソフトやアプリを活用

エクセルのテンプレートは無料でもメンテナンスやファイルの保管が大変そうという方には、クラウド型の会計ソフトやアプリをオススメします。
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さいごに

有給休暇の金額を計算する方法について解説しました。

企業が有給休暇制度を整備し、従業員が取得しやすい環境を整えることは生産性を高めることに繋がります。
雇用形態が多様化している昨今、有給休暇の賃金の計算方法や買取についても不公平感が生じないよう、きちんと規則に定め運用していきましょう。

参考資料
(※1)
年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています/厚生労働省
(※2)
労働基準法施行規則( 昭和22年08月30日厚生省令第23号)/厚生労働省
(※3)
労基法第 115 条に規定する賃金等請求権の消滅時効等の在り方について/厚生労働省