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【社労士監修】有給休暇日数の計算方法は?パートや正社員がもらえる最大日数

2022.07.02

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監修者:森田修(社労士事務所 森田・ミカタパートナーズ)

労働基準法には、年次有給休暇に関する付与要件等が事細かに記載されています。年次有給休暇は、一定の勤務実態のある社員であれば雇用形態がアルバイトやパートであっても正社員でもあっても付与されます。そのため会社は個人ごとに年次有給休暇の付与日数の計算をしなければなりません。

2019年4月に施行された、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革推進法)により社員に対して年次有給休暇を5日付与することが義務付けられたため、より厳格な年次有給休暇の付与日数の管理が求められています。

年次有給休暇の計算方法の考え方について知り、社員に正しく付与できるように学んでいきましょう。

有給休暇の日数は?

年次有給休暇は労働基準法により、一定の要件を満たした社員全員に付与されます。

週の所定労働時間が30時間以上もしくは週所定労働日数が5日以上の社員は、雇い入れられた日から6カ月間継続勤務し、そのうちの8割を出勤した場合に10日間の年次有給休暇が付与されます。その後1年おきに1日または2日ずつ増えていき、勤続6年6カ月後に20日付与されることとなります。

 

フルタイムの社員の年次有給休暇付与日数 〇週所定労働時間30時間以上
                   〇週所定労働日数が5日以上
勤続
年数
6カ月 1年
6カ月
2年
6カ月
3年
6カ月
4年
6カ月
5年
6カ月
6年
6カ月
付与
日数
10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

年20日の年次有給休暇が社員に付与されるのは雇い入れの日から6年6カ月を経過してからですが、それ以降の年次有給休暇の付与日数は増えず、年に20日の付与で足ります。

他方、パートなど、所定労働日数がフルタイムの社員に比べて少ない社員の場合の年次有給休暇の付与日数については、フルタイムの社員の所定労働日数とパートなどの社員の所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とするとされています。

厚生労働省施行規則で定める日数は下図のとおりです。

(※1):「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」

なお図を覚えられなくても次のように計算することが可能です。

フルタイム社員の勤続年数における付与日数×パート等社員の週所定労働日数÷5.2日

なお「5.2日」とは、フルタイム社員の1週間の所定労働日数として厚生労働省施行規則で定められている日数です。(※2)

有給休暇の5日取得義務化について

年に10日以上年次有給休暇が付与される社員に対して5日以上の年次有給休暇を取得させることが、2019年4月から会社に義務付けられるようになりました。これはアルバイトやパート、非常勤や嘱託社員といった雇用形態に関係なく、年に10日以上年次有給休暇を付与される社員に対しては5日付与しなければならないということです。

「有休を取って欲しいけど社員が休んでくれない」とか「有休をとらせたら仕事が回らなくなってしまう」という経営者の方の言い分も理解できるところです。しかしながら年次有給休暇を社員に取得してもらうことは、長期的にみて会社にとっても良いことではないでしょうか。例えば、休暇取得を推進するために属人化していた業務の見直しを図ることにより、業務の停滞を防ぐことや生産性向上につながることでしょう。また複数人が仕事内容を理解することは、社員1人にかかる負担を減らせることで心理的にも体力的にも余裕が生まれます。結果として会社の生産性があがる効果があるのではないでしょうか。

有給休暇の最大付与日数

年次有給休暇は、入社6か月後に10日付与され、勤続年数に応じて付与日数が増えていきます。勤続年数が6年6カ月経過後の年次有給休暇の付与日数は20日であり、フルタイムの社員の最大付与日数となります。つまりそれ以後、いくら勤続年数が増えようとも就業規則等に特別の定めをしない限り20日が最大となります。

他方パートなど、所定労働日数がフルタイムに比して少ない社員の年次有給休暇の付与日数は当然ながらフルタイム社員を上回ることはありません。所定労働日数が4日の場合は、最大でも15日、3日の場合は11日、2日の場合は7日、1日の場合は3日と所定労働日数が減ると年次有給休暇の付与日数も段階的に減っていきます。

意外に思われるかもしれませんが、所定労働日数が1日程度であっても年次有給休暇は発生します。特に学生を多く雇用している会社は、週1日程度のアルバイト社員も多いのではないでしょうか。学生であっても年次有給休暇の付与対象となりますので、しっかりと労務管理をしていきましょう。

社員を雇用するときに提示する

賃金や休日、労働内容といった基本的な労働条件がわからない会社に入社できますか?生活の糧を得る手段としての労働の場を労働条件がわからぬまま軽々に決められる方は、ほとんどいないものと思います。

日本では、社員を採用する場合に会社は労働条件を書面で明示しなければならないと決められています。この書面のことを労働条件通知書と呼びます。労働条件通知書は、労働基準法第15条の規定により交付することが義務とされているものです。

労働条件通知書には明示しなければならない項目が労働基準法施行規則第5条により明示されています。このうち1~6は必ず明示しなければならず、7~14は定めがある場合に明示しなければなりません。なお、5に記載されている昇給に関する事項は昇給がある場合は記載する必要があります。


内容
1 労働契約の期間に関する事項
2 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
3 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
4 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
5 賃金(退職手当及び第五号(筆者注:番号「8」のこと)に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
65 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
7 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
8 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金(筆者注:1カ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当等)並びに最低賃金額に関する事項
9 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
10 安全及び衛生に関する事項
11 職業訓練に関する事項
12 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
13 表彰及び制裁に関する事項
14 休職に関する事項

※3:労働基準法施行規則第5条

年次有給休暇の付与等に関する内容は、労働条件通知書に記載する必要がありますが、これは上記表の4により規定されているからです。年次有給休暇の5日付与義務化における対策で、会社が社員の年次有給休暇の時季を指定する旨を定めた場合にも、労働条件通知書には記載する必要があります。

有給休暇付与日数の計算方法

年次有給休暇は、社員を雇い入れた日から①6カ月間継続勤務し、②全労働日の8割以上出勤した場合に与えられるものです。このように年次有給休暇が付与されるには2つの要件をクリアすることが必要です。①である継続勤務要件は比較的理解しやすいと思いますが、②は全労働日とはなにか、出勤にカウントするものはなにかといった疑問が出てくるのではないでしょうか。

そのような疑問を解決できるよう、ここからは年次有給休暇の計算方法について見ていきましょう。ざっくりとした計算の流れは、まず出勤率を求めて付与の対象になるかを確認します。この際に出勤と取り扱うケースの見逃しがないかを確認します。出勤率が算定できたら、社員の勤務年数に応じて付与日数を計算します。パートやアルバイトなどフルタイムの社員に比べて所定労働日数が短い場合は、所定労働日数に応じて比例付与します。

出勤率が8割以上か確認する

出勤率は、「出勤日÷全労働日×100」で計算することができます。このように年次有給休暇の付与要件となる出勤率の計算は、一見すると簡単ですが、出勤日とはどんな日を指すのかであったり、全労働日から除外する日とは何なのかを判定したりする必要があるため、実はとても複雑です。

出勤日として扱うケースや扱わないケースについての解説は後に回すとして、まずは全労働日や全労働日から除外される日とはどのようなものかを見ていきましょう。

全労働日とは、算定期間の総歴日数から就業規則等で定めた休日を除いた日数を指します。例えば年間休日数を就業規則等により120日と定めている会社の2022年の全労働日は、「365(総歴日数)-120(所定休日)=245」となります。例えば、全労働日245日のうち196日出勤していた場合、「196(出勤日)÷245(全労働日)×100=80」により出勤率が8割と求められ、出勤率が8割以上となるため年次有給休暇における出勤要件が満たされることとなります。

しかし全労働日に含めないとされている日が4つあります。

  1. 不可抗力による休業日
    例えば、東日本大震災など相当程度大きな災害によって事業所や工場などが全壊し、更にサプライチェーンも機能しなくなったといったケースが考えられます。
  2.  会社側に起因する経営、管理上の障害による休業日
    例えば原料の調達遅延により、社員に休業を言い渡した日などが考えられます。
  3.  正当なストライキその他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日
    全労働日のすべてでストライキが発生した場合、全労働日が0となるため、その事業所の社員は年次有給休暇が付与されなくなることになります。
  4. 代替休暇を取得し終日出勤しなかった日

出勤日として扱うケース

出勤日とは、算定期間の全労働日のうち出勤した日数のことをいいます。しかし遅刻や早退した場合はどうなるか、休日労働は出勤日になるか等は気になりますよね。出勤日として扱うケースについて見ていきましょう。

  1. 遅刻や早退をした日
  2. 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
  3. 産前産後休業期間
  4. 育児・介護休業期間
  5. 年次有給休暇を取得した日
  6. 社員の責めに帰すべき事由とはいえない不就労日で全労働日に含めないとされている日の2に該当しないもの

上記のケースは出勤したものとみなし、出勤日に参入しなければなりません。ところで「6.」は平成25年の最高裁判決によって明確になった考え方です。

八千代交通事件(平成25年6月6日 最高裁第一小法廷判決)
会社側から解雇を言い渡された社員が、その解雇は無効として訴えたところ勝訴し、復職しました。復職後に年次有給休暇を請求したところ、「会社側に起因する経営、管理上の障害による休業日」であり、当該日は労働日として算定しないため年次有給休暇は発生しないと会社に請求を拒まれました。これに対して社員は不服として裁判を起こしたところ、裁判所の判断は、労働者の責めに帰すべき事由とはいえない不就労日は出勤した日として扱うことが相当として、社員の請求を認めた事案です。

なお上記の最高裁判決を受けて、行政解釈においても会社の責めに帰すべき(=社員の責めに帰すべき事由とはいえない)休業日については、全労働日(出勤日)に含まれると改正されました。(※3)

出勤日として扱わないケース

他方、出勤日として扱わないケースは以下のとおりです。

  1. 欠勤した日
  2. 所定休日に労働させた場合の労働した日
  3. 法定休日に労働させた場合の労働した日

ところで、「2.」や「3.」により休日労働をした際の代休や振休を取得した日は、出勤日として扱うのか扱わないのかについて解説します。

振休は労働日と休日を入れ替えるため、年次有給休暇の付与において影響を与えることはありません。

他方、代休はどうでしょうか。

所定休日や法定休日に労働させた代償として代休を付与した場合は、そもそも全労働日から除外することが適当です。

会社側が任意で設定できる日について

その他、会社側が全労働に含めるか、出勤日として扱うかを任意に設定できる日をご紹介します。

  1. 育児・介護休業法による子の看護休暇・介護休暇
  2. 生理休暇
  3. 法定外休暇取得日(例えば慶弔休暇等)
  4. 通勤災害による休業

有給休暇日数の計算:正社員の場合

フルタイムの社員の場合、所定労働日数を気にする必要がない分、出勤率のみ計算すれば大丈夫です。出勤率が8割以上であるならば、勤続年数によって付与される年次有給休暇数を社員ごとに当てはめます。

例:勤続年数4年6カ月の社員の計算方法
全労働日:240日
出勤日数:216日

まず出勤率の計算をします。
216(出勤日数)÷240(全労働日)×100=90
上記計算により出勤率は9割であることがわかります。

続いて勤続年数に応じた年次有給休暇を付与します。
例において社員の勤続年数は4年6カ月ですので年次有給休暇の付与日数は16日であることがわかります(前半の「有給休暇の日数は?」の表を参照してください)。

有給休暇日数の計算:アルバイトやパートの場合

フルタイム社員に比べて所定労働日数を考慮しなければならない分、アルバイトやパートなどの計算方法はやや変則的です。例を用いて確認していきましょう。

例:勤続年数1年6カ月の社員の計算方法
全労働日:208日(週4日勤務×1年の週数である52としています。)
出勤日数:167日

まずフルタイム社員と同様に出勤率を計算します。
167(出勤日数)÷208(全労働日)×100≒80(8割以上)

なお全労働日は、フルタイム社員であれば就業規則により休日数が明らかであるため複雑さはありません。他方アルバイトやパートの社員は各月のシフトに準ずる等、勤務日数が確定されているケースの方が少ないのでないでしょうか。その場合は、過去1年間の所定勤務日数を計算することで全労働日を算出するようにしてください。

続いて勤続年数、所定労働日数に応じた年次有給休暇を付与します。今回の例では年間の勤務日数を208日としていますので、8日を付与することとなります。

有給休暇の計算をする際の注意点

年次有給休暇を計算する場合には、法律に則った計算をする必要があります。例えば出勤率の計算をする際に年次有給休暇の取得日は出勤日に算定しないといった取り扱いは違法となります。その他、計算する際の注意点をいくつかまとめてみました。

  1. 1日8時間勤務で週4日勤務している社員に対して比例付与の年次有給休暇を付与した。
    週4日勤務であっても週の所定労働時間が30時間以上であるため、比例付与ではなくフルタイムの社員の年次有給休暇を付与しなければなりません。
  2. 管理監督者は労働時間、休憩、休日の適用対象者ではないので、年次有給休暇の付与対象としない。
    例え労働基準法第41条2号に規定する管理監督者であっても年次有給休暇を付与しなければならず、計算対象に加えるようにしてください。
  3. 前回付与において出勤日数が8割に満たなかったため、今回の付与において前回予定だった年次有給休暇を付与した。
    例えば勤続1年6カ月経過時点で出勤率が8割に満たなかったため付与数が0であった社員に対して2年6カ月経過後に出勤率が8割を超えていたのであれば、12日の年次有給休暇を付与しなければならないということです。(11日ではありません)

年次有給休暇は繰越することができる

年次有給休暇は翌年度に限り、その残日数を繰り越すことができます。労働基準法第115条は、賃金請求権などの時効に関する内容について規定しています。

“”この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。””

しかし労働基準法には、ご覧のように付与年度に取得しきれなかった年次有給休暇の取り扱いについて、直接的な規定がありません。その点、行政解釈は以下のように判断しています。

“”照会:(年次)有給休暇をその年度内に全部をとらなかった場合、残りの休暇日数は権利放棄(筆者編集:元は抛棄)とみて差支えないか、又は次年度に繰越してとり得るものであるか。

回答:法(筆者加筆:法とは労働基準法のこと)第115条の規定により2年の消滅時効が認められる。”” 昭22.12.15基発第501号

このように昭和22年の行政解釈により以後、年次有給休暇には2年の消滅時効が認められることとなりました。例えばフルタイムの社員で勤続年数が7年6カ月の場合、繰り越しした日数と今年付与された20日を合わせて、最大40日の年次有給休暇を(理論上)保有できることとなります。

ここで注意すべきは年次有給休暇の最大の保有日数は、実際には40日ではなく35日であるという点です。なぜなら先ほどからご覧いただいているように2019年から年次有給休暇の5日取得義務化が会社に求められているからですね。

所定労働日数が年度の途中で変更したときの対処法

雇用契約の変更等によって年度の途中で労働日数に変更があった場合、年次有給休暇はどのようにすればよいでしょうか。

年次有給休暇は、基準日時点の所定労働日数、所定労働時間により付与日数が決まります。例えば働き始めた時点で、週2日勤務だったアルバイトやパートの社員が、勤続5カ月目にしてフルタイムに雇用形態を変更し、6カ月継続勤務(基準日)を迎えた場合、10日の年次有給休暇を付与することとなります。

その後、7カ月目から週2日勤務となったとしても付与された10日の年次有給休暇が減ることはありません。また翌年に新たに付与された段階でも前回付与された年次有給休暇は繰越されます。

有給休暇日数を計算できるツール

今までご覧いただいてきましたように、年次有給休暇は社員一人ひとりに対して出勤要件や勤続年数を確認する必要があります。社員数が5人~10人程度であればエクセル等により管理できるかもしれませんが、それが50人~100人となったらいかがでしょうか。ぞっとしますよね。

しかしコストカットの対象となりやすい管理部門であるがゆえに、勤怠管理システムの新規導入をしようとしても、経営陣から反対されてしまうと諦めている担当者様もいることでしょう。そんな担当者様のためにフリーソフトで便利と思う休暇管理システムピックアップいたしました。今回ご紹介したシステムをいくつか使ってみて自社にあったものを導入してはいかがでしょうか。

有給台帳管理システム<小規模企業無料版>

2019年施行の働き方改革推進法により年次有給休暇の5日取得義務化と合わせて、その取得状況を把握するための「年次有給休暇管理簿」の作成、そして管理簿の5年間保存が義務付けられることとなりました。

年次有給休暇の基準日はいつか、年次有給休暇を与えた場合の付与日はいつか、何日付与したのかといった点をそれぞれの社員ごとに作成しなければなりません。このような作業を一から作り上げるのは手間ではありませんか?

有給台帳管理システム」(株式会社グラス)を使用することで、そのような管理の煩雑さを軽減することができるのではないでしょうか。

システムで対応できる主なことは以下のとおりです。

  • 有給休暇年5日
  • 半日取得
  • 時間単位の取得
  • 計画的付与
  • 時季指定
  • パートタイム勤務
  • 個人毎の基準日設定
  • 部署、年度、日付でソート

専門のソフトウェア会社が作り上げた社員の年次有給休暇を管理するためのシステムであり、販売することを前提としたものであるためかなりのクオリティであることが推察されます。

ハーモス勤怠

ハーモス勤怠」は、クラウド上で管理ができる無料の勤怠管理システムです(有料プランも有り)。

特徴は以下のとおり。

  • 勤怠の打刻がICカード、LINE、Slackに対応
  • パソコンだけでなくスマホ(iOS・Android)アプリも有り
  • 複数拠点の出勤状況も把握でき、テレワークにも対応可

多様な働き方にも対応できるソフトといえるでしょう。

有給休暇に関する罰則に注意

年次有給休暇を社員が請求する時季に与えなかったり、1年度あたり10日以上の年次有給休暇を付与されている社員に対して年5日以上の年次有給休暇を付与しなかったりすることは、労働基準法の罰則をもって禁じられており、悪質だと判断されると罰金刑に処せられることとなります。

年次有給休暇は、社員が請求した時季に付与することが原則です。しかし、全社員が一斉に休暇をとったりする等、会社運営が成り立たないことが明らかな場合であっても社員に対して年次有給休暇請求権を保障することは、あまりに会社側にとって酷であるとの考慮から、上記のような場合には、これを他の時季に振り替えて与える権利を会社は有しています。この権利のことを時季変更権といいます。

ただし、なんでもかんでも時季変更権を行使できるのでしょうか。例えば年次有給休暇を請求してきた社員に対して、「今は忙しいから、また今度取得してください」といえるのかが気になるところではないでしょうか。ここで参考になるのは、昭和23年の行政解釈です。

“”照会:事業の正常な運営を保持するために必要あるときは労働者の意に反する場合においても年次有給休暇を与える時季の変更ができるか。又年度を超えて変更することもできるか。

回答:見解の通りであるが、事業の正常な運営を妨げる場合とは、個別的、具体的に客観的に判断されるべきものであるとともに、事由消滅後可能な限り速やかに休暇を与えなければならない。”” <引用:昭23.7.27基発2262号>

このように個別的、具体的に客観的に判断されるべきものとされており、単純明快な答えはありませんが、時季変更権はほぼ認められないこととなります。逆に時季変更権の行使が認められやすいケースは、例えば相当長期の年次有給休暇を請求し業務の引継ぎやその他様々な調整が困難なケースが該当すると思われます。

さいごに

雇用形態の違いにおける有給休暇の最大日数や計算方法について紹介しました。

年次有給休暇は社員の権利です。就業規則等に規定した年次有給休暇を社員に対して付与し、社員が希望どおりに年次有給休暇を取得できるような環境づくりをすることが、優秀な社員の定着や採用にも役立つことでしょう。逆に、昨今の社会全体のコンプライアンス意識の高まりにより、年次有給休暇を付与しない等、適切に対処しないことは企業のマイナス評価つながりかねません。

この機会に年次有給休暇の考え方をマスターし、日々の労務管理に役立てていきましょう。

参考資料
※1:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説/厚生労働省

※2:労働基準法施行規則 | e-Gov法令検索
※3:年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱いについて

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