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今、中小企業がSDGsに取り組む理由 | メリットや取り組み方法を事例で解説

2021.07.06

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「会社でSDGsの取り組みって何から始めたらいいの?」
「実践している企業はどんなことをしているんだろう?」
SDGsに対する世界の意識が高まる今、このように悩む企業担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、SDGsへの取り組みに関心がある中小企業の担当者の方に向けて、SDGsに取り組むメリットや方法を解説します。最後までお読みいただくと、企業としての具体的な方向性がイメージできるようになるでしょう。

そもそもSDGsとは?-17個の世界共通の目標

「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」は「Sustainable Development Goals」を略したもので、持続可能な開発目標と訳されます(※1)。

具体的には、17のゴールと169のターゲットに基づき、「2030年までに持続可能な社会を目指そうという世界共通の目標」です。17のゴールは(1)貧困や飢餓など社会面の課題(2)エネルギーや資源の有効活用など経済面の課題(3)気候変動など地球規模の環境面の課題、の3つの側面から構成されています。

17の持続可能な開発目標

(1)貧困をなくそう
(2)飢餓をゼロに
(3)すべての人に健康と福祉を
(4)質の高い教育をみんなに
(5)ジェンダー平等を実現しよう
(6)安全な水とトイレを世界中に
(7)エネルギーをみんなにそしてクリーンに
(8)働きがいも経済成長も
(9)産業と技術革新の基盤をつくろう
(10)人や国の不平等をなくそう
(11)住み続けられるまちづくりを
(12)つくる責任つかう責任
(13)気候変動に具体的な対策を
(14)海の豊かさを守ろう
(15)陸の豊かさも守ろう
(16)平和と公正をすべての人に
(17)パートナーシップで目標を達成しよう

菅首相は、「2050年に二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする」と宣言しましたが、各国政府の取り組みだけでこれらの課題を全て解決することは困難であり、地方自治体や企業、さらには一人ひとりの行動が求められます。

SDGsに取り組む企業が増えている理由

帝国データバンクが2020年6月に実施した「SDGsに関する企業の意識調査」(※2)によると、SDGsに取り組んでいる企業は8.0%、取り組みたいと思っている企業は16.4%という結果でした。また、4社に1社はSDGsに積極的であり、今後もその割合は高まっていくのではないかと想定されます。なぜなら、世界全体がSDGsの達成を目指している中で、これを無視して事業活動を行うことは企業価値の低下につながる可能性があるからです。

例えば「ESG投資」と呼ばれる、「Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス)の要素を考慮して企業を選ぶ」という投資の動きが世界で広まっています。事業活動を行ううえで環境保護に配慮しているか、地域社会にどれだけ貢献しているかといった基準で、投資家は企業の価値を判断するようになっているのです。

そのような背景からも、今後はSDGsに取り組まないこと自体が企業にとってリスクになると考えられるでしょう。

一方で、SDGsを積極的に経営に取り込む、いわゆる「SDGs経営」をする企業は、年間12兆ドルとも言われる新たな市場機会が生まれ可能性があります。(※3)。さらに「ジャパンSDGsアワード」において国から評価を受けられれば、SDGs達成のため優れた取り組みを行う企業として大きなブランディング効果を得られるでしょう。世界的な課題を解決するためにSDGs経営を行うことは、結果として企業そのものの持続可能性を高める意味もあるのです。

どうやってはじめる?中小企業のSDGsに対する取り組み方

中小企業がSDGsの取り組みを始めるにあたり、ベースとなる考え方を説明します。

(1)自社が貢献できる事業活動をみつける
まずは、自社の事業活動とSDGsの17のゴールを紐付けることから始めましょう。17個を網羅しなければいけないわけではなく、その中から一つや二つでも自社が貢献できるものを見つけることが大切です。自社の取り組みはどのゴールと関連があるのかを整理することで、同時にSDGsへの理解も深まります。

(2)ゴールを決め、取り組むべき課題を明らかにする
次に、紐付けたものの中から特に自社が貢献できると考えるゴールを選び、169のターゲットの中から優先的に取り組むべき課題を見つけましょう。そして、優先的に取り組むべき課題に対し、具体的にどのような行動を起こせるのかを考え、自社のSDGsの取り組みを決定します。

(3)中小企業のSDGs経営を支援する外部への相談も可能
この一連の流れで大まかなイメージはできるかと思いますが、より具体的にサポートを受けるため、外部への相談も有効です。一般社団法人SDGs支援機構や、独立行政法人中小機構では、中小企業のSDGs経営を支援しています。何をすれば良いのかわからない場合はもちろん、既に取り組みを始めている企業であってもサポートを受けられるため、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

《事例》中小企業ができるSDGsの取り組みとは?

ここからは、SDGs経営を実践している中小企業の事例をご紹介します。ご覧いただくと、どの企業も自社の既存事業をSDGsの取り組みへと発展させていることがわかるでしょう。特に中小企業においては、一から新しいことを考えるのではなく自社の強みを生かすことが大切です。

(1)株式会社山翠舎(※4)

長野県で木工所として創業した同社は、地元で空き家となった古民家が社会問題化している点に注目しました。古民家には現在では入手困難な樹種や大きさの構造材が使用されており、それらを「古木」としてブランド化し、インテリアなどに活用するビジネスを展開しています。

廃材となる可能性があった資源を再利用することで廃棄物削減に貢献し、さらには空き家のリノベーションによって地域課題の解決にもつながっています。この取り組みは、SDGsの17のゴールのうち、例えば12「つくる責任つかう責任」、すなわち持続可能な生産消費形態の確保に紐づくでしょう。

古木を使用した設計施工受注は8年で約400件(2017年時点)となり、同社の取り組みは職人の若返りにも効果をもたらしています。

(2)株式会社大川印刷(※5)

横浜の老舗印刷メーカーである同社は、印刷を通じてSDGsの達成を目指しています。具体的な取り組みとしては、FSC森林認証紙や石油系溶剤0%のインクの使用、針金を使用しない製本などといった環境負荷の低減に特化した印刷サービスを提供するというものです。

また、「SDGsを忘れないメモ帳」というSDGsの17のゴールを整理したメモパッドなど、印刷メーカーだからこそのユニークな製品を開発しています。SDGsに取り組むことで、持続可能な調達に関心の高い企業や団体との新規取引が増加し、結果として企業の売り上げもアップしています。

(3)株式会社SAMURAI TRADING(※6)

食品会社としてスタートした同社は、業務用デザートを生産する際に排出・廃棄される大量の卵殻に注目しました。卵殻を持続可能な資源へ転換するため研究を開始し、卵殻を使用したバイオマスプラスチックなどの製造・販売、廃棄物の削減に成功しています。

さらに、廃棄物処理にかかっていたコストを植林にシフトすることで二酸化炭素の削減にもつとめ、そのビジネスモデルはさまざまな賞を受賞しています。SDGsの取り組みは「企業価値の向上や持続可能な社会構築に貢献するだけでなく、事業機会の創出・拡大や人材・パートナーの確保にも繋がる」と同社は述べており、その成果や効果は企業に大きなメリットとなることがわかるでしょう。

まとめ

SDGsの取り組みは、2030年へ向けて今後さらに重視されていくと考えられます。企業そのものの持続可能性を高めるうえで、なるべく早く行動を起こすことが必要です。

まずは、自社の事業活動をSDGsのゴールに照らし合わせ、どのような貢献ができるか考えてみてはいかがでしょうか。

<参考資料>
※1:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組/外務省
※2:SDGsに関する企業の意識調査/株式会社帝国データバンク
※3:SDGs経営ガイド/経済産業省
※4:株式会社山翠舎
※5:株式会社大川印刷
※6:株式会社SAMURAI TRADING

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