チケットレストランWorkers Bistro福利厚生[社労士監修]福利厚生費は人件費?人事・総務が知っておきたい福利厚生費の役割
福利厚生費 人件費

[社労士監修]福利厚生費は人件費?人事・総務が知っておきたい福利厚生費の役割


————————————————-
監修者:久米和子(Reiwa社会保険労務士事務所)
————————————————-

人事・総務部に配属されたら必ず関わる人件費。人件費と聞いて「給与のことでしょ」と思う方もいらっしゃるいと思いますが、実は人件費には給与以外にもいろいろな費用が含まれています。

その一つが「福利厚生費」です。福利厚生費は、従業員の満足度をあげるための「サービス提供費」のような役割をしています。今回は、そんな福利厚生費の役割と重要性を詳しく解説していきます。

人件費とは何か

人件費とは、会社が従業員に対して使用する費用のことです。給与や賞与(ボーナス)の他にも、社会保険料や退職金、福利厚生費なども人件費に含まれます。

人件費 福利厚生費

また人件費は、ただ費用を把握するためだけに集計するわけではありません。

例えば、売上に対して従業員一人当たりどのくらいの収益を上げているかを把握する「労働生産性」の算出に使われたり、税務署に毎年申告しなければならない「概況書」に使われたりなど、さまざまな場面で使われます。

ただ「概況書」に関しては人件費から「福利厚生費」を除いた費用を「労務費」として申告することになっています。

人件費の中でも「福利厚生費」は直接的な人件費ではなく、間接的な人件費になるため、使用する場面によっては人件費から除いて計算されることがある特性をもっているのです。

人件費と福利厚生費

次に人件費と福利厚生費がどういう関係なのか解説していきます。

人件費と福利厚生費の違い

繰り返しになりますが、人件費には「福利厚生費」も人件費の一部として含まれています。例えば、紙幣の中に1万円札や5千円札があるように、人件費の中にも給与や退職金、福利厚生費などを費用が含まれており、総称して人件費と呼んでいます。

つまり、人件費は「人に関わる費用の総称」で、福利厚生費は人件費の中でも「従業員へのサービス提供費」という違いがあります。

割合はどの程度であるべきか

では人件費の内、福利厚生費はどの程度の割合を占めているのが適正なのか、気になるところだと思います。

2019年に日本経済団体連合会が行った調査によると、福利厚生費の現金給与総額に対する比率は 19.8%と公表されています。このことから、従業員1人あたりにかける福利厚生費の割合は20%前後が目安だと考えてよいでしょう。

福利厚生費 平均

また近年、政府から「健康経営」の普及・推進が掲げられたことで、福利厚生費の割合は年々増加傾向にあります。その影響で「 福利厚生が充実している=働きやすい会社」と捉える人も多くなり、良質な人材の確保や、離職率の低下を目的として福利厚生を充実させる会社が増えています。

物件費の扱いについて

人件費と似たような経費で「物件費」という費用があります。これは、地方公共団体が支出する賃金、旅費、交際費などのことを言い、人件費は含まないので注意しましょう。

人件費に分類される項目

ここからは、人件費に分類される項目を詳しく解説していきます。

(1)給与手当
給与手当は、基本給はもちろん時間外手当、家族手当、別居手当など、毎月一回定期的に支払われる手当が給与手当に分類されています。

(2)賞与
賞与とは、いわゆるボーナスのことです。
会社の業績や従業員の評価によって金額が決定し、給与とは別に支払われる一時金を賞与といいます。支払われる金額があらかじめ決まっていないものを指します。(労働基準法第24条第2項の例外)

(3)役員報酬
役員報酬は、取締役や監査役など、会社の役員に支払われる報酬です。
従業員に支払う給与とは会計上扱いが異なるため、給与手当とは別項目になっています。

(4)法定福利費
法定福利費とは、法律で支払いが義務付けられている福利厚生費のことをいいます。例えば、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料、子ども・児童手当拠出金、これらをまとめて法定福利費と呼んでいます。

ちなみに、社会保険料のうち、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料を社会保険料と呼び、雇用保険料と労災保険料を労働保険料と呼びます。

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料と雇用保険料は従業員と会社が折半して負担しているので、法定福利費として計上するのは「会社負担分」のみとなります。

従業員から天引きしている健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料は従業員自身が負担をしているので会社の人件費にはなりません。

(5)法定外福利費
法定外福利費は、法定福利費以外の福利厚生費のことで、会社が独自で設けた福利厚生に使われる費用を指します。家賃補助や食事補助、資格取得手当などが法定外福利費の費用に該当し、外部の福利厚生サービスを利用した費用も法定外福利費です。

具体的には、

・スポーツクラブの利用料が安くなるサービス
・旅行・宿泊費用が安くなるサービス
・育児・介護支援をしてくれるサービス
・昼食費を支援してくるサービス

など、さまざまなサービスがあります。

(6)福利厚生費
法定福利費と法定外福利費のをまとめて福利厚生費と呼んでいます。法定福利費は社会保険料などの公共の保険費用で、法定外福利費は会社が独自で設けている福利厚生の費用です。

(7)退職金
退職金は、従業員の退職に伴って支払われる賃金で、費用は会社の規定に基づき積み立てられています。支払い方法としては、一時金や年金などがあり、会社によって支払いが異なるのが特徴です。

(8)人材研修費
従業員のスキル向上を図るため、会社が従業員の研修費用を負担する場合に発生する費用です。
社内に講師を呼んだり、外部セミナーを受講させたりする費用として使われます。

(9)人材採用費
新卒採用や中途採用を行うときに発生する費用です。
求人の掲載や転職エージェントへの成功報酬など、採用に関わる費用は人材採用費として人件費に含まれます。

まとめ

人件費は給与だけではなく、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料や福利厚生費なども含まれています。その中で福利厚生費は、従業員の満足度をあげるための「サービス提供費」のような役割をしています。採用や離職率の低下に繋げられるため、とても重要な役割を担っているのです。

————————————————-
監修者:久米和子(Reiwa社会保険労務士事務所)
————————————————-

<参考資料>
第64回福利厚生費調査結果(2019年度)/一般社団法人 日本経済団体連合会