チケットレストランWorkers Bistro人事・採用福利厚生の充実=離職率が低いはウソ?人事担当が解説する働きやすい会社の特徴

福利厚生の充実=離職率が低いはウソ?人事担当が解説する働きやすい会社の特徴


転職を考えたときに「給与は高いけど、離職率も高い会社」にするべきか、「給与は低いけど、福利厚生は充実していて離職率も低い会社」にすべきか、悩む人も多いのではないでしょうか。

一般的に、福利厚生が充実している会社は離職率が低いと言われていますが、”福利厚生の充実=離職率が低い”とは言い切れません。離職率の高さは職場のコミュニケーション不足から発生することが多く、働きやすい会社に共通しているのは”コミュニケーションを取るための仕組み”があるか、どうかです。この記事では、11年人事担当をしてきた筆者が会社選びのポイントについて解説します。

福利厚生が充実している会社は離職率が低いのか

福利厚生には、健康保険料や雇用保険料など従業員にかかる保険料を会社も負担するという法律で定められた「法定福利」と、住宅補助や食事補助、託児施設、スポーツ活動費の補助など、会社が独自に導入した制度「法定外福利」があります。

福利厚生はあくまでも、従業員の働きやすさや安心感、自己成長を促す制度であり、従業員がその部分に価値を感じて「この会社で働いていたい」という労働意欲となって会社に定着します。

筆者は人事担当を11年してきましたが、「従業員が働きやすい会社の共通点」とはずばり「居心地の良さ」と考えます。退職理由の一つに「職場の人間関係」(※1)が挙げられますが、人間関係の良い会社では、例え業績が落ちようとも退職する人は少なく、なんとか会社の危機を乗り越えようと一丸となります。

出典:前職をやめた理由 (男女別) 平成 30 年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省 )

一方、食事補助や家賃補助、おしゃれな社内カフェなど、どんなに福利厚生が良くても、モラハラ・パワハラが日常的に行われている会社だと、仕事を続けられません。また、同年代よりも高い給与をもらっていたとしても、一人の業務量が多く、残業が続いたり、休日出勤が多かったりする場合は、いきいき働ける会社とは言い難いものです。

働きやすい会社とは、社員一人一人がお互いを人間として尊重し、協力的な関係を築きあげており、”心理的安全性が保たれている会社”だと考えていいでしょう。そのための福利厚生であれば離職率の改善に有効と言えますが、使われない福利厚生であれば決して離職率改善に有効とは言えません。

どんな福利厚生があると離職率低下につながる?

では、どういう福利厚生であれば「福利厚生が充実している」と言えるでしょうか。パーソルキャリア株式会社の調査(※2)によると、福利厚生の中でも満足度が70%以上だった項目は下記のとおりです。

・慶弔・災害見舞金
・育児・介護休業
・出産お祝い金
・医療・保険(保険加入補助など)
・特別休暇制度
・通勤手当支給
・カフェテリアプラン
・従業員の財産形成
・自己啓発支援

共通するポイントは「従業員に対して優しい会社と感じる」ことです。また、家族手当など対象者が限られているものよりも、全ての従業員が受けられる手当の方が不公平感がなく、より満足度が高いと言えるでしょう。

どんな福利厚生があると離職率低下につながる?

一言で福利厚生といっても、法定外福利厚生は会社によってさまざまです。また、コロナ禍において、リモートワーク推奨による在宅勤務手当(光熱費の補填やディスプレイ支給など)を支給する企業が増えています。

ここでは、離職率の低下につながった福利厚生や社内制度の事例を紹介します。

(1)サイボウズ株式会社(ソフトウェア業、従業員541名)
「100人いたら100通りの働き方」があってよいという考えのもとに、さまざまな福利厚生や制度を充実させてきました。その一つに「育児介護休暇」が挙げられます。多くの企業は、育児介護休暇が取得できる期間は1年〜1年半、長くても3年です。

ところが、サイボウズ株式会社では最長6年間取得できます。また、「産前休暇」を妊娠判明時から取得できます。産前休暇は、出産予定日の6週間前から取得するのが一般的なので、従業員を大切にしていることが伺えます。

実は、こうした取り組み前は28%(2005年)と高い離職率でしたが、その後福利厚生を改善するなど従業員の声を聞き、会社のあり方を見直したことで、2019年には離職率が4%前後にまで改善されました。(※3)

(2)株式会社ジオコード(WEBマーケティング業、従業員127名)
株式会社ジオコードでは、どんな福利厚生があったら嬉しいか、従業員から毎年アンケートをとっています。そのアンケートから採用された福利厚生に「無料軽食制度」があり、毎日16:30になるとサンドイッチやおにぎりが会社から支給されて、従業員は20分ほど休憩をとります。従業員は小腹が空いたときに軽食を楽しむことができ、休憩中に従業員が他部署の人と気軽に話すことができるため、社内コミュニケーションの活性化にも役立っています。(※4)

また、ユニークな福利厚生として「サッカー休暇制度」があります。ワールドカップやオリンピックの時期に発令される特別休暇で、サッカー日本代表の試合に合わせて会社が休みになる制度です。オフィスに集まってサッカーを観戦したり、社内のサッカー部やフットサル部、その他の部活動を促進してコミュニケーションを促進しています。このような福利厚生を取り入れた結果、離職率が年々低下していきました。(※5)

まとめ

福利厚生は、従業員を大切にしているかどうかを示すひとつの指標です。そのため、福利厚生の充実が従業員の働きやすさや定着率に寄与していることは確かです。

昨今、働き方改革によって働き方の多様性が広まっており、新型コロナウイルス感染予防のために在宅勤務としている企業も増えています。そのなかでは、従来のような福利厚生ではなく、コミュニケーションが取りやすい環境やそれをサポートする福利厚生があると、安心して働くことができます。

※1:前職をやめた理由 (男女別) 平成 30 年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省 )
※2:福利厚生は従業員定着につながるのか?20代・30代が本当に求める制度を調査/DODA ジャーナル
※3:ワークスタイル/サイボウズ株式会社
※4:軽食の無料配布でコミュニケーションアップを実現(株)ジオコードの取り組み【前編】/ビルディンググループが提供するオフィス情報サイト
※5:社内制度で離職率が低下!ジオコードの取り組み【後編】/ビルディンググループが提供するオフィス情報サイト