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健康経営とウェルビーイングの違い】重要性や指標を解説!施策例と成功企業事例も

2023.03.13

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働き方改革が推進される中、重要なキーワードとして注目されているのが「ウェルビーイング」です。政府も推進に注力する「健康経営」にも「ウェルビーイング」は深い関わりがあります。今回は、健康経営とウェルビーイングの違いやそれぞれの定義や目指す姿を解説します。健康経営に近づくためにウェルビーイング実現に向け、おすすめの施策や企業の成功事例も見ていきましょう。

健康経営とウェルビーイングの違いとは?

「健康経営」と「ウェルビーイング」は、日本国内のビジネスシーンで注目されているキーワードです。健康経営とウェルビーイングは混同されがちですが、定義が異なります。

「健康経営」は企業が目指すべき企業運営の在り方です。一方「ウェルビーイング」は、人間の生き方や概念の一つです。健康経営を実現するためには、企業は「従業員がウェルビーイングを実現できているか」を監督する必要があります。

2つの違いをより深く理解するために、成り立ちや目的について、細かく見ていきましょう。

健康経営とは

健康経営とは、1990年代にアメリカで提唱され始めた「健康な従業員こそが収益性の高い会社を作る」という主張が基礎となっています。

日本では深刻な少子高齢化を受け、今後人材不足があらゆる企業を円滑に経営・運営していくための大きな課題になると考えられています。企業が従業員の健康に配慮することは、経営戦略の重要な要素の一つです。

これを受け、2006年にNPO法人健康経営研究会が発足されました。同研究会では「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」という考えを基盤に「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与すること」が今後の経営戦略に必要と主張しています。

近年、地球の環境維持や全人類の幸福、発展途上国の成長のために、国際社会全体で取り組むべき活動としてSDGsが注目を集めています。SDGs活動は、企業経営や成長とは、切っても切れない関係にあるとされており、日本国内の企業にとって健康経営はSDGsの観点からも重要な取り組みです。日本企業や日本全体が、世界から取り残されないようにするためにも、健康経営に着目した企業づくりが必要といわれています。

健康経営が目指すもの

経済産業省が2021年に発表した「健康経営の推進について」を参考にご紹介します。

健康経営は「健康投資」ともよばれ、人道的視点からみて意義のある取り組みなのは、誰の目から見ても明らかでしょう。自身の健康を守り、改善するために投資してくれる企業に対して、多くの従業員がワークエンゲージメントを持つことができるはずです。

また、心身が健康でワークエンゲージメントが高い状態の人は、パフォーマンスも向上すると見られています。採用活動においても、健康経営に乗り出し、従業員がイキイキと働ける会社として一定の評価が出ることでしょう。通院や入院が必要な健康問題を抱える従業員が少ないことで、企業が負担する医療費の減少も期待できます。

さらに健康経営を実践する企業に対し、国をあげてさまざまな取り組みが導入されています。経済産業省が主体となる健康経営優良法人認定制度健康経営銘柄選定、自治体による表彰やインセンティブ制度などを設けています。厚生労働省や法務省なども優遇措置を実施するなどして、日本社会全体が健康経営にメリットを感じやすいように働きかけているのです。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイングは、1946年の世界保健機関(WHO)設立の際に考案された憲章の一つです。ウェルビーイングを英語にすると「Well-being」。つまり「良い在り方」「健康」「幸福」などを意味します。

ただし、ウェルビーイングは企業にとって都合の良い「従業員としての良い在り方」を推奨するものではなく「従業員一人ひとりが心身ともに健康で、社会的にも満足した生活を送り、幸福な状態」を表現した概念と捉える必要があります。つまり、企業の従業員としてではなく、人間として従業員が満足度の高い生活を継続していけることが、ウェルビーイングの実現には欠かせません。ウェルビーイングを推奨するのであれば、企業はこの点に注意が必要です。

厚生労働省では、2019年に発表した「雇用政策研究会報告書」のなかで「ウェル・ビーイング」とは「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」と位置づけています。

ウェルビーイングが目指すもの

ウェルビーイングは健康経営を実現するための一つの指標でもあります。健康経営の実現には「安全と衛生」「健康増進」「働きやすさ」「働きがい」「生きがい」への取り組みが非常に重要です。既出の健康経営委員会では、ウェルビーイングを「生きがい」と位置づけ、健康経営を叶える最終段階として紹介しています。

つまり、ウェルビーイングは健康経営における他の4つの指標「安全と衛生」「健康増進」「働きやすさ」「働きがい」が実現できた先に叶うものであるという考えです。ウェルビーイングは人間として当然の在り方ではあるものの、企業の従業員としては権利や健康が守られたたうえで実現できるものといえます。同時に、企業にとっては侵してはならない、一人ひとりの従業員のために実現を図るべきものといえるでしょう。

健康経営を叶えるウェルビーイング施策例

健康経営とウェルビーイングの違いとは、健康経営が企業戦略として全企業が目指すべき姿であるのに対し、ウェルビーイングは健康経営を叶えるために、企業が配慮すべき概念と理解すると良いでしょう。両者には深い関係性があり、ウェルビーイングを実現させる施策に取り組むことで健康経営に近づけます。健康経営を叶えるためにおすすめなウェルビーイング施策例を具体的に見ていきましょう。

食事補助などの福利厚生

採用活動や従業員の心身の健康、食事と生活の質を向上させるために福利厚生を図る企業が増えています。ウェルビーイングの実現にも、効果的な福利厚生を取り入れるのが早道です。福利厚生として代表的なのは、住宅手当や食事補助、さまざまな手当などでしょう。

2015年にマンパワーグループが行った福利厚生についての調査では「実際にあってよかった会社の福利厚生」の第一位が「食堂・昼食補助」でした。「会社の福利厚生として良いと思うもの」では2位でしたが、社食や昼食補助が従業員に喜ばれる福利厚生であることは疑う余地がなさそうです。また、食事は健康に直結するため、健康経営に向けた取り組みとしても有効な施策です。

現代のビジネスシーンでおすすめなのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。チケットレストランは、従業員の健康づくり、栄養管理に直結した電子カード配布型の食事補助サービスです。出社する従業員はもちろん、リモートワークやワーケーション、交代制シフトや出張など多様なワークスタイルの全国の従業員が利用できるため、公平で使い勝手が良いサービスだと好評を得ています。

「チケットレストラン」を導入した企業は、「利用率99%・継続率98%・満足度90%」と数値が出ており、重宝されていることが伺えます。チケットレストランへの加盟店は、2023年1月現在、7万店を超え、ヘルシー志向のレストランやカフェも加盟しています。さまざまな好みや食に関する特性、規制がある人にも平等に健康な食事を提供できます。

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ハラスメント防止宣言

従業員の心身の健康を守り、働きがいや生きがいを感じられる企業づくりには、企業がハラスメント行為に対し、明確に「NO」を表明することも必要です。ハラスメントは違法行為として法務省や厚生労働省も規制に力を入れています。

ハラスメントをわかりやすく言い換えると、「嫌がらせ」に近いでしょう。大企業だけでなく、中小企業にもこの法律が適用されたのは「国内のすべての企業がハラスメント行為を許してはならない」という政府の意思の表れでもあります。

ハラスメントを規制する法律は、いわゆる「パワハラ防止法」と呼ばれるのが一般的ですが、マタニティハラスメントやセクシャルハラスメントなど、採用面接時のハラスメント行為など全ハラスメント行為を禁ずる法律です。ウェルビーイングと健康経営の実現を目指す企業は、全従業員にわかるように「ハラスメント防止宣言をする」「相談窓口を設ける」などの施策を行い、ハラスメントに対して強い拒否の姿勢を見せることが求められています。

社内コミュニケーションの活性化

従業員の働きやすさや心身の健康には、1日の大半を過ごす職場のコミュニケーション活性化が必須です。ウェルビーイングを叶え、健康経営が徹底された企業の多くが、社内コミュニケーションの促進に注力しています。

社内コミュニケーションの活性化には、企業独自の「レクリエーションやコミュニケーション機会の創出」「チャットツール導入」「1on1の徹底」などが有効だと考えられています。同僚同士、上司と部下、経営層と従業員の垣根が下がれば、全ての従業員が働きやすく、心身の健康を損ねる前に相談ができる環境が整うでしょう。こうした環境から得られる安心感がさらなるウェルビーイングと健康経営を実現させるのです。

労働環境の見直し

労働条件や労働環境を整えることも従業員のウェルビーイングに寄与する施策の一つです。2019年から施行された働き方改革推進のためにも、健康経営の評価項目としても重要視されている、長時間残業の是正や柔軟な働き方の促進に取り組む必要があります。

長時間労働とされる労働時間数に定義はありませんが、労働基準法によると基本的な労働時間は1日8時間、1週間に40時間と定められています。これを超えて働く時間を時間外労働時間と呼び、時間外労働が頻発する場合は長時間労働とされます。ちなみに、長時間労働を起因とした過労死と認定されるには「1カ月100時間・6カ月平均80時間」という基準があるそうです。このような一般的とは言い難い長時間労働を、全従業員に強いることがないように、企業は業務量を監督、およびコントロールする責任があります。

また、職場は多くの時間を過ごす場所です。従業員が健康的、生産的な環境下で仕事ができるよう、衛生環境やオフィス環境を整える義務もあります。

これらは健康経営の指針でいうと「安全と衛生」にあたる部分なので、守られていて当然であり、一見ウェルビーイングには深く関与しないかのように捉えられがちです。しかし、従業員の「安全と衛生」が基礎にないとウェルビーイングは成り立ちません。企業は労働時間と労働環境の是正に向けた施策、アンケートや施設投資、業務量・内容の共有などに努めましょう。

ウェルビーイングを実現させた健康経営企業の成功事例

ウェルビーイング実現に向けた施策を実行することで、健康経営も叶えた企業の成功事例を見ていきましょう。

味の素

味の素株式会社(以下、味の素)は、企業理念に「Eat well, Live well」を掲げ、健康経営の概念が日本に定着する前から「食べがい」とともに「生きがい」を追求してきた企業です。例年健康経営優良企業の大企業部門にも選出され、国内の働き方改革促進にも寄与している企業として知られています。

味の素では自社製品による食からアプローチした健康施策はもちろん「所定労働時間の20分短縮による、7時間労働制」「健康状態を可視化した独自サイト(My Health)導入」「始終業時刻の大幅な前倒しが可能なスーパーフレックスタイム」「すべての不調発見の入り口となる全員面談」などの取り組みを行っています。

これらの施策により「自分で健康になる」を社内共通の合言葉にセルフ・ケアを起点としたウェルビーイングと健康経営を実現しています。

出典:https://kenko-keiei.org/document_dl/symposium0507.pdf
参考:https://www.ajinomoto.co.jp/

楽天

インターネット通販大手、楽天グループ株式会社(以下、楽天)は、経済産業省が定める健康経営優良法人認定制度において、上位500法人に与えられる「ホワイト500」に認定されています。楽天では新型コロナウイルスの存在を前提とした「ニューノーマル時代の持続可能なチームの在り方」として「コレクティブ・ウェルビーイング」と名付けたウェルビーイングへの取り組みを社内外に推奨しています。

主な内容は「企業」と「働く個人」の両側面から、3つの要素「仲間」「時間」「空間」(三間)の設計と、それぞれに「余白」を設けることが大切だとする三間+余白を意識する施策です。楽天では三間+余白が確立できてこそ、一人ひとりがウェルビーイングをセルフプロデュースできると考えています。

コレクティブ・ウェルビーングに成功したチームや従業員などの三間をつなげるアイスブレイクツールを2つ開発・導入も始めています。1つ目は、自分自身のエピソードをチームでシェアできる「Raku Chat」、2つ目は、アドベントカレンダーに着想を得た「さんまカレンダー」です。こうしたツールを利用し、個人が自分なりの「良い在り方」を追及していける体制づくりに成功したのです。

出典:https://corp.rakuten.co.jp/collective-well-being/
参考:https://corp.rakuten.co.jp/

エステー

株式会社エステー(以下、エステー)は「空気をかえる」を企業スローガンに、自社の事業を「空気ビジネス」と捉え、顧客の暮らしを明るく元気にする商品の会社を開発する、日用品メーカーです。エステーも2022年健康経営優良法人認定制度の大企業部門に選定されています。

エステーは、国内でトップクラスの日用品メーカーですが、従業員数は現在も450名あまりで、管理側と従業員との風通しがよいなど、和気あいあいとした組織づくりを心掛けています。エステーでは、法定内福利厚生の充実のほかに、さまざまなスポーツでのクラブ活動を通したコミュニケーションづくり、介護支援や住宅支援など一般的な福利厚生をそろえるほか、社外サービスを利用したウェルビーイング施策にも積極的に取り組んでいます。

エステーでは2010年よりエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を導入し、多様な働き方、働く場所の従業員を平等に食事支援しています。チケットレストラン導入は、食事支援にとどまらず、社内コミュニケーション活性化や従業員への平等性にも役立ち、採用活動でもポジティブな効果を発揮しているそうです。エステーのウェルビーングへの姿勢は事業内容、社員の明るく元気な暮らしを支える前向きなきっかけにもなっているといえるでしょう。

出典:https://www.st-c.co.jp/recruit/graduates/workstyle/welfare.html
参考: https://products.st-c.co.jp/

ウェルビーイングを実現し健康経営の実行を

健康経営とウェルビーングは同義語のようにとらえられがちですが、両者はカテゴリーに違いがあります。健康経営は社会的にも必要とされる企業の経営戦略、ウェルビーイングは健康経営を叶えるために欠かせない概念と考えると良いでしょう。

ウェルビーイングは、従業員が業務にあたる中、同時に心身ともに健康な生活も成立させてこそ実現できる「生きがい」とも表現されるため、健康経営優良法人を目指す企業は重要視すべきポイントです。施策事例を参考に、福利厚生をうまく活用させながら従業員のウェルビーイングと健康経営を実現しましょう。

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