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【健康経営と離職率の関係性】背景や相関性を解説!健康経営で離職率激減に成功した事例や施策例とは

2023.01.24

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「健康経営」に踏み切った企業の多くが、その目的を「離職率の低減」「採用活動の効率化」としています。なぜ、健康経営が離職をはじめとした人材確保に有効だとされているのか、社会問題や国の取り組みも踏まえて紹介します。健康経営を行い離職率の低下や採用率の向上など、人材確保に成功したという企業の成功事例や人材不足解消につながりやすい健康経営施策例も見ていきましょう。

健康経営とは?

「健康経営」は、1990年代にアメリカで経済心理学者のロバート・H・ローゼン氏によって提唱された「健康な従業員こそが収益性の高い会社を作る」という主張が基礎となる、企業経営の方針や戦略の一つです。つまり「企業の経営戦略として従業員の健康管理を重要視することは有効な手段だ」というのが、健康経営の考え方です。現在では健康経営は、厚生労働省、経済産業省など政府が中心となり、目指すべき企業運営の在り方として推奨されています。

健康経営が広まった背景

日本では、2006年にNPO法人健康経営研究会(以下、健康経営研究会)が発足され「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与することが今後あらゆる企業の経営戦略に必要だ」として健康経営が推進されています。健康経営が企業や国の経済活動において注目を集めるのには、どのような背景があるのでしょうか?

健康経営優良法人認定

2015年より経済産業省が主体となり、優れた健康経営を行う企業を健康経営優良法人として表彰する取り組み「健康経営優良法人認定」が始まっています。健康経営優良法人とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む企業のことです。

健康経営優良法人に認定されると企業のブランドイメージ向上に役立てる目的で、認定企業のロゴマークが使用できるほか、さまざまなインセンティブが受けられます。たとえば、地域の自治体の公共調達における加点、自治体独自の表彰制度といった優遇措置などです。

ほかにも、法務省では出入国在留管理庁において、入国を希望する外国人の在留資格審査で「健康経営優良法人認定を受けた企業に採用されている」もしくは「採用予定」の外国人の手続きを簡素化しています。

厚生労働省では公共職業安定所(ハローワーク)に提示する求人票に「健康経営優良法人」との記載を認めています。

健康経営銘柄の選定

経済産業省では、2014年より東京証券取引所との共同で健康経営優良法人の株を「健康経営銘柄」として評価・選定しています。この取り組みは、長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家に、健康経営優良法人を紹介するものです。

結果として、各企業が健康経営の取り組みに注力することにつながっています。第8回となる2022年度は、過去最多となる32業種・50社が選定されたと報じられました。

健康経営銘柄の選定は、企業のイメージアップに役立つと同時に、企業が社会的責任を果たすきっかけにもなっています。さらに、投資家にとっては安全で人材を大切にした経営に撤する企業を見極めて投資ができる、目安の一つでもあります。

健康保険組合等の財政悪化

厚生労働省が毎年発表している「医療費の動向調査」によると、年間の医療保険・公費負担医療分の医療費は、2014年以降は年間40兆円に達しています。企業の医療費負担も年々増加傾向にあり、大企業が加入する健康保険組合は、4割以上の組合が経営赤字に陥っているといわれています。

医療費により、企業の経営が圧迫されるという事態になれば、大企業の健保組合が解散に追い込まれる可能性もあります。そうなると、従業員の保険料負担が増えたり企業健保のメリットが受けられなくなったりして、大企業としてのブランドイメージが揺らぐ事になりかねません。

SDGsの広まり

近年、全人類が取り組むべき活動としてSDGsが注目を集めています。SDGsとは「Sustainable Development Goals」の頭文字を取った略語で日本語に直訳すると「持続可能な開発目標」です。地球上に生きる全ての人類が2030年まで解決に向けて、積極的に取り組むべきものとして2015年9月の国連サミットで全会一致で採択されました。

SDGsは、自然環境や貧困についての取り組みと見ている人もいるでしょう。実際には、17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことをテーマにさまざまな分野に言及されています。

特に「3. すべての人に健康と福祉を」では、健康を阻害する危険因子の排除が目標とされ、同時に「8.働きがいも経済成長も」でも「若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事」を目指すべき具体的な目標として推進しています。これらは、健康経営においても重要視される指針の一つです。

つまりSDGs活動は、企業経営や成長とは切っても切れない関係にあるといえるでしょう。日本企業や日本全体が、世界から取り残されないためにもSDGsの観点からも健康経営に着目した企業作りが必要だと考えられています。

仕事を起因とする体調不良者の増加

長時間労働や職場環境などが原因で、生活習慣病やメンタルヘルスの病にかかる人も少なくありません。こうした原因となる働き方、業務内容、職場環境では、本人が望んでいないにも関わず、休職や離職に追い込まれる人が頻繁に現れるものです。

残された従業員に業務量や労働時間、責任がさらに重くのしかかる事になり、さらなる体調不良者を生むという悪循環に陥りがちです。職場の雰囲気も悪くなり、ますます離職者が増えるという事態にもなりかねません。

短い期間に離職が相次げば、企業イメージを損なうだけでなく、採用活動に経費が掛かり企業の財政や成長の足かせとなる危険性もあります。

人材不足に対する懸念

日本では深刻な少子高齢化を受け、今後人材確保があらゆる企業を円滑に経営、運営していくための大きな課題になると考えられています。特に、地方の中小企業や伝統工芸品業界では働き手や後継者の不足から会社をたたむほかない企業が相次ぐほど、人材不足が課題として既に顕在化しています。

そこで、人材を人財として、給与や福利厚生などの待遇、環境設備費などに経費を投資し、従業員に長く健康で働いてもらうための施策として健康経営に乗り出す企業が増えているのです。

健康経営と離職率の関係性

健康経営には離職率を下げ、採用率を高める効果が大きく期待されています。まずは離職率について解説します。

離職率とは?

そもそも離職率とはどのような定義でしょうか?離職率は「退職者が何となく多い気がする」といった感覚で述べられるものではなく、ある時点で仕事に就いていた人数から、1ヵ月間や1年間といった一定の期間のうちに、どれくらいが退職したかを比率として表わす割合のことです。「厚生労働省用語の定義」から離職率の計算方法をご紹介します。

出典:厚生労働省 用語の定義

出典:厚生労働省 用語の定義

離職率が高ければ人が定着しにくく、逆に低ければ人が定着しやすい仕事や職場であるという証明になります。離職率を働きやすさの目安と捉える求職者も多く、企業の採用活動にも大きく関わってきます。

離職率が高い原因

離職率が高い企業では、どのような原因が背景にあるのでしょうか?離職の原因は人によってさまざまですが、たとえば「正当な賃金や評価が受けられない」「長時間労働」「休みが取りづらい」「法定外福利厚生が乏しい」「働き方の選択肢が少ない」「ハラスメント」などがあげられるでしょう。

こうした企業では健康経営研究会が提言する「健康経営の概要」の「労働安全衛生(健康管理)」「心と体の健康づくり」「働きやすさ」「働きがい」「生きがい」のいずれか、もしくはすべてが守られていない可能性があります。逆説的にいえば、離職率の高い企業では、このような事態が日常的に起こっていると捉えられる事もあるでしょう。

離職率と健康経営の相関

健康経営と離職率の関係性について経済産業省が発表した「健康経営の推進について」を参考に見ていきましょう。こちらでは健康経営を推進する企業の離職率を紹介する項目において「健康経営に取り組む企業では離職率が低い」と明言されています。

出典:経済産業省 健康経営の推進について

詳しく、結果を見てみると全国平均の離職率が11.4%なのに対し、健康経営銘柄を取得する企業では3.3%という結果が出ています。つまり、両者には離職率に8.1%もの差がついています。この結果を見ると「健康経営が人材確保に有効な投資」という仮説が立証されたといってもよいでしょう。

健康経営による離職率減少の成功事例

健康経営は、日本での推進制度が始まって10年も経過していない取り組みなので、導入後明らかな成功を導いた企業よりも、離職率減少の効果を見せつつある企業の方が多いのが現状です。実際に健康経営に乗り出し、離職率を減少させた企業や離職率低下の効果を感じつつある企業の成功事例を見ていきましょう。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社(以下、サイボウズ)は、チームワークを支援するグループウェアを開発・販売する企業です。組織や評価制度を見直し、ワークライフバランスに配慮した制度や、社内コミュニケーションを活性化する施策を実施することで、一時期は28%と高水準だった離職率を3~5%へと激減させた企業としても注目を集めています。

サイボウズでは、「100人いれば100通りの人事制度があってよい」との方針のもと、従業員の声を聞き、多様なワークスタイルで働ける制度を設けたそうです。病気の治療や介護、育児などの理由がある人はもちろん、一人ひとりが「自身の働き方」を宣言し、実行できる環境です。

長時間労働の是正はもちろん、従業員全体のワークライフバランスが向上しました。その結果、離職率が下がり、採用・教育のコストがおさえられるようになったそうです。サイボウズは現在、健康経営優良法人認定を目指して認定要件を抑えるための組織編成やヘルスケアへの取り組み導入に乗り出しています。

出典:https://cybozu.co.jp/

カネテツデリカフーズ

兵庫県神戸市に本社を置くカネテツデリカフーズ株式会社(以下、カネテツ)は、かまぼこやちくわなどを製造・販売する全国的な食品メーカーです。カネテツでは、一時期新入社員の離職率が50%を超えていたそうです。ところが、健康経営の指針「働きやすさ」の改善により、近年わずか数%にとどまっているそうです。

大きなターニングポイントは「働きやすさ」を改善するために「仕事は見て覚えろ」という社風に「マンツーマン制度」を取り入れ、コミュニケーション不足やストレスの解消を図ったことだといわれています。

現在のカネテツは「全社員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類社会の進歩発展に貢献すること」を経営の目的として掲げ、社員の健康増進につながる活動の強化を進めています。2021年より連続で「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」にも認定されています。

参考:https://www.kanetetsu.com/

株式会社イワサキ経営

株式会社イワサキ経営(以下、イワサキ経営)は静岡県沼津市に本社を置く企業です。会計事務所として税務や経営財務コンサルテイングだけでなく、現在はDXや人材育成コンサルティングも担う企業として知られています。2021~22年は「健康経営優良法人2022」の中小規模法人部門で、特に優秀な健康経営を行う「健康経営優良法人ブライト500」にも認定されました。

イワサキ経営では、2015年前後より採用の難しさや離職率の高さなどを課題とし、健康経営に乗り出しました。具体的な施策としては、毎週水曜日のノー残業デーの設定や健康セミナーの開催、ウォーキング部を設立、レクリエーション参加への呼びかけなどをあげています。

離職率の動向については成果として明言されていませんが、業務にメリハリが付き生産性がアップしたことに加え、毎年、新入社員が入社するようになったそうです。

参考:https://www.tax-iwasaki.com/

健康経営で離職率減少を叶えた施策例とは?

健康経営を実践する企業が取り組む施策には、どのようなものがあるのでしょうか?わかりやすく社内外にアピールが可能で取り組みやすい施策例を見ていきましょう。

食事補助などの福利厚生

採用活動や従業員のエンゲージメントを向上のために福利厚生を充実させる企業が増えていますが、健康経営の実現にも効果的な福利厚生を取り入れるのが早道です。福利厚生として代表的なのは、住宅手当や食事補助・さまざまな手当などでしょう。

2015年にマンパワーグループが行った、福利厚生に関する調査では「実際にあってよかった会社の福利厚生」の第1位が「食堂・昼食補助」でした。「会社の福利厚生として良いと思うもの」では2位でしたが、社食や昼食補助が従業員に喜ばれる福利厚生であることは疑う余地がなさそうです。また、食事は健康に直結するため、健康経営に向けた取り組みとしても有効な施策です。

現代のビジネスシーンでおすすめなのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。「チケットレストラン」は、従業員の健康づくり、栄養管理に直結した電子カード配布型の食事補助サービスです。出社する従業員はもちろん、リモートワークやワーケーション、交代制シフトや出張など多様なワークスタイルの全国の従業員が利用できるため、公平で使い勝手が良いサービスだと好評を得ています。

導入企業では「利用率99%・継続率98%・満足度90%」と重宝されていることが伺えます。「チケットレストラン」への加盟店は、2023年1月現在7万店を超え、ヘルシー志向のレストランやカフェも加盟しています。さまざまな好みや食に関する特性、規制がある人にも平等に健康な食事を提供できます。

運動機会の創出

従業員の健康増進・生活習慣病予防対策のために、改めて心身の健康への直接的なアプローチを叶え、セルフケアに役立てられる取り組みを行うことも健康経営には求められます。

たとえば、社内でスポーツレクリエーションやクラブを企画したり散歩の時間を設けたりなども有効です。これらの施策は、従業員の運動不足解消を図るだけでなく、社内レクリエーションの充実で従業員間の垣根をなくしコミュニケーションを取りやすい環境づくりの推進に役立ちます。

健康診断や予防接種への補助

法定福利厚生の定期健診以外にも、人間ドックや乳がん検診、子宮頸がん検診などの施設外受診の費用補助を出す企業もあります。また、メンタルヘルスケアの一環として、定期的なストレスチェックも健康経営優良法人の認定を受ける要件にも定められています。こうした健康診断を取り入れることで、従業員の健康維持、増進へのセルフケアにつながるほか、病気の早期発見、治療にも役立っています。

あわせて、感染症などの予防接種を推奨、費用を補助する施策を取り入れる企業も多いです。感染症による従業員の突発的な欠勤や体調不良を防ぐだけでなく、従業員の経済的負担を軽減し、勤務先へのエンゲージメントを向上させる効果も期待されています。

離職率引き下げを狙うなら健康経営を実践すべき

健康経営は離職率低下、採用率向上を叶え、人材不足解消に役立つ取り組みだとして導入する企業が増えています。人道的な視点からも社会的責任を背負う企業には必要な施策だといえるでしょう。

まずは、手を付けやすい福利厚生や楽しんで取り組めるレクリエ―ションなどで導入する企業が多いです。具体的にどのような施策がよいか、決めかねている企業様には、導入が簡単で多様なワークスタイルの従業員が利用できる「チケットレストラン」を検討してみてはいかがでしょうか?資料請求はこちら

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