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健康経営とは?いつから?定義や取り組み方・施策例もわかりやすく解説

2023.01.23

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年々、健康経営への注目が高まっています。これから健康経営に取り組む企業では「健康経営とはなにか」「いつから始まったのか」「具体的な取り組みや施策は」など、わかりにくい面もあるでしょう。本記事では、健康経営の定義や歴史、メリットに加え、具体的な取り組みのステップや有効な施策をわかりやすく解説します。

健康経営とは

健康経営を深く理解するには、健康経営という概念が広まったのはいつからか、歴史を振り返るのがわかりやすいでしょう。

「健康経営」とは、1990年アメリカで経済心理学者のロバート・H・ローゼン氏によって提唱され始めた「健康な従業員こそが収益性の高い会社を作る」という主張が基礎となっています。わかりやすく言い換えるなら「企業は有効な経営戦略の一つとして従業員の健康管理に務めるべき」という考え方です。

これを受け、日本でも2006年にNPO法人健康経営研究会が発足されました。同研究会では「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与することが今後あらゆる企業の経営戦略に必要だ」と主張しています。

近年、全人類が取り組むべき活動としてSDGsが注目を集めています。SDGs活動は、企業経営や成長とは、切っても切れない関係です。日本企業や日本全体が、世界から取り残されないためにSDGsの観点からも健康経営に着目した企業作りが必要だと考えられています。

また、日本では深刻な少子高齢化を受け、今後人材確保があらゆる企業を円滑に経営・運営していくための大きな課題になると考えられています。健康経営は厚生労働省、経済産業省など政府が中心となり、目指すべき企業運営の在り方として推奨されているのです。

健康経営に欠かせない5つの指針

企業が健康経営を目指すにあたり、重要視すべき5つの指針があります。NPO法人健康経営研究会が発表した「未来を築く、健康経営」を参考に、それぞれの指針についてわかりやすく解説します。

労働安全衛生(健康管理)

「労働安全衛生(健康管理)」は、企業活動を推進する上で当然、かつ最低限守られるべき基準であり、他の4つを支える重要な土台です。労働基準法や労働安全衛生法など「労働法令の遵守」を通じた従業員の健康管理に関する取り組みを意味します。

心と体の健康づくり

「心と体の健康づくり」とは従業員のヘルスリテラシーを高める取り組みです。「心と体の健康づくり」も「労働安全衛生(健康管理)」と同じく「企業が活動するために最低限気をつけるべきこと」とされています。

従業員自らが健康状態を意識し、必要に応じた対応ができるようヘルスリテラシーを高めることで健康の質も向上します。それにより労働や商品・サービスの質が保証され、最終的には企業の付加価値の向上にもつながります。

働きやすさ

働きやすさとは、従業員の健康を大前提とし、一人ひとりの従業員が居心地よく働ける場や状況、コミュニケーションがあってこそ実現するものです。健康経営においては、働きやすさは個々の従業員が作り出せるものではなく、企業がコントロールすべきものと定義されています。つまり、従業員が働きやすさを得られるように「企業には環境調整に努める義務がある」と明確に提示したといえるでしょう。

働きがい

働きがいとは、仕事に対するエンゲージメントを高めることで生まれるエネルギーです。健康経営を指針とする場合、企業と従業員による価値観の統一、価値をともに作り上げることが大切だと考えられています。

働きがいを重要視するなら、企業は自社の針路を積極的に示すとともに、仕事の質と量が従業員の心身の健康に及ぼす影響を考慮したうえでマネジメントに努める必要があります。仕事の質と量のバランスが崩れると、仕事への誇りや社会的意義があっても働きがいを感じにくくなるでしょう。

生きがい

健康経営における生きがいは、ワークライフバランスの実現が大きな尺度です。従業員にとって仕事はあくまで生活の一部とし、適切なワークライフバランスを取ることで「心身ともに良い状態」を維持できると考えられています。つまり、個々の従業員の心身の健康維持こそが、企業の屋台骨となり、社会の発展にも貢献するという考えです。

健康経営実践のステップ

健康経営を戦略的に進めるには、どのようなステップを踏むのがよいのでしょうか?経済産業省から発行されている「企業の『健康経営』ガイドブック」を参考に、健康経営の具体的な進め方を紹介します。

①経営理念・方針への位置づけ

健康経営の手始めとして、企業の経営層は、健康経営の意義と重要性を認識し、経営理念として社内外にわかりやすくアピールする必要があります。「健康経営宣言」として文書化し、取引先や従業員、顧客、投資家など営業活動に関わる、さまざまなステークホルダーに示すのが効果的です。

健康経営に関する情報の発信は、現状のビジネスだけでなく、採用市場や株式市場にも大きな影響力があります。社会を構成する重要な要素の一つでもあるため、健康経営宣言とともに具体的な施策を示すことが大切です。

②組織体制づくり

続いて、従業員の健康保持や増進実現に働きかける組織体制を整備しましょう。専門部署やポジションを創設するなどが望ましいでしょう。同時に、健康経営実現に向けて研修などの社内教育も効果的です。

また、健康経営に対する施策の実行に際し、企画の段階から役員会や、時には外部組織を招いて討議が行える体制を整えましょう。

③制度・施策の実行

健康経営の制度・施策を実行する前に、経営層や担当部署だけでなく、産業医や保険師、健康保険組合、労働組合など従業員の健康に関連する部署とも連携するのが効果的です。定期健診や産業保健スタッフとの対話はもちろん、社内外に向けたアンケート調査を実施し、企業の現状や従業員の健康状態を把握したうえで、健康経営施策をマネジメントにどう落とし込むかを決定、施策を実行します。

④取り組みを評価する

施策の実行後は、定期的に取り組みを評価します。評価結果を文書化し、客観的に判断することも大切です。想定していた結果に至らなかったり、不参加の従業員がほとんどだったりする場合には、改善策を検討、実行も視野に入れましょう。

なお、健康経営の施策についての評価はストラクチャー(構成)、プロセス(過程)、アウトカム(成果)を3つの指標として整理するのが重要だと考えられています。これらの指標は、次に示す「健康経営優良法人認定制度」の申請や「健康経営銘柄選定」の格付けに深く関わっています。

健康経営優良法人とは?

健康経営において、経済産業省主体で推進する制度が「健康経営優良法人認定制度」です。これは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む企業を「健康経営優良法人」として認定し、さまざまなインセンティブを与える制度です。

健康経営優良法人認定制度は、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2部門に分かれています。企業規模にかかわらず、地域の健康課題の関する取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みに対して真摯に向き合い、健康経営を実践している法人を表彰する制度と定義づけられています。

健康経営優良法人認定には、毎年申請が必須です。認定されると「健康経営優良法人」のロゴマークが使用可能になるほか「健康経営を目指した取り組みを実践している」と社会に効率的にアピールできます。

健康経営優良法人のメリット

健康経営優良法人認定制度を受けるには、さまざまな条件・評価項目をクリアする必要があります。健康経営優良法人に認定されれば、企業の経営層だけでなく、従業員や求職者、取引先や顧客、投資家、金融機関など、さまざまなステークホルダーに社会的評価やメリットをもたらします。経済産業省が発表した「健康経営優良法人認定制度について」を参考に、代表的な、メリットを順に見ていきましょう。

人材確保に有効

健康経営では「人材にかかる経費をコストではなく投資とする」と定義されています。「健康経営優良法人=人材に投資する企業」として、就活生や求職者への大きなアピール材料となるでしょう。

また、仕事が原因と考えられる体調不良者がいる職場は、その後も企業が策を講じない場合、職場の雰囲気が悪くなったり、次の体調不良者が現れたりと悪循環に陥りがちです。新たな休職者・離職者を生み出すこともあります。

一方、健康経営優良法人認定への評価内容には、従業員の体調に注視し体調不良を防ぐ項目が盛り込まれています。仕事の影響で健康を損ねる従業員が減れば、体調不良を起因とした従業員の休職や離職の減少にもつながります。健康経営優良法人は、採用活動がスムーズになるのに加え、離職率が下がり、人材確保に大きなメリットがあります。

従業員の生産性向上

従業員の健康状態の維持、改善に配慮した取り組みや組織作りなどの施策を通じて、従業員が職場環境や待遇の充実を感じる場面が増えるでしょう。結果として、従業員のモチベーション向上につながります。

モチベーション増加によって業績が向上すると、従業員と企業のエンゲージメントも向上します。同時に従業員一人ひとりが、自分の仕事や職場に誇りを持ち、ますます生産性が向上するといわれています。

行政からのインセンティブ

健康経営優良法人には、地域の自治体の公共調達における加点、自治体独自の表彰制度といった優遇措置が設けられています。ほかにも、法務省では出入国在留管理庁において、入国を希望する外国人の在留資格審査で「健康経営優良法人認定を受けた企業に採用されている」もしくは「採用予定」の外国人の手続きを簡素化しています。

また、健康経営優良法人と認定されるだけで採用活動が有利になる効果が期待されていますが、さらに厚生労働省では公共職業安定所(ハローワーク)に提示する求人票に「健康経営優良法人」との記載を認めています。

有利な条件の融資や企業のブランドイメージ向上

政府系金融機関や地域の信用金庫など、健康経営優良法人への融資に有利な条件を提示する金融機関もあります。

これは、健康経営の普及や促進を目的にするものですが、同時に資金調達が有利に行える企業として、取引先や株主からの高い評価につながります。結果として企業としてのブランドイメージを高めることにも役立つでしょう。

健康経営銘柄選定

経済産業省では、東京証券取引所との共同で健康経営優良法人の上場企業の株を「健康経営銘柄」として評価・選定しています。健康経営銘柄選定は長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家に、健康経営優良法人を紹介する取り組みです。

健康経営銘柄の選定は、企業のイメージアップに役立つと同時に、企業が社会的責任を果たすきっかけにもなっています。さらに、投資家にとっては安全で人材を大切にする経営を行う企業を見極めて投資するための目安の一つとなっています。

健康経営優良法人の施策例とは?

健康経営を実践する企業が取り組む施策には、どのようなものがあるのでしょうか?わかりやすく社内外にアピール可能で取り組みやすい施策例を見ていきましょう。

食事補助などの福利厚生

採用活動や従業員のエンゲージメントを向上のために福利厚生を充実させる企業が増えていますが、健康経営の実現にも効果的な福利厚生を取り入れるのが早道です。福利厚生として代表的なのは、住宅手当や食事補助、さまざまな手当などでしょう。

少し古いデータになりますが、2015年にマンパワーグループが行った調査では「実際にあってよかった会社の福利厚生」の第一位が「食堂・昼食補助」でした。「会社の福利厚生として良いと思うもの」では2位でしたが、社食や昼食補助が従業員に喜ばれる福利厚生であることは疑う余地がなさそうです。また、食事は健康に直結するため、健康経営に向けた取り組みとしても有効な施策です。

現代のビジネスシーンでおすすめなのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。「チケットレストラン」は、従業員の健康づくりをサポートする電子カード配布型の食事補助サービスです。出社する従業員はもちろん、リモートワークやワーケーション、交代制シフトや出張など多様なワークスタイルの従業員が利用できるため、公平で使い勝手が良いサービスだと好評を得ています。

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運動機会の創出

従業員の健康増進や生活習慣病予防対策のために、改めて心身の健康への直接的なアプローチを叶え、セルフケアに役立てられる取り組みを行うことも健康経営には求められます。

たとえば、社内でスポーツレクリエーションやクラブを企画したり散歩の時間を設けたりなども有効です。これらの施策は、従業員の運動不足解消を図るだけでなく、社内レクリエーションの充実で従業員間の垣根をなくしコミュニケーションを取りやすい環境づくりの推進にも役立ちます。

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健康経営は未来につなぐ経営戦略

健康経営をわかりやすく解説すると「従業員の健康維持・改善に関する企業の取り組み」といえるでしょう。健康経営にかかる経費はコストではなく、人材資源を最大に生かす有効な投資の一つとして経営戦略に加えるべきものとされています。

健康経営は企業運営だけでなく、社会的価値も高い考え方です。まずは身近な施策を健康経営計画に加えるなどして、いち早く健康経営優良法人への仲間入りを目指しましょう。

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