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健康経営とは?メリットと導入事例、効果と導入プロセス

2022.10.06

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近年、企業の取り組みとして「健康経営」が注目を集めつつあります。

日本企業における労働環境は、長時間労働をはじめさまざまな問題を抱えている状況です。従業員のなかには疲れなどによる身体的な疾患だけに限らず、精神的な疾患を患う方もいます。このような状況を打破するために、導入する企業が増えているのが「健康経営」です。

この記事では、健康経営の導入方法や取り組み事例、健康経営優良法人のメリット・デメリットについて紹介します。

健康経営とは?

健康経営とは、企業が従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践する経営手法です。

そもそも健康経営という概念は、経営学・心理学の専門家バート・H・ローゼン氏が著書「The Health Company」で提唱したことが始まりとされています。同氏は著書のなかで、「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という思想を唱えました。

日本でも、少子高齢化が進んでいることなどから、この健康経営が注目を集めています。

経済産業省が発表した「健康経営の推進について」によると、2015年における日本の高齢化現状に関する調査では、201カ国のなかで日本が最も高齢化率が高いという結果でした。またこのままの状況が続いた場合、2060年には高齢化率が35%超えとなることが予測されています。(※1)

加えて日本の総人口は、今後減少していくと予測するデータも存在しており、現状でも企業の人手不足が深刻な問題です。(※1)

人手が足りなくなると、従業員一人ひとりにかかる負担は大きくなり、身体的な負担やストレスの増加が予想されます。業務過多の状況が続くと、従業員は体調を崩す可能性があり、作業スピードの低下やミスが起きるなど、業務に支障をきたすことになりかねません。

こういった状況を解決していくためには、健康に関する投資の促進や、勤労世代の活力向上、健康寿命の延伸を実現することが重要です。

健康経営推進資料:
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf
英語資料:
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/180717health-and-productivity-management.pdf

なお、政府も職場環境の改善を図るべく健康経営を推進しており、上記の資料を公開しています。国を挙げて企業の健康経営優良法人制度の取り組みを促しています。

国策としても推進「健康経営優良法人」

健康経営優良法人とは、特に優良な健康経営を行っていると認められた企業のことです。定められた条件を満たし、日本健康会議から優良企業と認定されると、「健康経営優良法人」のロゴマークを使用できます。

健康経営優良法人は2つの部門に分かれており、「ホワイト500(大規模法人部門)」と「ブライト500(中小規模法人部門)」があります。

制度に申請するためには条件が定められており、以下の取り組みを実施していなければなりません。(※1)

【申込の条件】
1.経営理念
下記の媒体や書面などを通じて社内外へ発信を適切に行えているか
・統合報告書
・CSR報告書
・経営者のコミットメント

2.組織体制
・社長や役員が健康経営の責任者になる
・経営層が参加する組織体制の構築
・専門知識のある産業医や保健師などの健康施策検討への参加
・健康保険組合との連携体制

3.制度・施策実行
・計画の策定:一人一人の従業員の健康に関する悩みの把握から改善策などを定める
・土台づくり:健康維持に必要なルール(就業規則など)を設ける
・施策実行:食事メニューの見直しや運動機会を設ける、メンタルヘルスチェック導入など

4.評価・改善
・取り組み後の検証・結果に対する施策状況

5.法令順守・リスクマネジメント
・定期健診
・ストレスチェックの導入
・労働基準法などの取り締まり(自主申告)

 

また認定されるまでの流れは、大規模法人と中小規模法人で異なり、それぞれ以下の通りです。

【ホワイト500(大規模法人部門)】
「健康経営度調査」に回答し、日本健康会議認定事務局へ申請


認定審査


日本健康会議から認定を受ける

【ブライド500(中小規模法人部門)】
自社の取組状況を確認後、認定基準に該当する取り組みを申請書へ記載


日本健康会議認定事務局へ申請する


認定審査


日本健康会議から認定

健康経営優良法人のメリット

健康経営優良法人に認定されることには、さまざまなメリットがあります。社内外からの高評価に加え、良好な職場環境を整えることで、企業としての成長にも期待できます。

生産性の向上と業績アップ

健康経営優良法人と認められるほどの取り組みを行えば、従業員は長く健康的にに働き続けることができます。仕事に対するモチベーションも高くなり、生産性の向上にも期待できるでしょう。

一方で長時間労働などが蔓延しているような環境下では、心身ともに疲労が蓄積し、従業員は本来のパフォーマンスを発揮できません。従業の体調が悪かったり、ストレスを抱えていたりすると業務にも下記のような影響が出てきます。

・集中力低下による業務ミスの増加
・作業効率が落ちる
・業務中の事故などのリスク増加など

働きやすい環境を提供することで、従業員は健康的な働きができ、パフォーマンスの向上に期待できます。

パフォーマンスが向上すると生産性も見込めるでしょう。

生産性が向上することで、結果的に業績アップにもつながります。

従業員のトラブル・リスク回避

従業員の雇用は、さまざまなリスクが発生するものです。

例えば採用活動を行う場合、求人広告費や、面接にかかる労力など採用コストがかかります。せっかくコストをかけて採用したとしても、労働環境に不満をもち、早期に退職してしまう従業員は少なくありません。採用した人材が退社してしまうと、一から人材を探し直さなければならないため、採用コストも膨らんでしまうでしょう。

健康経営を実践し、働きやすい職場環境を提供することで、早い時期の退職のリスクも軽減できます。

また近年では、企業と労働者間において、労働環境を巡るトラブルもあり、訴訟まで発展することも珍しくありません。実際に安全配慮をしていない企業には、多額の賠償が下される場合もあります。加えて法律違反となるような職場環境のときは、行政からの指導やペナルティの対象となる可能性もあります。

健康経営を実践し、職場環境を整えることで、法律違反や従業員とのトラブルが発生する可能性を回避することができます。

医療コストの削減

健康経営は、医療コスト削減の効果も期待されています。

日本では、医療費が増加している傾向にあります。日本全体における医療費の増加に伴い、健康保険料をはじめとする企業が負担すべき医療コストも増加しています。(※2)

医療費の増加にはさまざまな要因が考えられますが、過度な処方箋の受け取りなどに加え、仕事を原因とする疾患の増加も要因のひとつとされています。

近年では仕事が原因で、身体的な不調だけでなく、精神疾患を発症する方も少なくありません。実際に過労死や自殺なども発生している現状です。

このような状況を改善するためにも、健康経営を実践し、労働環境の改善を図ることが重要です。働きやすい環境を整えることで従業員の負担も減り、疾患を発生するリスクを抑えることができるでしょう。最終的には、企業の健康保険などの医療コスト削減にも期待が持てます。

企業イメージがup

 

健康経営優良法人に認定されると、企業イメージの向上にもつながります。健康経営優良法人に認定されていれば、「良好な職場環境を整えている企業」ということを求職者へアピールできます。企業イメージが向上すれば、優秀な人材の確保にもつながるでしょう。

また企業イメージのアップは求職者だけでなく、取引先や顧客に対しても効果的です。売上や業績にも大きな影響を与えます。

例えば最近では、「ブラック企業」という言葉を耳にする機会も増えました。ブラック企業と認識されると悪いイメージがついてしまうため、取引先と同様に顧客のなかにも、ブラック企業の商品は信用できないと感じる場合があるかもしれません。こういったマイナスなイメージをもたれてしまうと、売上などの業績にも影響を及ぼす可能性があります。

健康経営優良法人に認定されることで、「社員を大切にしている企業」といった好印象を周囲に与えやすくなります。社会的な信用性が高まれば、顧客に安心感を与えることができ、売上アップなどにも期待できるでしょう。

「健康経営銘柄」「ホワイト500」「ブライト500」の認定

健康経営優良法人認定制度では、具体的に下記の3つの認定を受けることができます。

【健康経営銘柄】
健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が推進している取り組みです。

健康経営を戦略的に取り組む上場企業が対象となり、優れた取り組みを行っている企業は健康経営銘柄として認定・公表されます。健康経営銘柄に認定されると、投資家へ魅力ある企業であることをアピールでき、株価の上昇にも期待できます。

【ホワイト500(大規模法人部門)・ブライト500(中小規模法人部門)】
健康経営に取り組む企業のうち、とくに優れた取り組みを実施する上位500社が認定される制度のことです。

企業の規模によって適用される制度が異なり、大規模企業は「ホワイト500」、中小規模企業の場合は「ブライト500」に認定されます。健康優良法人と認められた企業のうち上位500社のみが認定されるため、社会的な信頼度の向上などが見込めます。なお、大規模企業と中小規模の概念については以下の通りです。(※3)

【ホワイト500(大規模法人部門)】

業種 従業員数
卸売業 101人以上
小売業 51人以上
サービス業 101人以上
製造業・その他 301人以上
 

【ブライト500(中小規模法人部門)】

業種 従業員数 資本金
卸売業 1~100人 一億円以下
小売業 1~50人 5000万円以下
サービス業 1~100人 5000万円以下
製造業・その他 1~300人 3億円以下

大規模企業は、定められたの従業員数を満たす必要があります。

一方の中小規模企業の場合は、従業員数もしくは資本金のどちらか一方の条件を満たすことで、ブライト500への申請が可能です。また従業員数については、正社員だけに限らず、パートやアルバイトなどの非正規労働者も含めた数となります。(※3)

健康経営のデメリットと注意点

健康経営にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。メリットばかりを考慮した施策では、従業員とのトラブルなどが発生しかねません。

以下のデメリットを参考に自社で考えられる問題を想定し、対策を立てておきましょう。

トップの理解がないと進まない

企業で施策を実施する際、経営者などのトップが決定権を持つケースも少なくありません。とくに中小企業では、施策に経営者の意向が強く反映されるケースはよくあることです。健康経営も同様に経営者の理解が得られないと、施策を進めることは難しいでしょう。

トップの理解に時間がかかることが予測される際は、計画的にプレゼンテーションなどを行っていくことが必要です。口頭で説明するだけでなく、具体的な数値が載っている資料などを用いて、健康経営を実践することのメリットをアピールしましょう。

講演会や講習会などへの参加も効果的です。健康経営はトップが継続的に働きかけていくことで、社内の健康意識が高まり、雰囲気作りや自主的な行動にも期待できます。

効果が分かりにくい…データ収集の難しさ

健康経営は結果に対する因果関係を証明しにくいため、効果も分かりにくいことが特徴です。例えば自社Webサイトの改善を実施したときであれば、アクセス解析を行うことで現状を具体的に分析できます。分析結果は数値として収集できるため、効果も分かりやすいでしょう。

一方の健康経営は間接的に作用し、継続することで徐々に効果を発揮するため、明確なデータの取集が困難です。仮に健康経営を導入したあとに売上が上がったとしても、「健康経営によるものなのか」、「作業手順を変更したからなのか」は明確に判断がつきません。仕事とは流動的なものであり常に変化が生じているため、改善が見られたとしても要因を特定するのは難しいでしょう。

健康経営は継続して実施していくことで、効果を発揮するものです。結果と結び付けるのは容易ではありませんが、定期的に検証を行い、従業員に対しても共有していきましょう。導入した効果を社内で共有できれば、取り組みに対する意識の低下を防ぎやすくなります。

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従業員の負担…社員啓蒙の難しさ

従業員の負担もデメリットのひとつに挙げられます。職場環境を変えるときは、従業員の理解と協力が必要です。生活環境も従業員によって異なるため、シフトひとつにしても「二交代制が良い」という方もいれば、「三交代制が良い」という方もいるでしょう。

このような状況において、満場一致を得られるような施策の実施は困難です。不満をもった従業員は、退社してしまう可能性があります。

また職場環境を変えるということは、従業員はこれまでの業務と異なる取り組みを行わなければなりません。実施する内容によっては、従業員の負担になる可能性があります。従業員の理解が得られないと啓蒙活動ができず、健康経営の導入が進められません。

施策を実施するのは困難ですが、アンケートなどを実施し、できる限り公平な施策となるように導入を進めましょう。

健康経営への取り組み・導入方法

健康経営を導入する際はステップごとに取り組むべき内容があり、具体的に取り組んでいくことで効果もより期待できます。

導入手順には、健康経営優良法人の認定を受けるために必要な取り組みもあるため、しっかりと把握しておきましょう。

1 健康経営の全体告知

健康経営を促進するためには、はじめに社内外から取り組みに対する理解を得ることが必要です。理解を得るためにも、まずは全体告知からスタートしましょう。

全体告知の手法としては、「健康経営宣言」などを行います。健康経営宣言とは健康経営の考えに基づいて、従業員の健康づくりへの具体的な取り組みを社外へ発信することです。主な告知方法としては、社内広報やプレスリリースを通して発信します。

宣言する内容は「全社方針の明文化」の記載に加え、健康経営の戦略や取り組み内容、取り組み後に期待される効果などを具体的に記載しましょう。

また健康経営宣言は、健康経営優良法人の認定条件にも設定されている項目です。規模法人部門と中小規模法人部門でそれぞれ定められている評価項が異なるため、自社の規模に応じた内容で健康宣言を行いましょう。

なお、健康経営宣言を行うことで、職場環境が整った企業というアピールができるため、イメージアップにも期待できます。企業のイメージにも関わることになるため、内容については社内でしっかりと検討したうえで、宣言書の作成を進めましょう。

2 専門チームの作成

公告が済んだあとは、社内体制の構築が必要です。健康経営を推進するための専門チームの作成を検討しましょう。健康経営に特化したチームを配置することで、導入がスムーズに進み、問題が発生しても迅速に対応できます。

なお専門チームには、健康経営アドバイザーを配置するのが効果的です。健康経営の専門的な知識を有する健康経営アドバイザーを配置することで、的確なアドバイスのもと運用を進められます。

健康経営アドバイザーとは、健康運営の必要性を把握し、普及・推進を行う者に与えられる資格のことです。2016年より資格として取得ができるようになっており、東京商工会議所が管轄をしています。

また2018年には、ワンランク上の「健康経営エキスパートアドバイザー」という資格も新設されました。この資格を有する者はより深く健康経営について学習するため、健康経営における課題の洗い出しからPDCAの支援まで幅広く対応を行います。そのため健康経営の普及や推進のみを担当する健康経営アドバイザーと比べると、より広範囲なコンサルタントを行える点が魅力です。

なお健康経営アドバイザーを配置する際は、社外に依頼する方法と自社の社員が資格を取得する方法があります。

社外に依頼する場合、導入直後から効果に期待を持てますが、依頼を行う限り費用が発生します。一方の社員に資格を取得させるときは、最初は学習コストがかかり、効果が現われるまでに時間を要しますが、社内体制をしっかりと確立できるでしょう。自社で資格を取得する際は、東京商工会議事務局へ申込を行います。

3 問題点の認知と洗い出し

自社が抱える問題点の認知と洗い出しも必要です。問題点を把握しないままやみくもに取り組みを実施しても、的外れな施策となる可能性があり、職場環境の改善も見込めません。効果的な施策を実施するためにも、まずは問題点を具体的に洗い出すことから始めましょう。

問題点を洗い出す際は、さまざまな角度から検証を行うことが重要です。

健康には、身体的な健康と精神的な健康があり、それぞれのチェックを実施する必要があります。身体的な健康チェックでは、健康診断やストレスチェックなどを取り入れ、従業員の健康状態や全体的な課題を探しましょう。

精神的な健康チェックには、働き方についてのアンケート調査などが有効です。無記名で実施すると従業員も回答がしやすくなり、抱えている悩みなども把握しやすくなるでしょう。また時間外労働や休日出勤など、疾患発症の原因となる情報も把握しておく必要があります。

計画を作成する際は、データヘルス計画と連動させることもおすすめです。

データヘルスとは、診療報酬明細書などをデジタル化し、収集したデータを分析することで、健康増進や病気予防に役立てる取り組みを指します。データヘルス計画は厚生労働省も推進しており、コラボヘルスガイドラインが提供されているなど、企業からも注目されている取り組みです。(※5)

把握が困難であった医療関係のデータを客観的に把握できるため、数値目標を立てる際も役立つでしょう。

4解決へ向けての実行開始

問題点を洗い出したら、解決に向けた改善策を社内で話し合いましょう。問題点の改善は一気に進めることが困難なため、計画的に段階をおって改善を進めていく必要があります。

計画を立てる際は、数字を用いてより具体的に示すことが大切です。例えば「月一回は健康面談を取り入れる」、「毎週○曜日は、残業なし」などのように、具体的な内容を設定しましょう。

また策定した改善案は社内全体で共有することが重要です。一部の者しか理解していないようでは、職場環境の改善は難しいでしょう。とくに管理職は現場に与える影響が大きいため、認識のずれが生じないように周知を徹底していくことが大事です。

なお、改善策の実行後は効果測定を必ず行い、取り組みの検証を実施しましょう。新たな課題が発見されたときは、新たな改善策を打つ必要があります。

「健康経営度調査」の利用も有効

健康経営度調査とは、企業の健康経営の取組状況、および近年の変化を分析するために実施される調査のことです。

健康経営銘柄と健康経営優良法人の選定のため、企業の基礎的な情報を得ることをおもな目的として実施されています。

健康経営度調査は制度のために利用されるだけでなく、自社が健康経営に取り組む際の参考としても有効に活用できます。

実際、健康経営に興味を持ったとしても、「何から始めればよいのか分からない」という企業も少なくありません。このような企業は調査に回答することで、健康経営を実践するときは何が重視されるのか、何からどのように取り組めばよいのかなどが分かります。また過去の調査結果を分析すると、国内企業の取り組み数の推移など、さまざまな分析が可能です。

健康経営の取り組み事例

近年では、健康経営を実施する企業も増えており、企業ごとにさまざまな工夫を凝らして取り組みを行っているようです。すでに取り組んでいる他社の事例を参考にすることで、自社が導入する際の目安になるでしょう。

【ネッツトヨタ山陽株式会社】

自動車の販売から買取、点検などを行っている、ネッツトヨタ。

健康経営の実績としては、2018年に健康づくりを積極的に行っている企業として「おかやま健康づくりアワード2018」を受賞。2022年には「健康経営優良法人2022(中小規模法人(ブライド500))」に認定されており、他企業から取り組みについて多数の問い合わせがあるほど。

実施内容は、ラジオ体操や毎日の健康チェック。また運動機会の増進に向けた取り組みとして、ウォーキングコンテストなども実施。参加証として配布される「活動量計」で集計を行い、部署別で公表するなど従業員へ情報の共有も行われています。

なお、職員食堂ではヘルシーメニューの提供など、食事面でも従業員の健康をサポート。従業員はカロリー別におかずをチョイスでき、ヘルシーな食事をとれるような工夫がされています。ほかにも従業員に対して外部講師によるセミナーなどを開催しており、健康管理に必要な知識の習得などを斡旋しています。

【サッポロホールディングス株式会社】

ご存知、ビールメーカーや清涼飲料などの製造・販売を行うサッポロ。健康経営については、2017年に従業員の健康改革に向けたプロジェクトを開始し、「健幸創造宣言」を行いました。健幸創造宣言は従業員・その家族・会社の幸せを創造する取り組みが記載されており、2022年には健康経営優良法人「ホワイト500」に認定されています。

具体的な取り組みは、メンタルヘルスやe-ランニング、35歳以上の従業員を対象とした生活習慣病検診(ガン検診)などを実施。血圧が高めの従業員に対しては、血圧を下げる効果に期待できる自社製品「ポッカレモン100」の継続した摂取を習慣付けています。

またサッポログループは酒類事業も展開していることもあり、アルコールに関する問題の解決にも取り組んでいます。基本方針でもある「適正飲酒の啓発」と「不適切な飲酒の防止」を中心に、適切な飲酒に向けた取り組みの強化を図っているそうです。

【花王株式会社】

美容やライフケアに関する商品を提供している花王。

同社では「中期経営計画K25」を掲げており、花王グループ健康宣言をもとに、従業員の健康づくりへ取り組んでいます。取り組みは一定の評価を得ており、健康経営に優れた会社として、8年連続で「健康経営銘柄」に選定されました。さらに健康経営を行っている法人としても認知されており、6年連続で「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されています。

また花王ヒューマンヘルスケア事業と関連し、自社の技術を活用した健康づくりを実施。なかでも「内臓脂肪とくらしに関する研究」「歩行と健康に関する研究」を活用した施策では、培った知識やスキルを、従業員とその家族の健康づくりにも活用しているそう。

例えば「歩行生活年齢」が表示される独自の活動量計を使用した施策では、自分の健康状態や生活習慣などが数値を用いて視覚化。自分の健康状態を明確に捉えることで健康への意欲を高め、従業員のくらしを効果的に改善することが目的です。

加えて活動量計は、「今日は何歳?」というユニークな形で結果が表示される仕様となっており、歩行を通じて従業員同士のコミュニケーションの活性化を図っています。

健康経営優良法人2022一覧

健康経営優良法人に関しては、経済産業省が一年ごとに集計結果を公表しています。

2022年6月時点で健康経営優良法人として認定されているのは、大規模法人部門で2,299企業、中小規模法人部門では12,255企業です。(※4)健康経営度調査結果にて上位の500法人は、ブライト500・ホワイト500に認定されます。詳細については下記の2022年版資料を参照ください。

健康経営優良法人2022(大規模法人部門)認定法人一覧(EXCEL形式:KB)」

健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定法人一覧(EXCEL形式:KB)

最後に

健康経営には生産性の向上をはじめ、さまざまなメリットがあります。政府も推進を進めており、制度をうまく活用すれば、企業のブランディング活動にも役立ちます。しかし企業の一方的な施策になってしまうと、従業員の適切な健康管理ができず、自社が求める成果にも期待は持てません。

健康経営に取り組む際は、従業員の意向を取り入れ、全ての従業員が働きやすい職場環境づくりを目指すことが大切です。他社の事例を参考にしたり、社内アンケートを実施するなどして、効果的な施策を実施していきましょう。

参考資料

(※1)「経済産業省/健康経営の推進について

(※2)「厚生労働省/令和2年度 医療費の動向 ~概算医療費の年度集計結果~ <概観>

(※3)「経済産業省/健康経営優良法人についてよくある質問 2.2.申請について A1

(※4)「経済産業省/「健康経営優良法人2022」認定法人が決定しました! 2.健康経営優良法人2022について」

(※5)「厚生労働省/データヘルス計画 作成の手引き (改訂版) 第1章データヘルス計画の背景とねらい

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