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「2040年問題」とは?「2025年問題」や介護業界の人材確保との関連性を解説!政府や事業所の対応施策も紹介

2023.05.19

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2020年代に入り「2025年問題」「2040年問題」に向けた議論が盛んになりました。なんとなく「介護や福祉に関係する問題」だとご存じの人もいるでしょう。「2025年問題」「2040年問題」は、近い未来の社会保障や税制に関連する、全日本国民が真剣に向き合うべき最重要課題です。「2025年問題」「2040年問題」とは何か、介護業界の問題点を中心に、国が打ち出す対応策と介護事業所などがすぐに取り組める施策例を紹介します。

2025年問題と2040年問題とは?

現在、日本社会全体で早急に取り組むべき問題に「2025年問題」と「2040年問題」があります。これらの問題をわかりやすく一言で表すとすれば「少子高齢化による医療、福祉、介護問題」といえます。それぞれ、問題視されている内容や理由などを見ていきましょう。

2025年問題とは

2025年問題とは、戦後間もない1947~1949年の第一次ベビーブームに生まれた団塊世代の全員が、後期高齢者となる75歳を迎えることに派生する社会問題です。2023年現在も、65歳以上の高齢者が国民全体の3割近くを占めていますが、2025年以降は3割を突破し、さらに深刻な少子高齢化社会が進み、人口減少や労働力不足などから国力の低下を招くと見られています。

この状態を「超高齢化社会」と多くのメディアは表現しています。超高齢化社会が進行することで2025年を起点に、社会保障費の不足が危ぶまれています。2025年問題では、国民の医療費や介護費負担の増加などが懸念されてるのです。ただし、2025年問題は2040年問題に比べると「まだいい方ではないか」という声も聞かれます。2040年問題には、どのような深刻な懸念点があるのでしょうか?

2040年問題とは

2025年には、社会保障費不足が問題点として上げられていますが、2040年を迎える頃には、医療、介護といった社会保障制度の継続自体が困難になると推察されています。厚生労働省が「我が国の人口について」で発表した統計、予測によると、2040年に予想される日本の人口ピラミッドの頂点は生産年齢世代から高齢者へと移行しています。

出典:厚生労働省|我が国の人口について

生産年齢世代の減少は、労働力の減少を意味しています。労働力の減少は、国や自治体の税収も減少を招きます。国の財源の不足により、増え続ける社会保障費を十分に賄うのが難しくなるでしょう。特に介護現場で働く人材不足や人材への負担増につながると指摘されており、解決に向けて社会保障費の見直しだけでなく、介護現場の労働条件改善が今後の最重要課題になるといわれています。

2040年問題では、実は介護現場だけでなく社会全体の労働力、国力低下が懸念されています。社会保障費の負担増、介護人材不足により一般企業でも介護離職が相次ぎ、労働人口が減る見込みです。労働人口の急速な減少により「インフラや建築物などの老朽化や放置が進む」という予想もあります。さまざまな産業が継続の危機を迎える中でも「社会保障費の減少」「労働人口の減少」「インフラや建築物の老朽化」が進むと如実に影響を受けるのが介護サービスだと見られています。

介護が超高齢化社会には、なくてはならない産業、サービスであることは明白です。そこで政府は2025年問題、2040年問題を目前に控え、介護業界の人材確保に向けた施策に取り組んでいます。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html

国が打ち出す2040年問題への打開策とは

厚生労働省が、2021年に発表した「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2025年度に必要とされる介護職員は約243万人にのぼると予測されています。2021年度の職員数と比較すると、概算で約32万人の介護職員が新たに必要になるという結果です。さらに2040年度に必要とされる介護職員数は280万人と試算が出ています。これは、労働人口が現在より著しく減る中「現状より69万人も多い人数の介護人材を確保する必要がある」という意味です。

日本政府は介護現場への人材確保のために、これまでも対策を講じていますが、今後はこれまで以上に介護職員の質と量の向上に向けて注力する姿勢です。2022年に厚生労働省が発表した資料「介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進について」を参考に、介護業界を対象に奨励、もしくは計画している2025年問題、2040年問題の打開策を見ていきましょう。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000207323_00005.html
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000967545.pdf

介護職員の処遇改善

政府が国をあげて、介護人材確保に向けた取り組みを進める中で制定したのが「介護職員等特定処遇改善加算」です。介護職員等特定処遇改善加算とは、介護職の処遇改善をした事業所に特別な介護報酬加算を与えるものです。令和3年度の介護報酬改定より実施され、令和4年度には「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員ベースアップ等支援加算」など、さらなる待遇改善に向けた制度が加えられました。

これらの制度では、勤続10年以上のリーダーレベルの介護福祉士に対しての賃金を、月8万円もしくは年収440万円までのアップすることなどをルールに盛り込んでいます。介護の質のアップや介護人材への待遇改善を狙った制度であるため、経験やスキル、資格をもつ職員に焦点を合わせていますが、介護現場の離職率引き下げにも活用できます。施設によっては、介護職員間の配分ルールの緩和も認めるなど、介護職員全体の待遇の改善に役立てるのが狙いです。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000953647.pdf

多様な人材の確保・育成

介護人材の質と量を増やすために、育成の時点から国が支援に乗り出しています。介護福祉士修学資金貸付や福祉系高校に通う学生に対する返済免除付きの修学資金の貸付けが代表的な制度です。

また、中高年齢者向けにも、他業種からの参入促進のためのキャリアコンサルティング、再就職準備金貸付による支援や入門的研修の実施、研修受講後の体験支援、マッチングまでを一体的に支援するといった制度の整備に力をいれています。その一環として介護、障害福祉分野の職業訓練枠の拡充に向けた訓練と職場見学、職場体験を組み込むことを要件に訓練委託費等の上乗せや訓練修了者への返済免除付きの就職支援金の貸付も開始しました。

離職防止・定着促進・生産性向上

介護人材を増やしても、業務による心身の不調から離職が相次いでしまっては、人材不足から抜け出すことができません。そこで政府は、介護職員の負担を減らすことを目的に介護現場でもICTの活用による業務効率化を図っています。具体的には介護ロボットやICT等テクノロジーの活用で、介護現場の業務効率化や身体の負担軽減を実現し、労働環境の改善につなげる意向です。

また、職員のキャリアアップのための費用負担軽減や代替職員の確保、若手人材が悩みを相談できる窓口や職員同士の強化など離職防止や定着促進に向けた施策の実行を加速させています。介護施設への保育施設設立により育児の負担軽減や介護助手として兼業を認めるなど、多様な働き方の実現を図った施策も実行中です。

生産性向上に向けては、オンライン研修や生産ガイドラインの普及にも取り組んでいます。

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介護職の魅力向上

介護職は、低賃金、長時間労働、重労働といったイメージが強く、きつい職業の代表格ともいわれていましたが、政府は一連の取り組みから介護職の魅力向上にも注力中です。民間事業者によるイベントやテレビ、新聞、SNSなどを活かしたキャンペーンを通じて介護職の社会的評価の向上を図っています。

未来の介護職人材確保に向けて、学生やその保護者、進路指導者に向けた介護職への理解促進、各地域の就職相談のできる場所や活用できる支援施策等の周知に努めるなどが中心的な施策内容です。

外国人材の受け入れ環境の整備

介護業界の人材確保に向けた施策のひとつとして、政府は外国人材の積極的な活用にも乗り出しています。入国管理法の改正を経て、介護業界に参入予定の外国人材には特定技能人材として新たな在留資格が設定されるなどの制度を整備中です。 介護福祉士を目指す留学生を介護福祉士修学資金の貸付推進や日常生活面での相談などでも支援しています。

また、現地説明会等による日本の介護のPR、介護技能向上のための集合研修、介護の日本語学習支援、介護業務等の相談支援・巡回訪問の実施など、外国で介護職に就く外国人材が心身ともに健やかな状態で業務にあたるための環境整備も実施しています。

2040年問題に向けた人材確保施策例

介護事業を営む事業所や企業では、2025年問題、2040年問題に対し、人材確保に向けた積極的な施策を打たなければ、事業存続が困難に陥る可能性もはらんでいます。政府が介護業界に向けて整備、実行する施策のほかに、事業所や企業が取り組むべき施策はどのようなものでしょうか?比較的、実行が容易なものから順に紹介します。

魅力的な福利厚生サービスの導入

政府がさまざまな制度を制定し、介護職員の待遇改善に向けた動きを加速させていますが、事業所の規模や利用者の状況などによっては、給与のベースアップや加算制度活用に向けたルールの実行が難しいケースもあるでしょう。介護職員の待遇改善には、平均より賃金を上げるのが効果的なのは事実です。しかし、急な賃金アップが難しい場合には、全職員が利用しやすい福利厚生サービスを導入するのが早道です。

ビジネスパーソンと企業を対象に、株式会社エデンレッドジャパンが2020年に行った「働き方・待遇に関する意識調査」では「今後、待遇・働き方について自社に望むこと」という質問に対し、全国の中小企業に勤める30~50代の正社員男女600名の回答者が「基本給のアップ」「賞与額のアップ」「手当の充実」といった金銭面の次に「福利厚生の充実」を望むという結果が出ました。

出典:株式会社エデンレッドジャパン 「働き方・待遇に関する意識調査」

そこでおすすめなのが、電子カード配布型の食事補助、福利厚生サービス「チケットレストラン」です。チケットレストランは、導入企業での利用率99%・継続率98%・満足度90%と重宝されています。チケットレストランへの加盟店は、2023年5月現在、25万件をこえ、2023年3月からは Uber Eats ともサービスを連携しました。さまざまな飲食店や飲食品を販売する小売店が加盟しているため、食に関する特性や好みがある人、健康状態や国籍、宗教により食事になんらかの制限がある人でも利用できる店舗が見つかります。

また、食事補助の福利厚生導入には、助成金や税制の優遇措置も受けられます。早急な給与改善が難しい職場でも大きな負担がなく取り入れられ、従業員の生活や健康を直接的に支援できる食事補助サービスは導入すべき魅力的な福利厚生です。

参考:https://ticketrestaurant.jp/notice/press-release/20201001/

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子育て世代が働きやすい環境づくり

少し古いデータですが、厚生労働省が2014年に発表した「介護人材と介護福祉士の在り方について」によると、介護業界の男女比は女性が7割以上で男性より圧倒的に多い状況です。職種別では、訪問介護職員8割以上を女性が担っている現状が浮き彫りになるなど、介護業界は改めて女性に支えられている産業であることがわかります。

出典:厚生労働省「介護人材と介護福祉士の在り方について」

年齢別にみても、特に施設等の介護職員では、30~49歳までの結婚や出産、育児中の年代の人材が中心となることから、女性や子育て世代が働きやすい環境づくりに努めることは、介護業界で継続したサービスを提供するために必要な施策です。

時短勤務制度や、夜勤や早出出勤などの免除などの柔軟な労働時間設定をはじめとし、保育施設との提携や整備、子どもの看護休暇の整備なども有効です。子育て中の従業員には、育児手当、誕生日や行事に記念日有給を与えるなどの施策を設ける企業もあります。

こうした施策は、既存の従業員である介護職員への支援になるのはもちろん「他社との差別化になる」「求職者へのアピールにつながる」など採用活動にも高い効果を発揮します。

参考:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/1.shiryo.pdf

ICTを活用した情報の適切な管理

介護業界では度々、人間関係などの問題からの離職もあると耳にします。職場の人間関係構築の際に火種となりやすいのが「報連相」などの連絡ミスです。特に、夜勤や早朝勤務、曜日ごとの訪問介護など、変則的で交代制の出勤が多い介護業界では、記録業務や情報共有などがおろそかになることで、介護職員の負担が増えたり、事故につながったりします。

介護システムやタブレット端末を活用し介護記録の電子化や情報の一元管理できれば、全職員にスムーズに情報共有できるばかりではなく、的確な判断と情報の取捨選択につながります。介護職員のストレスや負担軽減になるだけでなく、業務の効率化、生産性向上にもなるでしょう。

若手や男性職員などによる情報発信

若年や男性などの人材確保には、介護職全体や職場の魅力発信も有効です。採用活動もベテラン職員や介護現場での中心的な人物だけでなく、若手や男性などの意見を反映させるのが良いでしょう。

実際にSNSで介護職の魅力や採用情報について発信する若手職員や男性職員が増えています。ホームページにインタビューコンテンツを掲載したり、採用イベントに同行させ就職相談を若手職員や男性職員に担当させる事業所もあります。

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2040年問題とは介護業界の人材不足が争点

政府が取り組みを主導する2040年問題では、2025年問題の主題である「超高齢化社会」「社会保障費の不足」から予測される「社会保障制度の崩壊」が懸念されています。労働人口の減少や高齢者人口の増加を受け、今から日本全体が真摯に向き合うべき問題です。

国は、2040年問題が現実のものとならないよう、社会保障費の見直しや介護人材の増員を狙った取り組みを打ち出しています。介護事業を営む企業は、近年制定された介護人材の処遇改善制度を理解し、今のうちから未来の人材確保に向けた施策を実行し、備えたほうがよいでしょう。

魅力的な職場づくりや待遇改善には福利厚生サービスを導入するのが近道です。ぜひ、導入に料金や手間がかからない「チケットレストラン」を検討しましょう。

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