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インフレ手当の相場はいくら?支給の現状と実際の支給事例を多数紹介!

2023.01.27

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インフレ手当の支給を検討する際、支給額について議論がまとまらないケースが少なくありません。一般的な支給額の相場について、すでに支給を進めている企業の事例と合わせて整理していきましょう。インフレ手当の支給方法として人気の「チケットレストラン」も紹介します。

インフレ手当が注目される背景

近年、さまざまなメディアでインフレ手当の話題が取り上げられています。インフレ手当がこれほどまでに注目されているのは、そもそもどういった理由からなのでしょうか?

インフレの意味

「インフレ」は、「インフレーション(Inflation)」の略語です。

野村證券株式会社が公開している「証券用語解説集」では、インフレーションについて以下のように解説しています。

世の中の全体的な財・サービスを代表する価格指数(物価)が継続して上昇する状態を指す。英語表記はInflation。インフレと略されることも多い。

出典:インフレーション|証券用語解説集|野村證券

一般的にインフレは、世の中の需要が供給を上回ったり、原材料費などが高騰したりといった原因で起こります。

経済が活発な状態で起こるインフレは、企業の生産量増加や消費の拡大、引いては賃金の上昇を促すポジティブなものです。

一方で経済が停滞した状態で起こるインフレの場合、労働者の賃金は上がりません。物価だけが上昇することから、同じ賃金で得られるモノやサービスが減り、労働者の生活は苦しいものとなっていきます。

現在話題になっているのは後者のインフレで、実質的な賃金減少が家計を圧迫し、経済の停滞や人々の不安を招いています。

パンデミックをきっかけとした世界規模のインフレ

現在、世界経済を混迷化させている大規模なインフレは、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックをきっかけに引き起こされたものです。

2019年末、中国で1例目の感染者が報告された新型コロナウイルス感染症は、たちまち世界中に広がって人々の暮らしや世界経済を混乱に陥れました。

この世界経済の混乱は、パンデミックに伴う行動制限によって生産活動が縮小し、モノ不足が顕在化したことに大きな原因があります。

モノの需要が供給を上回ると、必然的に物価が上がります。やがてパンデミックが収束に向かい始めると、需要の回復がエネルギーを中心とする物価をさらに押し上げ、世界規模のインフレの誘因となりました。

長期にわたり低水準を保っていたアメリカの消費者物価指数が、突如として前年同月比+4.2%という39年ぶりの高水準を記録したのは、まさに景気の急回復が始まった2021年4月のことです。(参考

そんなインフレ状況に拍車をかけたのが、2022年2月にロシアが起こしたウクライナ侵攻です。

アメリカをはじめとする西側諸国は、ロシアに対する経済制裁として、「石油」「液化天然ガス」「石炭」などのエネルギー資源や物資の輸入を制限しました。

さらに2022年5月、日本を含むG7は、ロシアの石油を輸入禁止、もしくは段階的に廃止する旨を首脳声明において発表しました。

この措置が西側諸国のエネルギー不足に追い打ちをかけ、インフレはますます深刻化することとなったのです。

円安が追い打ちをかける国内のインフレ状況

2023年1月現在、日本国内のインフレも深刻化しています。この原因には、諸外国と同様にパンデミックやロシアのウクライナ侵攻が大きく関わっていますが、それだけではありません。

日本独自の要因として、インフレの深刻化に大きく関わっているのが円安です。

1990年代前半に起きたバブル崩壊以降、日銀(日本銀行)は景気回復を目的とした金融緩和政策を取ってきました。アメリカをはじめとする各国が、インフレへの対抗措置として金利の引き上げを進めても、日銀はあくまで緩和政策の方針を変えなかったのです。

これにより、利上げを行った各国との金利の違いが円安を押し進め、日本国内ではエネルギーや原材料、食品など、あらゆる輸入品の金額が高騰することとなりました。

帝国データバンクが発表した『「食品主要105社」価格改定動向調査―2022年動向・23年見通し』によると、2023年の食料品の物価上昇は、昨年以上のペースで進んでいくと見られています。大きな転機がない限り、インフレは今後ますます進行していくでしょう。

出典:帝国データバンク|『「食品主要105社」価格改定動向調査―2022年動向・23年見通し』(2022年12月21日)

インフレ手当が果たす役割

厚生労働省が2023年1月に公表した『毎月勤労統計調査 令和4年11月分結果速報』によると、2022年11月に事業規模5人以上の事業所で支給された月間現金給与総額(*事業規模5人以上)は、28万3,895円でした。

これは前年比0.5%増の水準ですが、一方で消費者物価指数も前年比4.5%という大幅な上昇を見せています。物価を踏まえた労働者の実質賃金は、前年比–3.8%と大きく落ち込んでいます。

また、2023年1月11日に日銀が発表した『生活意識に関するアンケート調査(第92回<2022年12月調査>)』によると、物価に対する前年比の実感として、52.7%が「かなり上がった」、41.6%が「少し上がった」と回答しています。

程度の差こそあれ、「上がった」と感じている人が94.3%を占めている現状は、無視できない大きな問題といえるでしょう。

こうしたインフレが家計に与える負担を踏まえ、対応措置として支給されるのが「インフレ手当」です。

インフレ手当の支給により、実質賃金減少分を補えれば、インフレが家計に及ぼす影響を最小限に留められます。

企業が従業員を対象に支給するインフレ手当の場合には、従業員の経済的な負担を軽減するのはもちろんのこと、企業への貢献意欲やパフォーマンスを高めるといったうれしい効果が期待できるでしょう。

インフレ手当の支給状況と相場は?

インフレ手当の支給にあたり、事前に知っておきたいのが一般的な支給額の相場です。企業が支給するインフレ手当の相場について、支給状況と合わせて紹介します。

インフレ手当の支給に前向きな企業の割合

帝国データバンクが2022年11月11日~15日にかけて行った『インフレ手当に関する企業の実態アンケート』によると、インフレ手当をすでに「支給した」と回答した企業は6.6%でした。(*有効回答企業数1,248社)

「支給を予定している」の5.7%、「支給していないが、検討中」の14.1%を合わせると、全体の約1/4にあたる26.4%の企業がインフレ手当の支給に前向きとの結果が出ています。

アンケート後もインフレが収束の兆しを見せない現状を考えると、今後インフレ手当の支給に踏み切る企業は、ますます増えていくことが予想されるでしょう。

出典:帝国データバンク|「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」(2022年11月17日)

インフレ手当の相場

インフレ手当の支給方法は、「一時金」と「月額手当」の2種類に分かれます。

同じく帝国データバンクの調査からそれぞれの支給額を見てみると、まず一時金の場合、もっとも多いのは「1万円〜3万円未満」で、一時金での支給を選択した企業のうち27.9%を占めます。

次いで多いのが「3万円〜5万円未満」と「5万円〜10万円未満」のそれぞれ21.9%で、「1万円未満」の11.9%、「10万円〜15万円未満」の9.1%、「15万円以上」の7.3%と続きます。全体の平均支給額は約5万3,700円です。

対する月額手当の場合、「3千円〜5千円未満」と「5千円〜1万円未満」がそれぞれ30.3%と大半を占め、次に多いのが「3千円未満」の26.9%です。続いて「1万円〜3万円未満」の11.8%、「3万円以上」の0.8%となっています。全体の平均支給額は約6,500円です。

企業によって支給額の幅はあるものの、一時金の相場は5万円前後、月額手当の相場は6,000円前後といってよいでしょう。

【一時金】インフレ手当の支給事例

すでにインフレ手当を支給している企業は、どのようなタイミングで、どのような内容の支給に取り組んだのでしょうか。まずは、一時金として支給を行った企業の支給事例を紹介します。

三菱自動車工業株式会社

支給規模の大きさで話題を集めたのが、三菱自動車工業株式会社のインフレ手当です。

2022年12月、円安による物価高騰への対応措置として、三菱自動車工業株式会社は従業員に対し「特別支援金」を支給しました。

管理職を除く正社員約1万2,000人には10万円、期間従業員やアルバイト約2,000人には7万円を支給し、総支給額は実に13億円に達するとされています。

参考:https://www.mitsubishi-motors.co.jp/

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、国内外の全拠点それぞれの状況を踏まえた柔軟な支給案を実現しました。

2022年7〜8月、世界的インフレ傾向に向けた措置として、サイボウズ株式会社は同社と直接雇用契約を結んでいる社員に対し、無期雇用、有期雇用を問わず「インフレ特別手当」を支給しました。

支給額は、国内外拠点それぞれの地域にインフレが及ぼしている影響や税金、社会保険負担額などをもとに算出されています。

1例を挙げると、日本国内の拠点で1カ月あたり128時間以上勤務する人(1日8時間で週4日以上勤務)の場合、15万円がインフレ特別手当として支給されました。

そのほか、海外赴任中の従業員には、駐在元と駐在先それぞれの支給額を比較し、多い方を支給するなど、従業員目線での支給が行われています。

参考:https://cybozu.co.jp/

ケンミン食品株式会社

長引くインフレを背景に、すでに2度の一時金支給を実現しているのがケンミン食品株式会社です。

ケンミン食品株式会社は、2022年7月8日、賞与支給時の別手当として「インフレ手当」を支給しました。具体的な支給内容は、在籍1年以上の正社員と契約社員170人へ5万円、1年未満の正社員と契約社員20人へは1〜3万円となっています。

さらに同年12月9日、第2弾の措置として「生活応援一時金」を支給しました。第2弾では、社員やフルタイム勤務のパート(アルバイトを含む)に対し、「(本人+家族の人数)×1万円」を支給しています(*最大6万円まで)

参考:https://www.kenmin.co.jp/

【月額手当】インフレ手当の支給事例

月額手当としてインフレ手当を支給する場合、支給はどのように行われているのでしょうか。実際の主な支給例を紹介します。

オリコン株式会社

急激な円安に伴う物価上昇に直面する従業員への生活支援として、オリコン株式会社は「インフレ特別手当」の支給を決定、実施しています。

対象となるのは、オリコングループに在籍する正社員、契約社員、嘱託社員、アルバイトです。2022年10月分の給与より、当面は期間を決めずに1カ月あたり1万円(年間12万円)の手当を支給するとしています。

参考:https://www.oricon.jp/

株式会社イートアンドホールディングス

株式会社イートアンドホールディングスでは、円安による物価高を踏まえ、従業員の生活基盤を守り、業務に集中して働くことができる環境作りの一助として「特別手当」の支給を決定しました。

この決定により、グループに在籍する正社員と契約社員に対し、2022年10月支給分給与より一律月額8,000円が支給されています。

参考:https://www.eat-and.jp/

株式会社ノジマ

いったん一時金でインフレ手当を支給開始したあと、一律ベースアップによる継続的な社員の生活補助を決定したことで話題になったのが、株式会社ノジマです。

株式会社ノジマでは、物価の上昇に伴う従業員の生活費支援として、2022年7月支給分給与より、「物価上昇応援手当」の支給を開始しました。正社員と契約社員を合わせた約3,000人を対象に、1カ月あたり1万円の支給が開始されました。

支給開始から間もない同年12月、収束しない物価の上昇に対するさらなる生活補助として、同社はベースアップによる賃上げを決定します。

この決定により、2022年12月給与から、物価上昇手当に1万円を加えた計2万円の一律ベースアップが行われています。

参考:https://www.nojima.co.jp/

インフレ手当を「現金で」支給するデメリット

インフレ手当を現金で支給するにあたっては、あらかじめ知っておきたいいくつかのデメリットがあります。スムーズな導入のヒントとして、また、リスクマネジメントの1つとしてチェックしていきましょう。

生活補助に使われるとは限らない

企業が現金でインフレ手当を支給した場合、使い道の指定はできません。

本来の目的どおり、インフレによって実質的に減少した賃金を補うために使用する従業員もいれば、嗜好品の購入や遊興費など、本来の目的にはそぐわない使い方をする従業員もいるでしょう。

特に、インフレが加速化する現状では、将来への不安から消費者の行動は消費よりも貯蓄に回るのが一般的です。せっかく手当を支給しても、インフレへの対応に使われる可能性は残念ながら低いといえます。

企業の資金を活用する以上、本来の目的から外れた使い方をされてしまうのは、決して好ましいことではありません。取れる対策がないのか、じっくりと議論を重ねる必要があるでしょう。

税金や保険料の負担が増す

インフレ手当の支給について、意外な盲点となりがちなのが、税金や保険料の負担です。

インフレ手当を現金で支給した場合、扱いは「一時金」が賞与、「月額手当」は給与改定です。所得の増加と捉えられることから、企業、従業員ともに「所得税」「社会保険料」「雇用保険料」の対象となります。

特に月額手当でインフレ手当を支給する場合、企業は必要に応じて就業規則の改定や随時改訂(月額変更届)を行う必要があります。

さらに注意すべきなのが、従業員それぞれの置かれた状況です。例えば所得税は累進課税のため、インフレ手当を支給されることで、思いがけず負担額が大きくなってしまわないとも限りません。

また、配偶者の扶養内で勤務をしている従業員の場合、インフレ手当分の賃金増によって、扶養対象から外れてしまうケースも考えられます。

従業員間で不公平感の生じる支給にならないよう、可能な限り細やかな配慮が求められるでしょう。

支給方法の判断が困難

前述の帝国データバンクの調査によると、インフレ手当の支給にあたり、一時金を選択した企業は全体の66.6%、月額手当を選択した企業は全体の36.2%です。

ここで、一時金と月額手当それぞれのメリットとデメリットを整理していきましょう。

  メリット デメリット
一時金

・予算が立てやすい

・まとまった金額を支給できる

・長期化するインフレには対応できない
月額手当 ・長期化するインフレにも対応できる ・インフレが収束した際に撤廃しにくい

一時金での支給、月額手当の支給には、それぞれにメリットとデメリットがあります。自社の体力を踏まえて検討するのがおすすめです。

インフレ手当には「チケットレストラン」

現金支給で生じるデメリットを踏まえ、インフレ手当支給の新たな選択肢として、認知度を高めているのがエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。「チケットレストラン」とはいったいどのようなサービスなのでしょうか。

「チケットレストラン」とは

「チケットレストラン」は、30年以上の実績を持つ福利厚生食事補助サービスです。

専用の食事カードに、企業が従業員負担額を含めた金額を毎月チャージし、それを食事への支払いに使用することで、従業員は実質半額の食事補助が受けられます。

提携する店舗は全国7万店以上で、コンビニやファミレス、カフェなど、ジャンルも豊富に取り揃えられています。

食事補助という福利厚生の形態としては従来の社員食堂と共通ですが、利用する場所や時間帯の自由度の高さに大きな優位性があるのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。

「チケットレストラン」の場合、サービスを利用するタイミングが従業員に委ねられていることから、ランチ以外のタイミングでも利用できます。

朝食、間食、休憩時のコーヒーやお弁当への+1品など、従業員個人のライフスタイルに合わせられるのは、「チケットレストラン」ならではの大きな魅力といえるでしょう。

充実度の高さから、サービス導入企業は2,000社以上、1日あたりの利用者数も10万人を超える人気サービスとなっています。

インフレ手当に「チケットレストラン」がおすすめな理由

「チケットレストラン」がインフレ手当に選ばれる大きな理由は、インフレ手当を現金支給した場合に避けられない特有のデメリットを払拭できる点にあります。

前述のとおり、インフレ手当の現金支給には、以下に挙げる3つのデメリットがあります。

  • 生活補助に使われるとは限らない
  • 税金や保険料の負担が増す
  • 支給方法の判断が困難

まず、「生活補助に使われるとは限らない」点ですが、そもそも「チケットレストラン」は専用カードを使用したサービスであり、食事補助以外の目的では使用できません。現金の支給はしないことから、「支給方法の判断が困難」とのデメリットについても同様に払拭できます。

残る「税金や保険料の負担が増す」点ですが、「チケットレストラン」のサービスは、国税庁の確認のもと運用されています。用途が食事に限定されており、かつ適切な管理や証明ができる場合、「(チャージ額について)従業員が企業と同額または多く負担している」かつ「従業員1人あたり毎月3,500円(税別)を上限とする」との条件下において非課税で利用可能です。

また、すべての従業員が平等に利用できる点も、「チケットレストラン」が多くの企業に選ばれる大きなポイントの1つです。

一般的な社員食堂の場合、職種や任されている業務によっては営業時間内に休憩が取れず、利用できないケースが少なくありません。また、食の好みや体質、信仰などの理由から、一般的な社員食堂で提供されるメニューは食べられない人もいるでしょう。

企業が社員食堂での飲食代を福利厚生として補助する場合、このような社員食堂の利用が難しい従業員に対し不公平感を抱かせてしまいます。

しかしエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」であれば、誰もが好きなタイミングで好きな食事をチョイスできます。サービス利用率99%以上という高い利用率は、誰にとっても使いやすいサービスである何よりの証といえるでしょう。

相場を参考にインフレ手当の導入検討を

世界規模のインフレが続く中で、独自のインフレ手当を検討、支給する企業が増加しつつあります。

インフレ手当を導入し、従業員の実質的な賃金減少を補うことは、従業員1人ひとりの仕事に対するモチベーションや企業への貢献意欲を高める上で大いに役立ちます。

加えて、「従業員を大切にし、行動する企業」としてのブランドイメージが、企業自身に長期的かつポジティブな影響をもたらすでしょう。

なお、インフレ手当を現金で支給する場合の相場は、一時金で5万円前後、月額手当で6,000円前後です。

「チケットレストラン」の利用も選択肢の1つとして、自社に最適なインフレ手当の導入プランを検討しませんか?

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