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福利厚生の事例は?企業が福利厚生を充実させるべき理由も解説

2022.12.06

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福利厚生の例をあげると、健康保険・厚生年金などの法定福利と、食事補助・社員旅行・資格取得支援などの法定外福利の2種類に分けられます。2種類の福利厚生の仕組みをチェックしましょう。あわせて、なぜコストをかけてまで福利厚生を充実させるべきなのかも解説します。

福利厚生とは

従業員やその家族の健康・生活をより良くする目的で、企業が給料や賞与以外に提供するのが福利厚生です。対象となる従業員が必ず受けられるよう法律で定められている法定福利と、会社が独自に実施する法定外福利の2種類があります。

法定福利とは法律で定められている福利厚生

法律で適用範囲や事業主への負担が義務付けられている以下の6種類が法定福利です。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 介護保険
  • 労災保険
  • 雇用保険
  • 子ども・子育て拠出金

なんらかの理由で仕事ができなくなったときや、これまでのペースで働き続けるのが難しくなったときなどに、従業員やその家族をサポートする仕組みです。

多様な働き方で仕事をする人が増えている中、法定福利に含まれる医療保険と厚生年金の適用範囲は、段階的に拡大中です。対象となる企業の従業員数は従来の501人以上から、2022年10月に101人以上となりました。2024年10月からは51人以上となる予定です。

対象となる人が増えている医療保険や厚生年金も含め、6種類の法定福利について見ていきましょう。

病気やけがに備える健康保険

健康保険は健康保険法で定められている法定福利で、社会保険の一種です。病院へかかったとき、健康保険証を提示することで負担が3割になるのも、健康保険へ加入しているからです。

加えて仕事中や通勤中に起こった業務災害以外の病気やけが、死亡、出産などに関する以下の給付を受けられます。

  • 療養費:資格取得手続き中で健康保険証が未交付であるときをはじめ、窓口で全額負担したときに支給される
  • 高額療養費:窓口負担額が自己負担限度額を超えたときに支給される
  • 傷病手当金:療養のために休業し事業主から給料を受け取れない場合に支給される
  • 出産手当金:被保険者が出産のため休業し事業主から給料を受け取れないときに支給される
  • 出産育児一時金:被保険者もしくは被扶養者が出産したときに支給される
  • 埋葬料(埋葬費):被保険者もしくは被扶養者が亡くなったときに支給される

老齢や障害に備える厚生年金保険

厚生年金保険法で定められている厚生年金は、労働者が年老いたときや障害を負ったとき、もしくは死亡したときに給付を行う法定福利です。

例えば厚生年金への加入が義務付けられている企業で、会社員として働き続けてきた人が定年退職後に受け取る年金は、厚生年金の給付の一つです。

労働者や労働者が亡くなったときその遺族の暮らしを安定させるために設けられています。

失業や雇用の安定に備える雇用保険

雇用保険は労働者の生活や雇用の安定や就職の促進などを目的に、雇用保険法で定められています。具体的な給付内容は3種類に分類できます。

  • 失業給付等:失業中の生活の安定を目的とした給付や職業訓練にかかる費用などが支給される
  • 育児休業給付:育児休業中で勤務先から8割以上の給与が支払われていないときに給付を受けられる
  • 雇用保険二事業:事業主への助成金等で雇用を安定させる雇用安定事業と、職業訓練への支援等で労働者の能力開発を目指す能力開発事業からなる

失業したときの経済的なサポートと同時に、就職しやすくするためのスキルアップに関わる給付も行う保険です。

仕事中や通勤中の傷病に備える労災保険

労働者災害補償保険法で定められている法定福利が労災保険です。業務中や通勤中の出来事による病気やけがに適用されます。

病院を受診するときにかかる費用は労災保険なら無料です。加えて仕事に行けず給料を受け取れないときには給料の約8割が支払われます。

さらに障害を負った場合は年金もしくは一時金の受け取りも可能ですし、介護が必要なら介護費用も支給されます。また従業員が亡くなったときには、遺族へ年金か一時金が支払われる制度です。

保険の対象となるのは、正社員はもちろんアルバイトやパートも含む全従業員です。従業員が1人でもいる事業所は規模を問わず加入し、事業主が保険料を負担しなければいけません。

介護が必要になったときに備える介護保険

2000年に施行された介護保険法によって加入が定められているのは介護保険です。加齢は心身にさまざまな変化を引き起こします。病気や体力の著しい低下から、介護が必要な状態になることもあるでしょう。

自力でできることが徐々に減っていったときにも、能力に合わせ自立した暮らしができるようサポートを提供する仕組みです。要介護や要支援と認定されると、原則として1割の費用負担で、訪問介護や通所介護などの介護サービスを受けられます。

子育てをサポートする子ども・子育て支援

厚生年金に加入する従業員のいる事業者は保険料を全額負担し、子ども・子育て拠出金を支払わなければいけません。子ども・子育て支援法によって、子どもの健やかな成長を目的に定められている法定福利です。

拠出された資金の一部は、仕事・子育て両立支援事業へ充てられます。事業所内保育拡充のための企業主導型保育事業、ベビーシッターを利用しやすくするための企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の2つの事業です。

法定外福利とは

法律で定められる法定福利以外に、会社が独自に定める法定外福利もあります。給料や賞与以外に会社が従業員へ与える報酬・サービス・物品などがすべて法定外福利です。

多くの会社で取り入れられているのは、住宅手当・家族手当・通勤手当・資格取得手当・健康診断補助などです。社員食堂や昼食代の補助なども法定外福利に含まれます。

福利厚生の対象

法定福利は対象となる従業員が法律で決まっています。厚生年金と健康保険・介護保険の対象となるのは、以下の要件を満たした従業員です。

  • 従業員数101人以上の勤務先で働いている ※2024年10月からは51人以上
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8万8000円以上
  • 2ヵ月を超えて雇用される見込み
  • 学生でない

1週間の所定労働時間が20時間以上・31日以上雇用される見込みの従業員は、雇用保険の対象となります。

労災保険は雇用形態を問わずすべての従業員が、子ども・子育て支援は厚生年金へ加入している従業員が対象です。ただし必要な費用はすべて事業主が負担するため、従業員の支払いはありません。

また企業が独自に定める法定外福利は全従業員が対象です。

福利厚生にかかる費用

企業が福利厚生を従業員へ提供するとき、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?ここでは日本経済団体連合会「第 64 回福利厚生費調査結果報告」をもとに解説します。

従業員1人1ヵ月当たりの平均福利厚生費用

従業員を1人雇用したとき企業が負担する平均福利厚生費を見てみると、2019年は1ヵ月に10万8,517円です。2018年は月11万3,556円と5,039円減少していますが、現金給与総額に対する割合は2018・2019年ともに19.8%です。

従業員1人1ヵ月当たりの平均法定福利費用

1ヵ月にかかる平均法定福利費用も確認しましょう。2019年の法定福利費は1人月8万4,392円です。2018年の月8万8,188円とくらべると3,796円減少していますが、給与総額に対する割合の変化はなく15.4%です。

従業員1人1ヵ月当たりの平均法定外福利費用

法定外福利にかかる費用は、1人あたり月2万4,125円でした。2018年は月2万5,369円のため1,244円減少しています。ただし法定福利と同じく、給与総額に対する割合は変わらず4.4%です。

カフェテリアメニュー費用について

カフェテリアメニューは企業が定めるメニューの中から、従業員が必要なメニューを選び、割り振られているポイントを使い利用できる福利厚生の仕組みです。

財産形成・保険・食事手当・給食補助などのライフサポートメニューや、活動・自己啓発からなる文化・体育・レクリエーションメニュー、寮・社宅・賃貸物件入居補助、持家援助の住宅メニューなどが用意されています。

調査の回答企業608社のうち、2019年にカフェテリアプランを導入しているのは104社でした。従業員1人につき1ヵ月4,660円です。

カフェテリアプランを導入している企業は、法定外福利費の平均額が1人あたり月3万3,270円と、全体の平均より9,145円多い結果となっています。

福利厚生を充実させるべき理由

企業は従業員1人につき月10万8,517円の福利厚生費を負担しています。福利厚生を充実させるとなると、さらに多くのコストがかかるでしょう。これだけの費用をかけ福利厚生を魅力的にする理由を解説します。

福利厚生費として計上でき節税につながる

福利厚生費は経費として損金算入が認められています。税金を計算するもととなる課税所得は、利益から損金を差し引き算出可能です。

損金算入できる福利厚生費が多いほど課税所得を減らせるため、結果として税額を低く抑えやすくなります。

従業員の満足度・生産性・定着率が向上する可能性がある

待遇の良さは従業員満足度を高めるのに関係しています。従業員満足度を高める人間関係因子・自己実現因子・経済性因子のうち、福利厚生を充実させることで経済的因子を満たしやすいためです。

また働きながら仕事以外の部分を充実させられることも、従業員満足度に関わります。暮らしやプライベートを充実させられる福利厚生を提供すれば、従業員のモチベーションアップをサポートできるでしょう。

従業員の仕事へのモチベーションを高くキープできれば、生産性や定着率も上がっていくことが期待できます。

採用活動のサポートになる

国内の生産年齢人口は、今後減少していくとが予想されています。採用できる全体数が減っていくため、従来どおりの方法で採用活動を進めているだけでは、従業員を思うように雇用できません。

他の企業との違いをアピールし「あの企業で働きたい」と思ってもらえるような企業を目指す必要があります。福利厚生を充実させることは、他社との差別化に役立つ方法です。

福利厚生の事例

企業が独自に定められる法定外福利で提供できる内容は自由です。具体的にどのような福利厚生があるのか、事例をチェックしましょう。

経済的なサポートに関連する福利厚生

仕事をするにあたり必要な費用を福利厚生で補助すれば、従業員の経済的な負担を減らせます。

例えばランチを無料で食べられる食堂を設置したり、おかずを割安で購入できるサービスを導入したりすれば、従業員はランチ代を抑えつつ栄養バランスの良い食事をとりやすくなるでしょう。全国約7万店の飲食店やコンビニで電子カード決済で利用できるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を福利厚生に取り入れる企業も増えています。

仕事で着用する衣類や使用するバッグ・化粧品などの購入費用を、福利厚生でサポートしている企業もあります。自社サービスを無料で利用できる制度を導入すれば、従業員が自社サービスを理解するのにも役立てられるでしょう。

また金融機関と提携し、従業員が優遇金利で借り入れできる職域ローンも、従業員を経済的にサポートできる福利厚生です。

家族に関連する福利厚生

福利厚生は従業員本人はもちろん、その家族を支える役目も担っています。子育てのための休暇取得はもちろん、妊娠や体外受精に関するサポートを行っている企業もあります。

また従業員本人や従業員の家族に介護が必要となったときに利用できる、介護を行うサービスも時代に合う福利厚生です。今後増加が見込まれる、介護離職の予防につながるでしょう。

冠婚葬祭で休暇を取得できる慶弔休暇や、慶弔見舞金の支給も一般的です。企業によっては、事実婚も法的な婚姻と同様の福利厚生を受けられるよう定めています。

ペットも大切な家族の一員として、家族と過ごす休暇をペットと過ごす場合に認めているケースもあるそうです。

柔軟な働き方に関連する福利厚生

従業員の働きやすさを考慮し、柔軟に対応できる福利厚生もあります。例えばリモートワークを行う従業員が在籍しているなら、自宅を働きやすく整えるリモートワーク補助金を支給する福利厚生を取り入れると良いでしょう。

学びについての福利厚生も従業員の働き方に役立ちます。業務に関連する書籍の購入費補助・セミナーへの参加費用補助・資格取得支援などです。スキルアップはもちろん、社会や技術の変化・進歩に合わせた学び直しにも有効な制度です。

副業をしやすいよう制度を整えている企業もあります。社外での活動が社内の仕事に役立つといった観点から、副業を推奨する制度です。また社内の仕事を個人で引き受けられる社内副業の制度を取り入れ、社員の副業との相乗効果が得られた事例もあります。

健康の維持増進に関連する福利厚生

良い仕事を行うには健康管理も重要です。従業員の健康増進を目的に、健康診断やスポーツクラブの費用補助・整体を受けられる企業もあります。

健康はメンタルの状態にも左右されます。メンタルカウンセリングの導入で気軽にカウンセリングを受けられる仕組みも、従業員の健康に役立つでしょう。

また保養施設を利用できるサービスを導入すれば、充実した休日で心身ともにリフレッシュでき、仕事へのモチベーションにもつながることが期待できます。

従業員の懇親に関連する福利厚生

良好な人間関係は従業員満足度に役立つポイントです。福利厚生で従業員同士のコミュニケーションをサポートするのも良いでしょう。コミュニケーションを促進するため、以下のようなイベントを行っている企業があります。

  • 社員旅行
  • ホテルでの食事会
  • サークル活動・部活動
  • バーベキュー
  • 流しそうめん など

多くの従業員が集まるイベントだけでなく、少人数で集まるランチや飲み会への補助もスムーズなコミュニケーションに役立つでしょう。例えば新入社員がなじみやすいよう、歓迎会を兼ねたランチ会の費用をサポートするケースもあります。

福利厚生で企業の魅力アップを

福利厚生は法律で定められている法定福利と、企業が独自に設ける法定外福利の2種類です。ユニークな法定外福利は、他社との差別化による企業の魅力アップに役立つでしょう。生産年齢人口が減っていく中、福利厚生が充実した働きやすい企業には、求職者が集まりやすくなると期待できます。

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