チケットレストランブログ福利厚生[社労士監修]住宅手当は課税・非課税どちら?それぞれのケースや課税額を解説

[社労士監修]住宅手当は課税・非課税どちら?それぞれのケースや課税額を解説

福利厚生

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監修者:森田修(社労士事務所 森田・ミカタパートナーズ)
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企業が福利厚生の一環として備える住宅支援制度。
毎月の固定費のなかでも大きな割合を占めている住宅費用を企業が補填してくれるので、従業員にとって、あると助かる制度です。
福利厚生における住宅手当は、法律で決められたものではないので、企業の裁量によって支給要件等を決めることができます。
実はこの住宅に関する手当、支給の方法によって課税対象になる場合とならない場合があるのです。
今回は住宅手当の課税について解説していきます。

住宅手当は課税される?

住宅手当は、給与とみなされるため課税対象です。給与所得として合計額に加算され、所得税が課税されます。
国税庁の給与所得となるもののページ(※1)でも以下のように記載されています。

 2 手当
役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得となります。具体的には、残業手当や休日出勤手当、職務手当等のほか、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当なども給与所得となります。

どのように課税されるのか、また非課税にすることはできないのかをケース別に見ていきましょう。

課税されるケース

先ほど解説した通り、国税庁の記載において住宅手当は給与所得となり課税対象とされています。
企業が従業員に対し住宅手当分の金額を上乗せして支給しているケースです。

具体的には、例えば企業側が従業員に対し月3万円を住宅手当として支給している場合、3万円×12ヶ月=36万円となり、この額が年収に加算されその分所得税が増額されることになります。

課税されないケース

住宅手当が課税されないようにすることはできるのでしょうか?

基本的には住宅手当として上乗せで支給する場合は課税対象となります。

しかし企業が保有する社宅を従業員に貸す場合や、企業が賃貸契約者となり従業員に貸し出す借り上げ社宅などを利用する場合は、課税されないようにすることが可能です。

従業員に対し、社宅として住宅に関する費用を補填する場合は、企業側が従業員の給与から家賃の一部を徴収することになります。
従業員の手取りは減っているように感じるかもしれませんが、税金面で考えると節税対策となり得ます。
一定の基準がありますが、要件を備えていれば課税されることはありません。
具体的な基準については後に詳しく解説していきます。

住宅手当の課税額はいくら掛かるか

住宅手当として給与に上乗せで支給した場合、いったいどのくらい増額されるのか、課税区分の所得税で計算してみましょう。

たとえば住宅手当を除く年収が300万で、住宅手当が月に3万円支給されるとします。
住宅手当がない場合は、年収300万円で税率は10%、控除額は97,500円。
計算すると、3,000,000円×0.1-97,500円=203,000円(課税額)になります。

次に住宅手当がある場合は、年収300万円に1年間の住宅手当の合計3万×12ヶ月=36万円を足して336万円。
ここでポイントとなるのは税率です。年収300万であれば10%でしたが、国税庁の所得税の速算表(※2)をみると330万円以上から20%に税率が上がり、控除額は427,500円になります。
計算すると、3,360,000円×0.2-427,500円=244,500円(課税額)になります。

仮に住宅手当が2万円だった場合は、2万円×12ヶ月=24万円。
年収に加算しても324万円となり、330万円以下なので税率は10%、控除額は97,500円です。
計算すると、3,240,000円×0.1-97,500円=226,500円(課税額)になります。

所得金額の範囲により税率が異なり、課税される額も変わってくるので注意が必要です。

課税区分の所得税として計算されるだけでなく、社会保険料なども報酬額に応じて増加します。
社会保険料は労使折半ですので、企業負担分の社会保険料も増加されることを考慮に入れておきましょう。

課税率
(※2)所得税の速算表

住宅手当を非課税にする方法

住宅手当を非課税にするためには、企業が保有する社宅を従業員に割安な金額で貸すことや、企業が賃貸契約者となり従業員が利用する借り上げ社宅で対応する方法などがあります。

住宅手当のように給与に上乗せで支給するものではありませんが、従業員にとって、月々の住宅費用がぐっと抑えられるものであることには変わりありません。

とはいえ、自社の物件だからといって社宅を無料で貸し出したりしても良いかというとそうではありません。
無料での貸し出しは課税対象となってしまうので注意が必要です。

借り上げ社宅と企業が保有の社宅について、それぞれどんな要件で非課税にすることができるのか詳しく見ていきましょう。

借り上げ社宅制度

借り上げ社宅制度とは、企業が不動産管理会社と賃貸契約を結び借入し、従業員にその物件を貸し出す制度のことを言います。
企業が不動産管理会社へ家賃を支払い、従業員からその費用の一部を徴収する制度です。

借り上げ社宅の場合、従業員は自由に住む家を選ぶことはできませんが、月々の住宅費用負担は各段と減ります。
前の項目でも触れましたが、借り上げ社宅を活用することで、従業員は所得税の節税や社会保険料を抑えることができます。
さらに企業は、借り上げ社宅として借りている物件の費用を経費として扱えるので、企業側としても節税対策になります。

住宅手当を非課税にするための要件について、国税庁の記載を確認してみましょう。
国税庁によると(※3)、従業員から徴収している家賃額が賃貸料相当額の50%以上であれば、給与として課税されません。
賃貸料相当額とは、以下の計算により求められる合計額をいいます。

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

賃貸料相当額のだいたいの目安は、計算すると実額家賃の2割程度になるようです。

逆を言えばこの賃貸料相当額の半分以下しか徴収しない場合は、賃貸料相当額と従業員から徴収している家賃の差額が給与として課税対象となってしまいますので気を付けましょう。
具体的には、賃貸料相当額が2万円で、従業員から徴収している額が8,000円だった場合、賃貸料相当額の50%の1万円から8,000円を引いた2,000円が課税対象となります。

社会保険料に関しては少し算定方法が異なります。
社会保険料を決めるにあたり、この借り上げ住宅制度は「現物給与」という報酬扱いになります。
計算方法は都道府県毎に居住スペース1畳の価格(東京は2,830円)が決まっており、その金額から本人からの徴収金額を差し引いた額が報酬となります。
この居住スペースには玄関、台所、トイレなどの居住用以外のスペースは含みません。

例えば、東京で居住スペースが10畳、本人からの家賃徴収額が1万円とした場合は2,830×10-10,000=18,300円が報酬となるため、この金額が基本給などに上乗せされ社会保険料が決まるのです。

従業員と企業の双方で節税できるなどメリットが多く見える借り上げ社宅制度ですが、デメリットもあります。
従業員に住宅の選択肢が狭くなることや、住宅に関する責任や費用管理、敷金等をどうするかなど、企業側の運用に手間がかかることなどです。

社宅の家賃を非課税にするための要件

借り上げ社宅同様に、社宅や寮として企業が保有している物件を従業員に貸し出す場合もある一定の要件を満たせば家賃を非課税にすることができます。
ただし従業員と役員では要件が異なるため、確認しておきましょう。

従業員に貸す場合

従業員に貸す場合は借り上げ社宅の要件と同様です。
賃貸料相当額の50%以上を従業員が負担していれば、家賃は非課税になります。

役員に貸す場合

役員の場合は3つパターンがあります。

A)小規模な住宅

法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。

B)豪華社宅

床面積が240平方メートルを超えるもののうち、取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定します。

C)一般の住宅
A)とB)以外

ここで非課税対象とできるのはA)の小規模な住宅と、C)の一般の住宅です。
B)の豪華社宅は対象外となります。

A)小規模な住宅の要件
賃貸料相当額は従業員の算出方法と同じになります。
ただし役員は50%以上という優遇措置はありませんので、こちらで算出した賃貸料相当額を100%徴収しなければなりません。

C)一般の住宅の要件
小規模住宅や豪華社宅に該当しない住宅の場合は、国税庁のページに以下の記載があります。

役員に貸与する社宅が小規模住宅に該当しない場合には、その社宅が自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、賃貸料相当額の算出方法が異なります。
(1) 自社所有の社宅の場合
次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。
イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を乗じます。
ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%
(2) 他から借り受けた住宅等を貸与する場合
会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記(1)で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

上記から、役員へ貸与する社宅が一般の住宅に該当する場合は、家賃相当額と実際に支払う家賃額の半分の金額をくらべ多い方の額の徴収が必要となりますので、注意してください。

さいごに

住宅費を企業が補填してくれる住宅手当。
支給の仕方によって給与課税対象となるケースとならないケースがありました。

住宅手当を給与に上乗せして支給する場合は、従業員が自由に住みたい物件を選択できるメリットがある反面、課税額が増えることがデメリットです。

企業が提供する社宅や寮、借り上げ社宅などにより住宅を従業員に提供する場合は、企業はその管理等の手間がかかること、従業員は選択の幅が狭いことなどがデメリットとして挙げられます。

とはいえ企業にとっても従業員にとっても節税対策になるメリットがあります。
それぞれのメリットデメリットを考慮し、求職者や従業員満足度の向上につなげられるよう、自社の状況に応じて制度を活用してみてください。

(※1)No.2508 給与所得となるもの/国税庁
(※2)No.2260 所得税の税率/国税庁
(※3)No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき/国税庁