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【社労士監修】住宅手当とは?押さえておきたい基礎知識と減少・廃止の理由

2022.05.09

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監修者:森田修(社労士事務所 森田・ミカタパートナーズ)

福利厚生のなかでも認知度の高い「住宅手当」。
福利厚生として取り入れる企業も多く、支払われる金額や条件はさまざまです。
耳にする機会も多い住宅手当ですが、きちんと理解できていない担当者様もいるでしょう。

企業にとっていくつものメリットがある一方で、最近では住宅手当を廃止する企業は増加しており、支給する企業は減少の傾向にあります。
企業の担当者様は、住宅手当の基礎知識について改めて理解しておきましょう。

住宅手当とは

住宅手当とは、住まいに対する補助を目的として支給される手当です。
企業が雇用する従業員に対して支給する場合に限らず、条件を満たせば公務員も支給されます。

福利厚生には、法律の定めがある「法定福利」と、法律による決まりがない「法定外福利」があります。
住宅手当は法定外福利に該当するため、企業が独自でルールを決めることが可能です。

住宅手当をはじめとする福利厚生は、従業員に対して均衡のとれた規定でなければなりません。
差別的な規定を設けた場合には、せっかくの福利厚生も従業員のためになりません。
場合によっては、指導の対象となることもあるため注意しておきましょう。

現在は働き方改革推進法に伴う同一労働同一賃金の考え方により、均衡のとれた支払いが求められます。
住宅手当などの福利厚生は、全ての従業員に対して均衡のとれた適用とすることが重要です。

支給の条件

住宅手当は法律による決まりがないため、企業や自治体が自由に条件を設定できます。
一人暮らしの従業員に対する家賃補助、および持ち家のローン補助などのように支払いの対象となる項目も企業ごとにさまざまです。

支給する金額に関しては、従業員が置かれた状況によって、金額を変動させるケースがよく見られます。
多くの企業では従業員が世帯主なのか、扶養家族の有無などのように、従業員を取り巻く環境に応じて金額を設定しているようです。

なお条件を決めるときには、不公平な規定にならないように注意してください。
不公平だと感じた従業員は、モチベーションが下がってしまいます。最悪のケースとしては、退職してしまうことにもなりかねません。
条件を設定する際には、全ての従業員に対して、均衡のとれた適用とすることが大切です。

住宅手当は課税対象になるか

住宅手当は課税対象です。
給与などと同じく所得としてみなされるため所得税が課せられます。
給与所得は課税の対象であるため、住宅手当も課税対象です。(※1)

例えば「給与300万円、住宅手当1万円/月」の場合には、以下のような計算となります。

【手当なしの場合】
・300万円(給与)×10%(課税率)-97,500円(控除額)=202,500円(源泉徴収対象額)

【手当ありの場合】
・1万円(住宅手当)×12カ月=12万円(1年間の合計)
・300万円(給与)+12万円(住宅手当合計)=312万円
・312万円×10%(課税率)-97,500(控除額)=214,500円(源泉徴収対象額)

住宅手当を支払う場合、上記【手当ありの場合】のように、給与に加算して所得税を計算します。
なお課税率は年収に応じて変動するようになっており、所得が多くなるごとに課税率も上がります。
ちなみに、330万円を超えた場合の課税率は20%です。(※2)

所得が増えるごとに課税される金額が大きくなり、従業員の給与から控除される金額も多くなります。従業員からすると天引きされる額が増えるため、問い合わせがあった際には、きちんと説明できなければなりません。
従業員との思わぬトラブルに発展しないように、所得税の仕組みや課税率はきちんと理解しておきましょう。

支給額の相場

厚生労働省の調査によると、1人あたりに支払われる住宅手当の平均額は、17,000円であることが分かりました。(※3)
このデータは全国を対象としたものであるため、地域によっては差があるようです。

なお自治体によっては、地域ごとの平均を調査していることがあります。
自社がある地域の平均を知りたいときは、自治体の調査データを探して参照してみるとよいでしょう。

対して公務員の場合は、法律などによって上限額や計算方法が定められています。
国家公務員であれば、住宅手当の上限額は28,000円です。(※4)

計算方法についても、法律で決められているため、要件に沿って支給される金額が決まります。
地方公務員の場合には、各自治体によって異なります。
そのため、地方公務員の場合も地域によって差が出るケースがあるようです。

住宅に関連する他の補助

住宅に関連する補助の種類はさまざまです。
一般には、まとめて「住宅手当」と呼ぶことがあります。
例えば従業員の住まいが持ち家であるときは、住宅ローンに対する補助を支給する企業もあるようです。

その他にもさまざまな補助がありますが、他社との差別化を図るべく企業ごとに取り組みが行われています。まずは、代表的なものを見てみましょう。

家賃補助

アパートなどに住む従業員に対して、家賃の補助を目的とした手当です。
家賃の金額に応じて、掛かる金額の一部を補助するために支給します。

家賃補助を取り入れる企業は多く、公務員の場合にも支払われることが多い手当です。
支給する対象や金額は企業によって異なります。
固定の金額で支給する企業もあれば、家賃に対する割合で支払う企業もあるようです。

家賃補助の支給条件に関しては、企業ごとにさまざまな規定が設定されています。
実際には下記のような項目を条件とする企業が多いです。

  • 本人が住宅の契約者である
  • 同居人がいる場合には、従業員が世帯主である
  • 企業が定めた支給条件以上の金額を家賃として支払っている方(家賃額の一部を支給)

また、実家暮らしの場合には支給しないケースが多くありますが同居者が従業員の扶養に入っている場合には、支払いの対象とする企業もあります。

引っ越し手当

従業員が引っ越しをする際に支給される手当です。
引っ越しに掛かる費用の一部を補助する目的で支払います。これまでは転勤や赴任によって、引っ越しが必要な際に支給されることが一般的でした。

一方、近年では支給の対象も広がっており、オフィスの近くに引っ越した場合に支給する企業も増えています。

引っ越し手当として支給される内容の例をあげてみます。

  • 引っ越し業者に支払う費用
  • 不動産業者への仲介手数料
  • 敷金や礼金
  • 鍵の交換費用
  • 火災保険

なお補助の対象となるのは、基本的に引っ越しに掛かる費用のみで、ほとんどの企業ではオプションまでは補助していません。

また美術品や車両の運搬費などのように、別料金が発生した場合については、従業員の負担とすることが一般的です。

住宅手当を導入するメリット

住宅手当は、企業がコストを負担するため、費用対効果を考えた上で導入することが大切です。
より効果的に運用するには、はじめにメリットをきちんと把握しておく必要があります。

住宅手当を導入することには、大きく分けて2つのメリットが挙げられます。

企業のイメージが良くなる

住宅手当をはじめとした法定外の福利厚生を導入すると、企業のイメージが良くなることに期待できます。

実際に支給する企業は多く、労働者も良い企業かどうかを判断する目安となっているようです。
そのため、福利厚生を充実させると採用活動がしやすくなります。
優秀な人材を確保する機会が増えることになり、業績アップを目指せるでしょう。

また、内容をより充実させることもおすすめです。他社との差別化が図れるため、自社の魅力を求職者に知ってもらえます。
福利厚生など魅力的なアピールポイントがあると、優秀な人材の獲得につながりやすくなります。

ただし、やみくもに手当を支払うのではなく、住宅手当の内容もしっかりと検討しましょう。

従業員のモチベーションアップが図れる

住宅手当に関心のある方は多く、制度を充実させると従業員のモチベーションアップも期待できます。

住まいは暮らしを送るためにとても重要なものであるため、住宅に関する補助があると暮らしも豊かになります。
従業員も生活に不安がなくなれば、仕事に集中できるでしょう。
結果的には、モチベーションアップにもつながります。

支給する方法については、いくつかの手当を用意しておくと効果的です。
従業員が自分のスタイルに合わせて選べると、更なるモチベーションに期待できます。
住宅に関する福利厚生には、手当の支給以外にも、社員寮や社宅などさまざまです。
いくつかの選択を用意しておくと、従業員のニーズを満たしやすいため、モチベーションアップを図る際には効果的でしょう。

住宅手当を導入するデメリット

住宅手当を導入するメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。
事前に把握しておくと、もしものときに改善や対処がしやすくなるでしょう。

住宅手当を導入するデメリットは、おもに以下の2つが挙げられます。

企業のコスト負担が大きい

ひとつめのデメリットは、企業のコスト負担が大きいこと。
住宅手当は、法定外福利のなかでも、企業の負担する費用が高額になりやすい手当です。

日本経済団体連合会が行った調査によると、法定外福利費において住宅関連の手当が占める割合は、47.8%(12,133円)を占めることが分かりました。(※5)
データを見て分かるように、企業の大きな負担になっていることが伺えます。

また、企業が負担する社会保険料にも注意が必要です。
住宅手当は給料の分野に分けられるため、支給する金額が多くなると、社会保険料にも影響を及ぼします。

保険料は、主に報酬(給与額)に応じて支払うべき金額が決まる仕組みです。
費用の半分は企業が負担しなければならないため、結果的にはコスト増加につながる場合も。
住宅手当の支給する金額を設定するときは、保険料なども考慮しておくことが必要です。

公平な条件設定が難しい

住宅手当について、公平な条件の設定が難しいこともデメリットです。
設定する条件次第では、従業員によって不平等になる事態が発生してしまい、従業員から不満が出る可能性があります。

また、従業員によっては何かしらの事情により、支給条件を満たせないことがあります。
特に家庭の事情によるケースでは、従業員が対処することが難しいこともあるでしょう。
このような理由により支給対象外となってしまうと「仕事は一生懸命やっているのに、自分だけは待遇が悪い」と感じる従業員もいます。
結果的には、仕事に対するモチベーションが下がってしまうでしょう。

とはいえコスト面を考えると、企業が全てのニーズに対応するのは難しいといえます。

住宅手当が減少・廃止傾向にある理由

近年では、住宅手当を取り入れる企業は減少の傾向にあります。

住宅手当の支給状況について、人事院が500人以上働く企業をもとに調査しています。
結果によると、2006年には57.7%の企業が支給しているのに対して、2019年には56.6%と減少していることが分かりました。(※6)

原因としては、働き方改革の実施やライフスタイルの変化など、さまざまなことが考えられます。
市場の動向を把握しておくことで、自社での運用にも役立つでしょう。

働き方改革による同一労働同一賃金

住宅手当を支給しない企業が増加する背景には、働き方改革による同一労働同一賃金の実施が、一因と考えられます。

実際に、法律の施行を機に福利厚生を見直す企業は少なくありません。
当然、住宅手当もそのひとつです。
コストを考えると全ての従業員に対して、費用を平等に負担するのは難しいため、法律の施行を機に廃止する企業が多いようです。

ただし、廃止するにあたっては労働条件の不利益変更にあたるため、従業員に対して丁寧な説明をすることを忘れてはなりません。

ライフスタイルの多様化

多様化するライフスタイルも、住宅手当が減少する原因として考えられます。
現代では職種も幅広くなっており、働き方もさまざまです。
従来の日勤や夜勤だけでなく、近年ではフレックスタイムのように、就業時間を従業員が選ぶ働き方もあります。

また、ライフスタイルの変化に伴い個人の価値観も変化しており、住宅手当の考え方も人によって異なります。
働く人のなかには、住まいとは別の手当を望む方もいるようです。
このように、住宅手当を支給するメリットが減ってきたことが、支給が減少する要因のひとつと考えられます。

実際に従業員の実績に合わせて成果型の手当へ切り替える企業も増加しているようです。
コスト削減につながることもあるため、住宅手当の効果が薄いと感じたときには、成果型の手当へ切り替えることも検討してみましょう。

テレワークの普及

テレワークの普及も、住宅手当の支給が減少する原因のひとつです。
テレワークは自宅で業務をするため、電気代や通信費などの経費が発生する場合があります。
そのため企業に対しては、家賃だけでなく、より広い従業員へのサポートが求められています。

従業員を広くサポートするために、近年よく導入されている手当が「在宅勤務手当」です。
新型コロナウィルスの感染拡大後においては、政府をはじめ企業もテレワークを推奨するケースが増えています。
テレワークをする方が増えることに合わせて、住宅手当を在宅勤務手当に切り替える企業が増加しているようです。
引き続きテレワークを推奨する動きが見受けられるなか、今後も在宅勤務手当へ切り替える企業の増加が予想されます。

住宅手当を廃止する際の注意点

住宅手当を廃止する際には、注意すべきポイントがあります。
誤った方法で廃止してしまうと、法律に違反する恐れがあるため注意が必要です。

企業が従業員の待遇を変えるときは、従業員に対してきちんと説明する義務があります。
労働契約法第9条の規定に

使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。

とあり、原則として企業が勝手に、従業員の不利益になることをしてはいけないとしています。(※7)

例えば手当を廃止するだけだと、従業員の手取り額が減ってしまいます。
従業員からすれば、給与をカットされた状態です。
収入がいきなり減ってしまうと、従業員の生活に支障がでる恐れがあります。
企業からきちんとした説明がなければ、従業員も納得できないでしょう。
労働条件の不利益変更は、このような事態を防ぐために設けられた法律です。

上記の法律により手当を廃止するためには、原則、従業員の同意を得る必要があります。
しかしながら、手当を廃止するだけでは従業員の同意を得るのは難しいでしょう。
同意を得るためには、現在の水準を維持できる施策が必要です。
従業員も現在の水準が維持できれば、納得してくれる可能性があります。
住宅手当の廃止を検討するときは、代替え案をするなどして、水準の維持に努めましょう。

なお労働条件の書面による通知が必要です。(労働者が希望した場合は、FAXや電子メール、SNS等でも可能)。
労働条件や待遇に変更があった際は、労働条件を書面にて更新通知しなければなりません。
就業規則関係はきちんと整備していないと、指導や罰則の対象となる恐れがあります。

労働条件を変更したときは、改めて労働条件を書面により通知してください。

住宅手当に代わる選択肢

住宅手当のメリットが少ないと感じたときは、代替えとなる福利厚生を準備することも検討しましょう。

  • 食事補助
  • 通勤手当
  • 在宅勤務手当
  • カフェテリアプランの導入

代替え案にはさまざまなものがありますが、従業員の声を丁寧に拾い上げるなど、従業員が不満に感じないように十分に配慮することが大切です。

また、代替え案は自社に適したものを選ぶ必要があります。
自社に合わないものを選択しても、あまりメリットは得られません。
まずは社内の現状を整理して、どのような施策が良いか慎重に検討することからはじめましょう。

なお住宅手当に代わる選択肢については、手当を廃止するときの代替えとしても役立ちます。

給与に上乗せして支給する

住宅手当の廃止や切り替えを機に、給与制度を見直すことも効果的です。
実際に手当を廃止して、給与に上乗せして支給する企業も増えています。
給与に上乗せすれば、従業員の手取り額にも影響が少なく済むため、従業員も納得しやすいでしょう。

ただし、給与に上乗せするときは、支給する名目に注意が必要です。
給与は、ほとんどの企業が名目を分けて支給しています。
基本給に、役職手当や仕事給などを、組み合わせて支給することが一般的です。

給与は支給する名目を一度決めてしまうと、簡単に金額を下げることができません。
金額を下げたい場合には、合理的な理由が必要です。
そのため、どの名目にどの程度上乗せするかは慎重に考えることが大切です。
安易に考えてしまうと、トラブルに発展し従業員のモチベーションも下がってしまいます。

住宅手当の代替を給与に上乗せする場合には、支給する名目に注意しましょう。
なお給与については、法律の観点から専門的な知識を要する場合もあるため、社会保険労務士などのプロに相談することをおすすめします。

他の福利厚生を提供する

住宅手当の効果が薄いときは、他の福利厚生へ切り替えることも検討しましょう。
近年では、福利厚生のバリエーションも豊富になっています。
食事補助やレクリエーション、娯楽施設の提供など企業によってさまざまです。
フィットネスクラブなどの利用を、福利厚生として提供する企業もあります。

また、最近ではカフェテリアプランを導入する企業も増えています。
カフェテリアプランは、あらかじめ用意されたメニューから、従業員が好きなものを利用できます。
従業員が自ら好きなものを選べるため、ニーズに合ったものを提供しやすいことが特徴です。

なお他の福利厚生を提供するときも、全ての従業員に対して均衡のとれた制度でなければなりません。
従業員からの不満がでないように公平さを保ちつつ、自社に合った福利厚生を導入しましょう。

カフェテリアプランの詳細については、こちらの記事で紹介しています。
[社労士監修]カフェテリアポイントとは?お得な使い方や使い道

借り上げ社宅を提供

借り上げ社宅を提供することも、選択肢のひとつに挙げられます。

借り上げ社宅とは、企業が賃貸契約した住宅を社員のために提供するものです。
企業が借り上げ社宅の家賃を一部または全部負担することで、従業員にとっては固定費の抑制につながります。結果的には、モチベーションの維持にも期待できるでしょう。

借り上げ社宅を提供するときは、家賃の一部を従業に負担してもらうパターンと、全ての費用を企業が負担するパターンがあるようです。
ただし企業が全ての費用を負担する等、制度設計によっては従業員の所得税や社会保険料が発生するため注意が必要です。

従業員に一部を負担してもらう場合には「2LDKは2万円~、3LDKは4万円~」のように、住居の間取りごとに負担金額を決めている企業も見られます。

借り上げ社宅は、実質的に家賃の一部を負担していることになるため、住宅手当を支給する目的と大きな相違はありません。
住まいに関する補助を希望する方も多くいるため、そのような従業員のニーズに応えることができます。

ただし、モチベーション維持を図るには、それなりの住宅を用意する必要があるでしょう。
築年数が古く不具合が頻繁に生じるような物件では、反対に従業員のモチベーションが下がる可能性があります。

また、不動産業者と1棟ごとの契約している場合、空室がでると余分な家賃が発生することには注意が必要です。
1棟ごとの借り上げでは、空室が多いほど無駄なコストが発生してしまいます。
加えて不動産業者によっては、中途解約すると違約金が発生する場合もあります。

借り上げ社宅の提供を検討するときは、余分コストが発生しないように、物件や契約内容について事前リサーチをしっかりと行うことが大切です。

福利厚生が充実している企業5選

近年は、福利厚生の充実に力を入れる企業も増えています。
福利厚生が充実する企業は、魅力的に感じる方も多く、従業員のモチベーションにもつながっているようです。
実際にランスタッド株式会社が2020年に調査を行い、業種別にランキングとして公表しています。(※8)
そのなかでも福利厚生が充実している企業をご紹介します。
企業の担当者様は、自社の福利厚生を見直す際の参考にしてみてください。

明治ホールディングス株式会社

明治ホールディングスは、おもに食品や製薬を扱う企業です。
食品メーカーの明治、およびMeiji Seika ファルマを傘下に持っています。
グループ全体の従業員数は、17,832人となっており、多くの従業員が働いています。(2021年3月31日現在)

福利厚生に関しては、賃貸補助や在宅勤務手当をはじめ、子ども手当などの福利厚生が提供されているようです。
ネット上の口コミなどを見てみると、特に子どもに関する手当について「充実している」との声がよく見られます。

子どもひとりあたりに支給される次世代育成手当、ベビーシッター利用額への補助、入学祝い金などのように、子どもがいる家庭への豊富な手当が用意されています。

サントリーホールディングス

サントリーホールディングスは、ビールや洋酒をはじめとする酒類、および清涼飲料水を販売する企業です。従来は酒類の販売が事業の主要となっていました。
近年に入ると清涼飲料水の販売にも力を入れています。
従業員数は、グループ全体で40,275人の方が働いています。(2021年12月31日現在)

待遇については、育児休暇や介護支援など充実した福利厚生が特徴です。
住まいに関する補助については、家賃補助が支給されています。
加えて条件を満たすことで、社員寮も利用できるようです。
ネットに寄せられた声を見ても「住宅に関する補助が手厚い」などの意見が見られます。

また、育児休暇の取得率が高いこともポイントです。
公式サイトによると、女性社員では100%の割合で育児休暇を取得しています。
このデータをみると、休暇が取りやすい環境であることが伺えます。
フレキシブルな働き方も取り入れられており、職種によってはテレワーク勤務も可能なようです。

三菱UFJフィナンシャルグループ

三菱UFJフィナンシャルグループは、創業より長い歴史を誇る三菱グループの持ち株会社です。
グループ全体において、おもに金融に関する事業を展開しています。
従業員数は非常に多く、連結子会社を含め13万人を超える方が働いています。

福利厚生はグループ企業によっては異なりますが、全体的に充実しているという声が多いようです。
住まいに関する手当に関しては、独身寮および家賃補助を提供するグループ企業が多く見受けられます。
グループ企業の株式会社三菱UFJ銀行などでは住宅資金貸付制度が提供されており、住まいに関する制度は充実しているようです。

他の福利厚生については通勤手当や育児休暇、出産休暇などが提供されています。

なかでも多くのグループ企業で、充実した教育制度が導入されていることも特徴です。

基本となる集合研修をはじめ、社内留学研修や渡航前語学研修など国外向けの研修制度も充実しています。

資生堂

資生堂は、おもに化粧品の製造や販売を行う企業です。国内においては、第1位のシェアを誇っています。
海外への展開も著しく、世界120カ国の地域で事業展開をしています。
グループ全体で働く従業員の数は39,035人です(2021年1月1日現在)。

福利厚生については、住宅手当や社宅および借り上げマンションタイプの独身寮など、住まいに関する支援が充実しています。
加えてカフェテリアプランも、取り入れられています。
自己啓発や育児、介護と健康など従業員のニーズに対応したメニューが用意されており、従業員が好きなメニューを選択することも可能です。

育児休暇も取ることができ、子どもが3歳になるまで取得できます。
その他に、ベビーシッターと同様の要素を持つ「カンガルースタッフ制度」のように、育児と仕事を両立させるために支援する制度も充実しています。
なお職種によっては、支給される手当や福利厚生が異なるようです。

日立製作所

日立製作所は、大手企業日立グループの中心となる企業です。
おもに電気製品の製造や販売を事業として展開しています。
連結子会社だけでも879社と多くの関連企業が存在しており、グループ全体で350,864人の従業員が働いています(2021年3月31日現在)。

福利厚生については、家族手当や交代勤務手当、および介護手当などさまざまなものが提供されています。
育児休暇や出産休暇、ならびに不妊治療手当なども支給されており、ファミリー向けの福利厚生も充実しているようです。

また、日立製作所は充実した住宅支援も特徴です。
独身寮をはじめ、住宅手当も支給されています。条件はありますが、集合寮タイプでは月額6,000円から入寮が可能です。
住宅手当に関しては、条件を満たすことで家賃の50%が支給されます。
ただし、地域や条件によって支給される金額は変動するようです。

日立製作所においては、カフェテリアプランも導入されています。
従業員が好きなものを選べるため、モチベーション維持に役立ちます。
加えて「東急ハーヴェストクラブ」と法人契約がされているため、会員価格で宿泊が可能です。

さいごに

福利厚生の充実は、企業の成長には欠かせないものです。
従業員のモチベーションアップが図れると共に、生産性の向上にも期待できます。
一方、福利厚生の充実に力を入れる企業も多く、競合他社とも比較されることがよくあります。

なかでも住宅手当などの住まいに関する手当は、働く方の関心が高く重要なものです。
支給する企業は減少傾向にありますが、未だに重要視する従業員も多くいます。
福利厚生は必ずこれが良いというものはありません。
自社に勤務する従業員、自社が置かれた環境に適したものを導入することが大切です。
上手に運用していき、生産性の向上を目指しましょう。

【参考資料URL】

※1「通勤手当、住居手当/国税庁」

※2「No.2260 所得税の税率/国税庁」

※3「令和元年分11月分の常用労働者1人平均所定内金(PDF)/厚生労働省」

※4「国家公務員の諸手当の概要(1/2)/厚生労働省」

※5「第63回福利厚生費調査結果/日本経済団体連合会」

※6「統計データを探す/政府統計の相談窓口」

※7「労働契約法のポイント-ホーム/厚生労働省」

※8「エンプロイヤーブランド・リサーチ 過去レポート・ハイライト/世界最大級の総合人事サービス ライフスタット」

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