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【社労士監修】カフェテリアポイントとは?お得な使い方や使い道

2021.07.08

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働き方や価値観が多様化している現代で、企業が備える福利厚生制度も変化してきました。

せっかく企業が手厚い福利厚生制度を備えていても、自分のライフスタイルにはあっていないから使えない。そうなったら従業員の満足度は上がりません。そこで近年注目を集めているのがカフェテリアプランです。

もともとアメリカでうまれたこの制度。好きな食べ物や飲み物を自分の好みで選ぶことのできる「カフェテリア」にちなんで名づけられたと言います。いったいどんなことが可能な制度なのか詳しく解説していきます。

カフェテリアプランとカフェテリアポイントとは

カフェテリアプランとは

カフェテリアプランとは

企業の福利厚生制度は、社会保険のような法律で決められた法定福利厚生と企業の裁量による法定外福利厚生の2種類があります。カフェテリアプランは法定外福利厚生の1つです。

カフェテリアプランとは日本語で「選択型福利厚生制度」と訳されます。企業が設定した複数の福利厚生施策(メニュー)の中から、あらかじめ各自に配布されたポイントを利用して、従業員が自分のライフスタイルや必要性に応じた福利厚生サービスを受けることのできるシステムです。

以前は大手企業が主に導入していましたが、昨今では中小企業も取り入れ始めています。カフェテリアプランが注目され始めた背景には、価値観の多様化による従業員のライフスタイルの変化から、福利厚生費の「公平性」を保つことなどが理由の1つにあげられます。

カフェテリアプラン導入率

引用元:カフェテリアプランに関する特別集計 / 日本経済団体連合会(※1)

ひと言でカフェテリアプランと言っても、その内容は金額から選択メニューまでそれぞれの企業のニーズに合わせて設定できるので、サービス内容は一律ではなく企業によってさまざまです。

自社でカフェテリアプランを運用することもできますが、その場合はシステム整備やポイント管理など複雑な作業工程が必要となってきます。短期間で簡潔に導入したい場合はアウトソーシングを活用することがおすすめです。

カフェテリアプランを提供している主な運営会社を紹介します。

1.株式会社ベネフィット・ワン 「Benefit Station(ベネフィット・ステーション)」
2.株式会社リロクラブ 「福利厚生倶楽部」
3.株式会社イーウェル 「WELBOX」

カフェテリアプランを導入する場合は、

カフェテリアプラン導入の流れ

といった流れになります。

メリットが多いカフェテリアプランではありますが、デメリットもあります。デメリットは、課税・非課税のメニューが混在していることです。利用するメニューによって課税されるものと非課税のものがあり、国税庁(※3)のホームページでは以下のように記されています。

カフェテリアプランのメニューの中には、課税扱いとなるものと非課税扱いとなるものが混在していますが、メニューの各項目は、一定の要件に該当しなければサービスを受けられないものであり、また、そのサービスを受けられないことによって金銭が支給されるものではありませんので、従業員に付与されるポイントについては、現に従業員がそのポイントを利用してサービスを受けたときに、その内容に応じて課税・非課税を判断するものとして差し支えないと考えられます。

課税・非課税についてはカフェテリアプランを導入する際に説明を受けますが、あいまいな場合はトラブルにならないよう、カフェテリアプランを運営する企業に確認してから利用することをおすすめします。

カフェテリアポイント

カフェテリアポイントとは、カフェテリアプランを導入している企業が使えるポイントです。福利厚生費をポイントとして従業員に付与しています。付与されるポイント数などは、企業によって設定がさまざまです。

カフェテリアプランを導入する際は、以下のような点を考慮する必要があります。

・福利厚生費の中のどの項目をカフェテリアメニューとして設定するか
・設定するカフェテリアポイントはいくらくらいの予算にするか
・未利用のポイントを次年度に引き継げるようにするか
・未利用のポイントを繰り越すとしたら上限はどうするか

などです。

ある会社では、未利用分の75%は次年度に繰り越すことができますが、次年度のトータルが175%以上とならないこととなっています。

例えば、毎年100ポイントもらっていたとして、未利用分が90ポイントあった場合、次年度に繰り越せるのは75ポイントまでとなり、次年度トータルは175ポイントが上限となります。企業によって未利用分を繰り越さず切り捨てとしている場合もあります。

国税庁(※3)のホームページでは注意すべき点として、

企業の福利厚生費として課税されない経済的利益とするためには、役員・従業員にとって均等なものでなければならないことから、役員・従業員の職務上の地位や報酬額に比例してポイントが付与される場合には、カフェテリアプランの全てについて課税対象となります

と記載されており、従業員が等しいポイント数を付与されることが前提となります。

カフェテリアポイントの使い道は?

カフェテリアポイントで利用できるメニュー

カフェテリアプランで提供されるメニューは企業ごとに異なることは前の項でもお伝えしました。ここでは、主に利用されるメニューをカテゴリ別に紹介します。

カフェテリアプラン カテゴリ

1.健康増進メニュー
人間ドック・人間ドックオプション検査補助・健康機器取得支援・メンタルヘルス利用補助・フィットネスクラブ利用補助など

2.財産形成メニュー
一般財形奨励金・年金財形奨励金・退職後生活準備支援金・確定拠出型年金奨励金・社員持株会奨励金などの補助

3.住宅関連メニュー
社宅使用料補助・住宅ローン返済補助・住宅補助・住宅財形奨励金・住宅関連手数料補助・引っ越し費用補助など

4.ライフケアメニュー
育児費用・育児用品購入補助・介護サービス利用補助・介護施設利用などの補助

5.自己啓発メニュー
資格取得支援・クラブ活動支援・各種スクール(e-ラーニング含む)学習補助・図書購入補助など

6.レジャーメニュー
旅行費用補助・宿泊施設利用補助・レジャー施設利用補助など

そのほか食事補助をカフェテリアプランとして導入している企業などもあります。利用設定できるメニューは多岐にわたります。従業員に喜ばれる福利厚生制度を備えられるよう、事前アンケートを実施するなどニーズを把握してメニューを検討しましょう。

よく利用される人気のメニュー

いろいろあるメニューの中で、いったいどれを設定したらいいのか迷ってしまいそうですよね。ここでは他企業が、よく設定しているメニューについて日本経済団体連合会の「第64回福利厚生費調査結果報告」(※3)のカフェテリアメニューの費用の内訳資料から見ていきます。

カフェテリアプラン 利用内訳

引用:カフェテリアメニューの費用の状況/第64回 福利厚生費調査結果報告

カフェテリアメニュー費用総額の平均は従業員一人あたり月額4,660円。大きく、【住宅(家賃補助)】、【医療・健康】、【ライフサポート(食事補助や財産形成など)】、【文化・体育・レクリエーション】、【その他】、と4つにわけると、最も割合が大きいのは、【ライフサポートメニュー(食事補助や財産形成など)】です。

次に大きいのが【文化・体育・レクリエーション】です。身体を動かすことやコミュニケーションをはかる際に使われたり、家族サービスに利用できたりと使いやすかったのではないかと予想されます。しかし調査は2019年度の結果報告ということもありコロナ禍によって現在は変わってきているかもしれません。

参考までに、筆者の勤務する会社では、【ライフサポート】に分類される財産形成は利用者の多い人気のメニューとなっています。加えて人間ドックなどの健康増進メニューが多く利用されています。身体は働く上でも資本です。昨今ではテレワークなどの影響による運動不足の解消などにも興味が向いている傾向があります。

あまり利用されないメニュー

ここではあまり設定されにくいメニューについてみていきます。カフェテリアメニューの費用の内訳(※3)からあまり利用されていないメニューは、【ライフサポート】の被服が従業員一人あたり1ヶ月10円と全体の0.2%で一番低くなっています。続いて通勤費用補助が1ヶ月28円(0.6%)となっています。

ここで気を付けたいのは、この数値はカフェテリアプランを利用している通勤費用補助であることです。通勤費は多くの企業がカフェテリアプランの選択メニューではなく、カフェテリアプラン外の法定外福利厚生で備えている可能性が高いことから低い数値となっている可能性があります。

カフェテリアプランの選択メニューとして備えた方がいいのか、全従業員が同じ制度を利用できる固定の法定外福利厚生制度として適用した方がいいのか、メニューを検討する際のポイントにしてみてください。

ポイントの利用頻度

カフェテリアポイントの利用について額の低いものが必ずしも人気がないというわけではなく、カフェテリアプランとしてではない制度として備えている可能性があることは先ほどもお伝えしました。カフェテリアプランを導入している企業は、2019年度ではおよそ20%前後と言われています。

昨今、コロナ禍により在宅勤務など働き方が急速に変化しました。これまでの福利厚生では業務以外のものに活用されがちでしたが、株式会社イーウェルではWELBOXというシステム内で「Amazon健康支援商品券」「Amazon在宅支援商品券」などがカフェテリアポイントで購入可能です。

また、Benefit Stationと楽天トラベルが業務提携し開始した「Bene楽天トラベル」では、契約企業がカフェテリアポイントを利用して予約できるメニューがあります。時代の変化に合わせてカフェテリアポイントが活用できるメニューも増えてきています。

カフェテリアポイントでAmazonの在宅支援商品券などと交換し、在宅勤務に必要な買い物ができるなら業務にも従業員の満足度にも有効に使われ利用頻度もこれからますます高まるかもしれません。

カフェテリアポイントの使い方は?

1.カフェテリアプランの申請システムへアクセスする

カフェテリアプランを外注した場合、その企業が提供するカフェテリアプランの会員サイトにアクセスします。アクセスしたらあらかじめ企業から案内されている情報を入力しログインします。

2.カフェテリアメニューを選ぶ

ログインしたら自分の希望するメニューを選び申請ボタンを押します。ものによってweb上だけで完結するものと、領収書の提出が必要になるようなメニューがあるので、領収書の紛失や提出忘れに注意しましょう。

3.キャッシュバックまたは現物が届く

後日キャッシュバックが自分の口座に振り込まれるメニューや、そのまま商品が購入できるメニューなどさまざまです。詳しくは自社のカフェテリアプラン導入業者のガイドを確認してください。

上記は一つの例としてカフェテリアポイントの使い方をお伝えしましたが、使い方はどのアウトソーシング企業を利用するかにもよりますし、外注せずに自社で運用する企業もあります。

また、休職者など社内システムにアクセスできない環境の従業員には本人に確認を取り、紙の申請書によって代理申請することでポイント交換が可能になるなどの場合もあります。

カフェテリアプランは企業の裁量によって設定を決められる自由度の高さが良い反面、いろいろなケースを想定して対応できるように考えておくことが重要です。会社側は、従業員にとって不利益のないように設定していくことが求められます。

付与される平均カフェテリアポイント数と単価

年間の平均付与ポイント数

カフェテリアプランは設定が企業によって変えられるのがメリットでもあります。したがって付与するポイント数も各企業によってさまざまです。日本経済団体連合会の「第64回福利厚生費調査結果報告」(※3)によると、回答のあった導入企業104社のカフェテリアプランの消化ポイント総額は1人1ヶ月あたり4,660円となっており、年間で計算すると55,920円(2019年度)です。

株式会社労務研究所が発行する「旬刊 福利厚生 No.2302」2020年8月下号(※3)では、2019年時点での平均年額は65,277円と記載されています。配布分布率では年額「4万~6万円」「6万~8万円」がともに導入企業全体の28.6%で一番多くなっています。

カフェテリアポイント 平均

これらの資料からおおよそ企業が設定している平均付与ポイント数は、4万円~8万円の中間である6万円前後分のポイントになっているようです。とはいえ、企業によってカフェテリアプランに割ける予算も異なります。企業における法定外福利厚生のうちのどのくらいを他企業がカフェテリアプランに充当しているのか気になりますよね。

日本経済団体連合会調査(※3)によると、カフェテリアプランを導入している企業の法定外福利費について、カフェテリアプランの費用が占める割合は平均で14.0%となっています。割合をみると10%未満の企業数が最も多い状況です。法定外福利費にいくら予算をとることができるかを算出し、その費用の中からカフェテリアプランに利用する費用の割合を考え、年間付与ポイント数を算出するのもよいでしょう。

ポイント単価

カフェテリアポイントの単価はいくらぐらいなのでしょうか。実はこれも企業によって設定できるものなので、単価はいくらですとの正解がありません。

1ポイント=1円、100円、1,000円など企業によって設定金額が異なってきます。1ポイント=100円として設定している企業が多いようですが、1円で設定すると端数も使いやすいなどのメリットがあります。ある会社ではおおむね1ポイント=1,000円で換算されていますが、メニューによって若干単価が変えられています。ポイント単価がメニューによって異なる設定としている企業も多いようです。

優遇単価方式について

筆者の会社ではポイント単価がメニューによって変動することをお伝えしました。これを「優遇単価方式」と言います。企業が積極的に利用を推進したいものなど、メニューによって単価を変動させ優遇する方式です。

たとえば、通常1ポイント=100円で換算されている中で、積極的に利用してもらいたいものが資格支援についてであった場合、そのメニューでは200円のものが1ポイントでお得に利用できるといったイメージです。

優遇単価方式は、2社のうち1社の割合で採用されており、企業側が優遇するメニューを選定し利用促進につなげる効果が得られることから採用する企業が増える傾向にあります。

最後に

カフェテリアプランは、多様化する従業員のニーズに合わせて公平に利用できる福利厚生を実現させやすいシステムです。

上限額が決まっているので予算管理もしやすくなります。ただし、従業員のニーズに合わせたメニューの設定が不可欠です。プランの自由度を上手に活用して企業の魅力をより向上させ、従業員満足度を上げていきましょう。

<参考資料>
※1:カフェテリアプランに関する特別集計 / 日本経済団体連合会
※2:カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合/国税庁
※3:「第64回福利厚生費調査結果報告」/日本経済団体連合会
※4:「旬刊 福利厚生 No.2302」2020年8月下号/株式会社労務研究所

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