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【社労士監修】福利厚生費の上限は?条件や限度額を勘定項目別に解説

2023.11.02

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福利厚生費の上限を把握しておくことは、給与支払いとの混同や源泉徴収に関するトラブルを避ける上で、とても重要です。特に企業の人事・総務担当者の方には、勘定項目ごとの上限額や福利厚生費として認められるための要件について正しく理解することが求められます。

そこで本記事では福利厚生費として認められる費用とその上限金額について、それぞれの勘定項目ごとに分かりやすくご紹介します。


監修者:久米和子(Reiwa社会保険労務士事務所)

福利厚生費の上限はいくらか

結論から述べると、福利厚生費は勘定項目によって「上限額(非課税限度額)が存在するもの」と「上限額(非課税限度額)が存在しないもの」があります。

福利厚生費 上限

また、具体的な上限額が定められていない福利厚生費に関しては「社会通念上妥当な金額である」ことが求められるため、常識的に考えて支給される金額が多過ぎる場合には給与の一部と見なされ課税対象となるケースがあります。

勘定項目別にみる福利厚生費の上限

ここでは福利厚生費の上限額について勘定項目ごとにご紹介します。法定外厚生費は、上限既定の有無によって以下の2種類に分かれます。

・上限額に関する規定があるもの…通勤手当、住宅ローン、食事代
・上限額に関する規定がないもの…社員旅行費、健康診断費、見舞金

各項目の内容や上限額に関する規定について、以下でより詳しく見てみましょう。

通勤手当

通勤手当の上限額は国税庁の規定により、電車・バス・新幹線・有料道路等を利用する場合「1ヵ月あたり15万円まで」とされています。一方、自動車や自転車による通勤の場合には通勤距離に応じて異なる上限額が適用されます。具体的な通勤距離と上限額との関係は以下の表の通りです。
通勤手当 上限

通勤手当は正社員・パート・アルバイトといった雇用形態の違いに関わらず誰であっても適用対象となりますが、通勤手当として認められる為には利用する通勤方法が「もっとも経済的かつ合理的な経路」である必要があります。なお、上限額を超える交通費の支給は給与扱いとされ、超過分の金額が課税対象とされます。

社員旅行

社員旅行費が福利厚生費として非課税対象となる為には、次の3つの要件を全て満たす必要があります。

・全従業員(非正規雇用含む)が参加対象かつその過半数が社員旅行に参加すること
・旅行期間が4泊5日以内であること
・不参加の従業員に対して現金等の支給がないこと

社員旅行費の具体的な上限額に関する規定はありませんが、「社会通念上妥当な金額」という観点から1人あたり10万円前後が一応の上限額と考えておきましょう。

食事代

社員食堂等を利用する際の食事代を福利厚生費に含める為には、次の2つの要件を全て満たす必要があります。

・従業員が食事代の半分以上を負担していること
・会社の負担する食事代が1ヵ月あたり3,500円以下であること
※消費税及び地方消費税の額を除く

更に、残業時や宿直等の従業員に対して食事を現物支給する際にはその全額を福利厚生費として計上することが可能です。また、深夜帯の従業員に対しては1食あたり300円(税抜)までの現金支給を福利厚生費に計上することができます。

健康診断・人間ドッグ

健康診断や人間ドッグによる受診費用を福利厚生費として計上する為には、次の4つの要件を全て満たす必要があります。

・従業員全員が受診対象者であること
・受診者全員分の費用を会社が全額負担すること
・受診費用が社員の健康管理に必要と考えられる常識的な範囲の金額であること
・企業が医療機関に対して直接支払いを行っていること

特に4つ目の要件に関しては、従業員に現金を渡して受診してもらう形だと給与扱いとなってしまうので注意が必要です。

住宅ローン

住宅ローンに関しては会社が家賃を補助するのではなく、従業員から家賃を徴収する形式を取っている場合のみ福利厚生費として非課税対象となります。

社宅として住居を貸し出す費用を福利厚生費に含める為には、専用の計算式で算出された「賃貸料相当額」の50%相当額以上を会社が家賃として徴収している必要があります。

慶弔見舞金

従業員の病気やケガに対する見舞金、および冠婚葬祭時の祝い金や贈答品を福利厚生費として計上する為には、次の2つの要件を満たす必要があります。

・全従業員に対して支給されること
・社会通念上妥当な金額であること

なお、福利厚生費として計上可能なのは全「従業員」に対する支給のみです。会社の顧客や取引先の人間に対する見舞金は接待交際費として計上されます。

福利厚生費の上限を超えないようにする方法

福利厚生費の上限を超えない為に重要なのは、上限額が存在する項目とその上限額について人事・総務担当者が正確に把握しておくこと、そして各項目の「社会通念上妥当な金額」に対する認識の基準を全従業員が共有することです。

社内ルールの徹底や研修会を活用して、日頃から人事・総務担当者と従業員の間で協力関係を構築するように心がけましょう。

以下、そのために実施したい具体的な施策を紹介します。

社内規程に明記する

福利厚生費として計上するためには、それぞれの福利厚生が全従業員を対象としていることが大前提となります。一部の従業員のみしか利用できないサービスは、福利厚生費として認められません。

この点を踏まえ、公平性を証明するための方法としておすすめなのが、社内規定への明記です。社内規定を通じて利用できる福利厚生の種類や内容を明らかにしておくことにより、各福利厚生の公平性を担保できるでしょう。

従業員への周知・理解を徹底する

スムーズかつルールに沿った福利厚生の運用には、従業員の協力が欠かせません。

例えば、福利厚生の内容が福利厚生として適当かどうかを見定めるために、利用したサービスにまつわるレシートなどの証明資料を求められるケースがあります。この場合、従業員の協力が得られなければ、大きな問題となってしまいます。

必要に応じて協力を求められるよう、日頃から人事・総務担当者と従業員の間で協力関係を構築するように心がけましょう。

源泉徴収への対応

仮に、福利厚生費としての要件を満たせず、給与扱いとなった場合、企業側には源泉徴収税の徴収と納付の義務が生じます。

福利厚生費として経費計上できないだけでなく、煩雑な事務処理に人的コストを割かなければなりません。

こうした事態を防ぐためにも、福利厚生のルールに対する理解を深めることが必要です。

食の福利厚生「チケットレストラン」の活用も

新たな福利厚生の導入を検討するにあたり「福利厚生として確実に経費計上できるサービスを選びたい」と考える人事・総務担当者は少なくありません。そんな中、近年特に注目度を高めているのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。

チケットレストラン」は、専用のICカードを利用して提供する食の福利厚生で、導入した企業の従業員は、全国25万店舗以上もの加盟店での食事を半額で利用できます。国税庁の確認のもと提供されているサービスのため、一定の条件を満たしていれば福利厚生となり、税務上の指摘を受けることもありません。

チケットレストラン」を導入した企業様からは、「抜きがちだったランチを毎日食べるようになった」「サラダなどをランチにプラスするようになった」「少し豪華なランチを選ぶようになった」などのうれしい声が聞かれています。

従業員の日々の食を充実させ、かつ健康増進をかなえる福利厚生として、「チケットレストラン」の導入を検討されてはいかがでしょうか。

まとめ

福利厚生費の上限金額は勘定項目ごとに異なり、中には上限金額に関する規定が存在しないものもあります。後々のトラブルを避ける為にも、企業の人事・総務担当者の方は福利厚生費の項目別上限額について正確に把握しておくことが重要です。

<参考資料>
No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行/国税庁
No.2594 食事を支給したとき/国税庁
人間ドックの費用負担/国税庁
No.2508 給与所得となるもの/国税庁
5 従業員等に支給する災害見舞金品/国税庁

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