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【社労士監修】福利厚生費は課税される?要件や事例をわかりやすく解説

2022.04.13

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監修者:久米和子(Reiwa社会保険労務士事務所)

この記事では、福利厚生に関する勘定仕分けについて解説します。

福利厚生のうち、法定福利費は基本的に税金が掛かりません。法定外福利費は、内容によって税金が掛かる場合があります。

特に、福利厚生費は会社を運営するなかで深く関わってくるものです。経理を担当される方などは、より理解を深めておきましょう。

法定福利費と法定外福利費の違い

法定福利と法定外福利には、おもに3つの違いがあります。間違えやすい部分もあるので、理解を深めておきましょう。

法定福利 法定外福利費 違い

税金が掛かるか

法定福利費は、基本的に税金はかかりません(非課税)。ただし、法定外福利費は、内容によって税金が掛かる場合があります。なお、本来は税金が掛かるものでも、課税仕入れと呼ばれる制度があり、条件をみたすと税金が控除されます。詳しい条件や金額の計算方法は、国税庁のホームページをご覧ください。

強制的なものか

法定福利費には健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・子ども・子育て拠出金・労災保険料・雇用保険料があり、これらは法律で定められた会社側の義務です。そのため、すべての社員に適用し掛かったお金は、法定福利費として会社が負担しなければなりません。一方、法定外福利費はあくまで会社がサービスとして提供するもので、必ず提供しなければならないものではありません。

会計のやり方

法定福利費は、会社が支払う費用と従業員が支払う費用を分けて計上します。会社が支払う分のみ法定福利費として計上でき、従業員が支払う分は一般的に預かり金などの勘定で処理をおこないます。一方、法定外福利費は全て福利厚生費の勘定で処理されます。

さらに詳しく知りたいかたは、「[社労士監修] 法定福利費と福利厚生費の違い」もご覧ください。

福利厚生費が非課税になる要件

法定外福利(福利厚生費)を非課税にするためには、いくつかの要件を満たす必要があります。また、控除を受けようとするときは、控除の対象となるための条件をクリアしなければなりません。

福利厚生費 非課税

目的が福利厚生だけである

まず、福利厚生だけを目的としたものであることが必要です。業務にも活用してしまうと、仕事のうえで必要なものとなり、福利厚生とはみなされないため税金が課せられます。

全員に対して同じように適用されるもの

全員に同じように適用されるものでなければなりません。役員や限られた従業員に対してのみ適用されるようなものは税金が掛かります。なお、全員に対して同じように適用されているにも関わらず、本人が自分の意思で参加しないなどの場合、税金は発生しません。

一般的な金額である

掛かった費用が一般的に妥当な金額であることが必要です。社員旅行を開催するときに、全員の費用を同じように会社が負担したとしても、1人あたりの金額が30万円というような、あまりにも高額なものは税金が掛かります。

控除の対象となるもの

課税仕入れなどをおこなう場合、仕入れたものを福利厚生に活用するときは、控除の対象となるため税金は掛かりません。控除されるには、決められた条件を満たす必要があります。

福利厚生費で課税対象となる例

税金が課せられる対象となるおもな例をいくつかご紹介します。経理の方などは参考にして下さい。

用途が福利厚生だけではない

休憩室などが設置されている会社などで、長時間の勤務をするときに仮眠をとる必要があるとします。すると、業務でも休憩室を利用しているとみなされるため、福利厚生だけの利用にならず税金が課せられます。

正社員だけを対象としている

社員旅行やレクリエーションを開催する際に、正社員の費用だけを支払うようなケースでは、全員に対して平等とは言えず税金を支払わなければなりません。また、全員の分を支払ったとしても、時間帯や性別などを理由に全員が参加することが難しいようなものについても、平等とは言えないため税金が掛かります。

決められた上限を超えたとき

通勤費などは基本的には税金はかかりませんが、法律で決められた上限となる金額を超えたときは、税金が発生します。通勤費については通勤方法によって金額が異なりますが、1カ月あたり最大15万円まで、距離では1カ月あたり片道55kmまでが上限となっています。

金銭で支給したとき

健康診断や食事に掛かった費用を社員に立て替えてもらい、そのあと手当として金銭で支給するようなケースは税金が掛かります。なお、金銭で支給してしまうと給与として扱われます。

福利厚生費で非課税になる例

非課税になる例についてもご紹介します。ポイントを押さえておきましょう。

福利厚生としてだけ活用されている

娯楽室や休憩室を設置するとき、業務では活用せず、社員のリフレッシュだけを目的として活用するような場合は税金が掛かりません。

すべての従業員を対象にしている

レクリエーションをおこなうケースでは、雇用形態や勤続年数も関係がなく、参加する全員の費用を平等に負担すれば税金は発生しません。また、内容に関しても全員が参加できるようなものである必要があります。

妥当な金額である

マッサージやクラブなども福利厚生として適用できます。このとき、一般的な料金のサービスであれば税金は課せられません。

決められた範囲内である

通勤費や食事代などは、税金が掛からない金額の上限が決まっています。上限を超えない範囲であれば税金は掛かりません。ただし、通勤距離が会社から片道2㎞以内の社員に通勤費を支払うときは税金が課せられるため注意しましょう。

サービスのみを提供する

掛かった費用を手当など”金銭”として支給すると税金が掛かります。費用の支払いを行うときは、社員の立て替えなどは避け、相手に会社が直接支払うようにします。すると、サービスのみを提供したことになるため、税金は掛かりません。

カフェテリアプランと課税

カフェテリアプランとは

社員にポイントを付与し、会社が準備した福利厚生のメニューから好きなものを選んで利用できるシステムをカフェテリアプランといいます。社員は、与えられたポイントの範囲でサービスを受けることが可能です。カフェテリアプランでも税金が課せられることがあります。

人によって付与されるポイントが違う

勤続年数や役職、雇用の形態など人によって、会社から与えられるポイントが違うような場合は税金が掛かります。当然ですが、1ポイントあたりの金額が違う場合も税金が発生します。

商品券や入場券を提供する

商品券や入場券など金銭に換えることができるものを提供した場合も、税金が課せられます。

カフェテリアプランの課税要件

基本的には福利厚生費の要件と重なる部分がありますが、適用されるサービスが増えているため、要点はしっかり理解しておきましょう。

不平等なもの

付与がされるポイントや利用できるサービスが人によって違うなど、会社に所属する全員に対して同じではない場合は税金が発生します。ただし、明確な基準がないためケースによって判断が異なります。

現物で支給されないもの

金銭として支給すると税金が掛かります。そのため、金券やギフト券などお金に換えることができるものは、金銭を支給したときと同じようにみなされ税金が発生します。

個人の趣味や娯楽の要素が強いサービス

カフェテリアプランの課税については、国税庁も内容によって判断するとしており、明確な基準は決まっていません。ですが、レジャーなど個人の趣味や娯楽の要素が強いものは、個人的な費用の補助とみなされ、税金が掛かる可能性が高くなります。


監修者:久米和子(Reiwa社会保険労務士事務所)

<参考資料>
国税庁
カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合/国税庁
カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合/国税庁

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